ゼンゼロで、開発者の魂を拾う旅に出た。
ゼンレスゾーンゼロ(ゼンゼロ)をやっていると、細部までよくできすぎていて、探索欲が掻き立てられて仕方がない。そして、細部の完成度がすこぶる高いのだ。とんでもないスルメゲームだ。よく、「ゲームの小ネタ・イースターエッグ集」みたいな動画があるが、ゼンゼロは列挙しようと思ったら2時間くらい特集できる。
とんでもないゲームデザインの心地よさ
詳しくは「ゲームさんぽ/よそ見」氏の動画を参照されたい。専門家が詳しくこのゲームのとんでもなさを語ってくれる。
初日にこのゲームをプレイした時の感動は今ゲームを起動しても理解できる。とにかく、UIやそもそものデザインがずば抜けているのだ。とんでもなくオシャレ。パッと見て「これは現代を代表するゲームになる ( ゚Д゚)」と直感できる。当方はただゲームが好きな一介の高校生でしかないが、このゲームのいかに鬼才かは、本能が理解した。ゲームのムービー(リアルタイムかも)が良いのだ。DETROITのように、人間をしっかりと素描したような動きではなく、アニメ的な感じでクオリティが異常なほど高いのだ。キャラクターモデルの動かし方が、デフォルメされている。
このデフォルメの雰囲気は、スプラトゥーンの世界観に似ている。絶妙な都会をゲームに落とし込んでくれている。私はスプラトゥーンのデザインが好きなので、このゲームも好きになった。
そもそもグラフィックが凄い。人それぞれのスマホ画面が実装されているし、ラーメンに至っては凹凸まで再現されている。奥にいる天狗の店長も満面のドヤだ。
同会社の作る原神とは異なり、オープンワールドではないし、オンラインだなぁと感じる要素は少ない(ちゃんとオンラインユーザーを肌で感じるのは「スネークデュエル」と「ソウルハウンドIII」くらいかもしれない)。PSO2だとかモンスターハンターの血筋を継承した感じの、ソシャゲクエストRPGって感じだ。私はPSO2は非常にハマった人間だったので、ゼンゼロにも傾倒した。
【本編】遅ればせながら言語解読
ストーリーを進めていくと、警察・公安的な人が厄介になってくれる。犯罪を防止しようみたいなキャンペーンを頒布しよう、みたいなおつかいクエストが始まる。
私はゲームのこだわりを肌で感じたい人間だから、いろいろいじりたくなる。この画面の下部に注目してほしい。Lスティックで「回転」とある。このチラシの裏面を見ることができるのだ。
ひっくり返すとこうなる。紹介文にある通り、これはキャンペーンに関しての調査アンケートだ。チェックボックスがあるし、下のほうに自由回答欄らしきものがある。
ここで、私は考えた。「チェックボックスの上、YESとNOじゃねぇか?」
そうだ。チェックボックスの上にはOOO/OOという選択らしきものがある。二択で、三文字と二文字。絶対にYES/NOだろうと確信した。そこで、このアンケートに書かれてる言語は「換え字式暗号的なもの」である可能性が高い。こういうのはゲームでありがちだ。先述したスプラトゥーンでも、イカたちが使う言語はもう解読されているし、それが英語のアルファベットを対応させていったものであるとされている。その方式は往々にしてゲームの世界には使われている。
つまり、YES/NOの三文字の対応はとれているのだから、私にもおそらく解読できるだろうと思った。
私が今回調査対象にするチラシがこれだ。ところどころ、ちょっと既存のアルファベットに似ているような形があって、固定観念が邪魔をしてきて嫌だった。
つまり、文が成り立っているから、私は勝利を確信した。
完走した感想だが、途中のO.O.O.Oという部分、明らかにN.E.P.Sという公安の略称が入ることを確信できるから、非常に助かった。それと、このゲームにおけるホロウという概念は、HOLLOWというスペリングで間違いないのかと当初不安になったが、HIAセンターの自動ドアに書かれたHOLLOWを見て、安堵した。
自由回答欄だと確信していたのは、安全講習に出たい人のための連絡先を書くための欄だった。
…いや、住所とか電話番号とか氏名とかを書くときは普通、区切られた解答欄に書くのが普通だと思うんだけどね。
これなら、「ここに氏名を書いてください」的な、指示のために書かれた文字からさらにアルファベットが伝わったような気がする。「質問があればこちら」とかあれば、QuestionのQが拾えた。悲しい。
この解読したデータを、対応表に書き起こした。
(誰にも頼まれていないのに、苦労の押し付けをしようとしている。あわよくば私に感謝してほしい。)
このアンケートでは、J・K・Q・X・Zのアルファベットを見つけることができなかった。(多分)この辺は、あのスクラッチの店においてある雑誌の表紙に書いてある字や、ルミナススクエアの広告看板などで補完できそうだ。
そう、この看板。もしかしたら情報があるかもと思ってスクリーンショットしたが、この看板はひどい。なんでかと、アンケートの言語と看板の言語が違うのだ。
右から二番目の文字。対応表からするとAに似ている。が、左右反転している。左から二番目。似ているのはMだ。だが、真ん中の点がない。意気揚々と「残りのアルファベットもわかるぞぉ」と息巻いていた私は、消沈していた。
これが、このゲームにおいて直面する問題。「場所によって言語変わってる説」だ。まるで現実における方言のように、ちょっと似てる字体で書かれたものが非常に多い。アンケートのように、いっぱい文字が羅列している中での解読ならば非常に簡単だが、この看板のようなサンプルならば、本当に解読が難しい。もしかしたら、ランダムで対応するようにするプログラムか何かで文字を化けさせていて、あまりゼンゼロ開発者からすれば統一した言語はないのかもしれない。
【ウルトラC】発展性があるゾっていう話
ルミナススクエアのホテルの立て看板には、下部に似てる字体がある。OOO-OOO-OOO、これは電話番号だろう。だから、数字にも対応したものがあるのかもしれない。だが、数字とアルファベットの違いが判らないから、サンプル数を相当数用意しないとすべてを解読することは難しいだろう。
【余談】イースターエッグこそが開発者の魂
ルミナススクエアには、以下の建物がある。
これはゼンレスゾーンゼロのロゴを模したものだ。そして、この建物の前にいる人物に話しかけるとこうなる。
面白いアイディアがあれば、いつでも私に話しに来てください。私たちはすべての面白いものを歓迎しています!
この人物の胸元には「ZENLESSZONE ZERO」と書かれている。DuftPunkを彷彿とさせる顔。そして、このゲームの完成度にはそぐわない直訳感のある日本語。これは開発者だろう。
よくある小ネタだ。開発者がゲームの中に自身を盛り込む。(ニーア:オートマタでは開発者自身が3Dモデルとして出てくるイースターエッグがある)ゼンレスゾーンゼロでも、そのネタを観測できた。私は、イースターエッグにワクワクした。
ゲームにおいて、イースターエッグは芸術だ。いかに、世界観の中に隠すか、ちょうどよくユーザーに見つけてもらうか。そして、開発者の魂がそこに現れる。ゲームにおいて、開発者が遊びとして盛り込むイースターエッグは、開発者の残留思念なのだ。自分の生きた証を、責任者にも、誰にも悟られなようにゲームの中で生きさせる。イースターエッグの芸術性。
イースターエッグこそが、ゲームにおける美徳であるし、それでしか構成されていないゲームもある。
知っている人でないと、わからないようなパロディでも、知っている人だけの宝物だ。「あっ、これOOのパロディじゃん(笑)」と気づいて、うれしくなれる。
そして、イースターエッグだけでなく、私がしたような創作言語の解読も同じである。開発者がせっせと作った言語が、もしかしたら誰にも気づかれずに過ぎ去るのかもしれない。それはそれで、開発者は「誰にも気づかれなかったな」と嬉しみを感じるだろう。だが、細かく見てみたいというプレイヤーの手によって、ゲームの世界が解明されてゆくのだ。開発者が細かくも設定した、開発者の魂を解明していくのだ。
私は旅をした。ゲームの中に、自分自身の魂を託した開発者の魂を拾う旅を。
先駆者がいるかもしれないが、私自身で拾い上げるということに、重大な意味があったように感じる。ゲームにおけるイースターエッグを、開発者の魂を拾い上げていきたい。
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