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このnote, 1333字で終わらせてやる! 【ドラマ 33分探偵】

「このnote,1333字で終わらせてやる!」

ミステリとは,そもそも何なのだろうか?
現実の事件なんて監視カメラや指紋採取やなんやかんやで,たいてい犯人が最初から分かっている.探偵が出てくるような事件なんて現実にはほとんど存在しないし,そもそもフィクションの探偵と現実の探偵は大きく異なっている.
それでは犯人が最初に分かってしまったら,ミステリなんて面白くないのだろうか?
答えはNoである.

[ただいま187字です]

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『33分探偵』は,堂本剛演じる名(迷?)探偵・鞍馬六郎が活躍するドラマだ.33分しかないから開始早々に事件が起きる.犯人もわかる.ドラマが始まってから10分も経っていないのに事件が解決してしまう.一件落着.大団円.しかし,それではやっぱりドラマ的に良くないからか,鞍馬六郎はメタ的視点でカメラに向かってこう言う.「この事件,俺が33分もたせてやる!」と.
そう言い切ったからには,鞍馬六郎は頭をフル回転させトリックを考え,真犯人を導き出そうとする.だってミステリの犯人が開始10分でわかっちゃう訳がない,もっと複雑なトリックが使われていて真犯人は別にいるはずなのだ.
鞍馬六郎は仮説を立てる.その仮説はある時はミステリでさんざん使われてきたトリック,またある時はどう考えたって実現不可能なトリックを使ったものだったりする.仮説を立て,その仮説をしらみつぶしに否定していく.探偵には欠かせない行動だ.でも,やっぱり全部否定される.そりゃあ開始15分位で解決しちゃったら尺が余っちゃうもんね.仕方ないから鞍馬六郎たち主要メンバーの4人は事件の情報集めに奔走する.でも奔走しているシーンを全部見せちゃうとそこはさすがに尺が足りなさすぎるので,ダイジェストで見せてくれる.ドラマならではの表現に「さすが」としか言いようがない.
そして,情報を集めた上で仮説を立て犯人を指摘…できるかと思いきややはりできない.仕方がないので鑑識官を頼ったり,情報屋から(金で)情報を仕入れたりする.有能な情報屋により事件はあっという間に解決に向かう.情報屋から仕入れた情報で解決していいのかという話だが,情報は情報だし,情報を手に入れるシーンを延々と見せられたって視聴者も困る.尺も足りないし.そうして事件はやっと解決.鞍馬六郎は無事33分もたせることができたのだ.
このドラマでの一番の見どころは,なんと言ってもドラマ中に何度も見られるパロディ・メタ的表現だろう.ミステリが好き・ミステリをたくさん読んで(見て)きた人なら笑わずにいられない描写がドラマ中にこれでもかとあふれている.名探偵コ○ンっぽい移動シーンとか,エンディングに入ったと同時に静止する画面(実際には役者が“静止した”演技をしている)とか.フジテレビが制作しているから,あの緑と赤の怪獣とか目覚まし時計なんかも出てくる.とにかく,なんやかんやで面白い.
犯人? 最初から自白してたじゃん.知ってたよ.でも,何故だか面白い.そう,私たちはこのドラマで犯人当てやトリックを楽しんでいたんじゃなくて,事件が解決するまでの過程を楽しんでいたのだ.
ミステリを読みすぎちゃって名探偵よりも先にトリックがわかってしまうそこのお方.そんなあなたにこそ見て欲しいドラマです.

Photo by ian dooley on Unsplash

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