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朝ドラ『カムカムエヴリバディ』雑感

100年にわたる物語も最終コーナーを回ったので・・・回ったのか?
定かではありませんが、久しぶりに楽しんで毎日観続けているNHK朝の連続テレビ小説第105作『カムカムエヴリバディ』の雑感を書きます。

私が藤本有紀好きということは、以前『ちかえもん』で書いたので割愛します。

藤本有紀、「ダメっ娘」率高いですよね。
この第3部の川栄は、まるで『ちりとてちん』のB子。頼もしい友人に恵まれているのも共通している。まるで「ちびまる子ちゃん」。新川優愛はたまちゃん。あと、『ドライブ・マイ・カー』で脚光を浴びたかおりんこと三浦透子ね。ちなみにかおりんは『架空OL日記』の役名。
藤本有紀が「ワニとシャンプー」みたいに夏休み最終日に泣きながら宿題をやる子だったかどうかは知りませんが、このドラマの三人のヒロインの中で、ダメっ娘・川栄こそ藤本有紀の等身大に近いんじゃないかと勝手に推測しています。

そしてこの物語は、非常に行方が分からない(笑)

朝の連ドラは「主人公が目標に向かって進む」というパターンがほとんどだと思います。
悩んだり挫折したり右往左往するけど、右肩上がりの大きな「物語のベクトル」が存在している。そういうパターンがほとんどです。
そして観客も「物語の行方=大きな方向性」を飲み込んだ上で、その紆余曲折を楽しむものです。
それはある意味、知らない物語に触れるのではなく、「確認作業」となってしまう場合もありますが(史実物などはそうなる)。

ところが、たまにイレギュラーが出てくるんですよ。
例えば『ちゅらさん』(2001年前期)。岡田惠和は、下宿先を家族に見立てたホームドラマにしてしまった。言い換えれば、ベクトルが向かう先は特になく(あったとしても右肩上がりではない)、「日常」の物語をやってのけた。
例えば『あまちゃん』(2013年前期)。宮藤官九郎がやったのは、主人公の目標が移り変わるという荒技。都会の娘が田舎で海女を目指すって話で充分なんじゃねーの?普通。
そしてこの『カムカムエヴリバディ』
母娘3代に渡る100年の物語。実は私はまだ、そのベクトルを見出せないでいます。どこに向かってるんだ?このドラマ。

英語とかジャズとか、あんことか時代劇とか、アメリカ的なものや日本的なものが折り重なって、何か大きなベクトルが(やっと)生まれそうな気もするんですけどね。

私は「目的を探す物語」なんじゃないかと薄々感じています。

第一部「あんこと英語」(<そんなサブタイトルじゃない)は、上白石萌音が生きる目的を失うまでの物語です。夫が戦死し、親兄弟も失い、最後の生きがいであった我が子にも拒絶される。
その失意の姿は、戦後日本に重なります。

第二部「ジャズと人情」(<そんなサブタイトルじゃない)では、名女優・深津絵里がささやかな生きる目的を見つけるまでの物語でした。自分に自信の持てなかった彼女が、やっと一歩、自分の足で前に進むまでの物語。
戦後復興・高度経済成長の日本の姿です。

そして第三部「回転焼と侍」(<そんなサブタイトルじゃない)。
衣食住満たされた「現代っ子」川栄が生きる目的を見つける物語・・・
だと思うんだけどな。どうなのかな?
彼女の迷走もまた、今の日本の姿と重なるような気がします。

まあ、本当の着地点は、終わってみないと分かりませんけどね。

余談
どーでもいい話ですが、深津絵里が歌う「毒苺」というCDを持っています。
NODA・MAPの舞台「エッグ」(2012年)で深津絵里が演じた架空のシンガーソングライター・苺イチエのアルバム。全作詞野田秀樹、全作曲椎名林檎という貴重品。ま、舞台は見てないんですけどね。
余談の余談ですが、野田秀樹作詞と言えば、井上陽水「夢の背中」という、あまり知られてないけどいい曲があるんですよ。これは何の舞台で使われたのかな?使われなかったのかな?
井上陽水は三谷幸喜からの依頼で作った「You Are The Top」という曲もあるんですが・・・
こうした行方の分からない話は長くなりがちなので、この辺でやめときましょう。

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