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ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』雑感(今さら)

オダギリジョーが演出・脚本・編集を手掛けた超豪華キャストドラマ。2021年9月17日から10月1日までNHK総合で毎週金曜22時放送。45分×全3話。
録画していたものをやっと鑑賞。

放映前には「僕の作品は賛否分かれる」とのオダジョーの自虐コメントがあり、最終回放送後は「ネット騒然」という見出しも見てしまったので、どんだけヒドいのかと思っていたんですけどね。
面白かったです。とっても面白かった。
腰が抜けそうなほど豪華キャストが真面目にふざけている。
佐藤浩市のスーパーボランティアなんて、見てるだけで可笑しいもん。

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しかし、私の感想も賛否両論。

まず「ネット騒然」の最終回ですが、私も騒然としました(笑)。
事件解決(現場特定)の理由が「放送時間の都合」というのでオイオイと思ったけど、まあ、騒然ってほどでもない。
その後、大乱闘シーンになるかと思いきや突如ミュージカルになるのも、ちょっとビビるけど、ナシってわけじゃない。
問題はその後。
一件落着 → でも、もっと悪人がいる。というありがちパターンから、その巨悪に挑み、さらに謎が深まるような壮大な「予告」的なものが提示される。
でも、最終回。
端的に言えば、回収しない謎をたくさんぶちまけて The END。
おそらく、これが「騒然」の理由。

鑑賞後、一晩つらつら考えたんですが、私は「賛」です。
穿った目で見れば、これは最近のミステリードラマに対する揶揄なのではないかと。

いやもう、最近のミステリーは、もはやドラマではなくただの「謎解き」。
謎をぶちまけて「視聴者の興味をひけばOK」みたいな姿勢が目立つ。
有体に言えば、『MIU404』は秀逸なドラマでしたが、『あなたの番です』はただ奇をてらっただけでドラマになってない。むしろ奇抜なクイズ番組。

「みんなそんなに謎が好きなら、謎だけぶちまけてやるよ」という気概が感じられたので(勝手に気概を感じたので)私は「賛」。
ある意味、ふざけてるんですよ。
しかも、ダイジェスト風にわざわざ新たに撮影している。
真面目にふざけている。

一方、「否」もあります。
オダジョーの着想元がだいたい分かってしまう。
ヒドい言い方だけど、文字通り「お里が知れる」。

音楽はEGO-WRAPPIN'の森雅樹。オープニング曲は俺のカラオケ十八番だけど歌ったところで誰も知らない『サイコアナルシス』。これはオダジョー主演ドラマ『リバースエッジ 大川端探偵社』の縁でしょう。

おそらく多くの人はドラマ『時効警察』に似ていると思ったに違いありません。僕たちの女神=麻生久美子もすっかりふせえりのポジションだし。

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ただ私は、1話完結形式の『時効警察』より、同じ三木聡のドラマ『熱海の捜査官』に近いように感じました。『熱海の捜査官』大好きなんだ、俺。

さらに言えば、オダジョーと香椎由宇出会いの映画『パビリオン山椒魚』の雰囲気もあります。
いやもう、あのミュージカルは若きオダジョーがチャン・ツィイーと共演した鈴木清順『オペレッタ狸御殿』だし、我修院達也登場は(オダジョーは出演していないけど)映画『鮫肌男と桃尻女』へのオマージュに違いありません。
ちなみにあの「押忍!」ネタは『水曜日のダウンタウン』だしね。

これは、着想元あるいはオマージュを探す「楽しみ」と考えてもいいのかもしれません。松重グルメネタなんかは正しいパロディーですしね。

でも、「消化(昇華)できていない」ようにも見えるのです。
『時効警察』っぽくて面白かったけど、『時効警察』を超えられた?
これが正直な感想。
結局、その面白さは、いつかどこかで見た何か「風」。

もっと正直な感想を言えば、オダジョー、ばっさーをベロベロしたかっただけなんじゃねーの?


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