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子供の頃、公園の砂場で砂山を作るのに熱中したことを鮮明に覚えている。

集めて、固めて、そして崩す。

時に砂山を砂場に残しておくこともあったけれど、次に砂場に行くときにはいつも壊されていた。

中学、高校生時代、幾多の恋をしたことを鮮明に覚えている。

出会って、仲が深まって、そして関係は崩れる。

時にうまくいくこともあったけれど、それでも完全に成就することはなかった。


砂遊びをするときには様々な道具を使った。スコップ、バケツ、ふるい等々

これらの道具を駆使して砂山にトンネルを作ったりした。
作っている最中にトンネルが壊れることもあった。
そのたびに泣いたり、いじけたり。

砂山にトンネルを作り終えた時、一時の達成感が味わえるが、実際その後はただ茫然と砂山を眺めているしかなかったような思い出がある。

恋をした時、好きな人とLINEができることを切実に望んだ。

対面で話すときの声のトーンや、身だしなみ、自身の様々な行動等、恋をしているときはそのすべてに気を使った。

上のことに細心の注意を払いながら、丁寧に関係性を築き上げていった。
関係性を築き上げる途中で破綻してしまうことしかなかった。
破綻するたびに違った感情に出会うことができた。

一度だけ心がつながれたことがあり、幸せにあふれた日常を謳歌した。
しかし、別れた後は言い様のない無力感に襲われた記憶がある。


砂山は一度作ってしまうとどこにも動かすことができない。手で掬おうとすると指の間からさらさらと、無情な音を立てて砂山は崩れ零れる。

一度実った恋心も、自分ではどうしようもない。心は手で触れることすらできない。そのもどかしさに身悶えてキシキシと音が鳴る。

(次作に続く)


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