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ペパボのデザイナーが書きました

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GMOペパボ株式会社のデザイナーが note に書いた記事をまとめています
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消えるUX

議事録に書かれた幸福な落書き社内の会議で、ひとりがGoogleDocumentで議事録をとり、リアルタイムでみんながそれを手元で読みながら話し合うことが良くある。 会議が煮詰まってくると、誰からともなく議事録の末尾にくだらないことを書く。お腹が空いたとか、意味のない絵文字とか。それでくすくす笑い、温かい空気を作り、話し合いの本題へ戻る。 会議が終わる頃にはそんな落書きも消して、真面目に話し合ったような顔で綺麗な議事録が残る。チームに奇妙な連帯感が残る。その空気の心地よさは

見えない時間を見せるデザイン その2

前回の記事では「期限」および「記憶」の時間の見せ方について述べた。 今回は「所要時間」について考えてみようと思う。 例えば、GoogleMapGoogleMapでは、出発(到着)時刻or終電を設定すると、距離・運賃・時間を合わせて、ルートをいくつか提案される。 人はなぜ所要時間を知りたいのだろうかそれは以下を知りたいためだ。 - 自分が何時に家を出ればいいか - そのためには、あと何分で手持ちのタスクを片付ければいいのか - それが達成できなかったとき、どういう結果にな

見えない時間を見せるデザイン

アプリケーションにおける時間の表現はさまざまであり、人間の欲求と、置かれている状況を常に意識してデザインすることが求められる。 DBに入っているからと言って日付をそのままYYYY/MM/DDで出すということは、冷蔵庫に入っているトマトを洗わずに食卓にのせるようなものだ。 時間は目に見えない時間というのは、人間が勝手に決めた決まりごとである。人類が平和に暮らすために明示的にした、ただの共通認識だ。 「期限」の見せ方「期限」を知りたい時、時刻は重要でなく、自分がいま何をする

ユーザーに優しいマニュアルを作る5つのヒント

この記事は、「マニュアルのUXはどうあるべきか?」の後編です。 前編はこちら >> 例えばこんなことはないだろうか。 あなたは、カレンダーアプリを開いている。家族とイベント情報を共有したくなったが、どう操作すれば分からない。 膨大なマニュアルの中を探し、たくさんのページを開いたら、詳細なシステム仕様の中にほんの少しだけ「どうすればいいか」が書いてあった。 やれやれ、10分も使ってしまった。これなら家族にはLINEで伝えたほうが早かったよ。 マニュアルは資産であるマニ

マニュアルのUXはどうあるべきか?

あなたはいま、フリマアプリを開いている。家の不用品を売るためだ。 出品したリュックが売れて、購入者に送付しようとしたが、その配送方法を変更したくなった。画面を探しても説明が書いていない。 できるのか、できないのか。マニュアルがどこにあるのか、お問い合わせが必要なのか。よくわからない。 購入者からは「明日には配送してほしい」とメッセージが来ている。あなたは焦ってしまう。出品額たかが1,000円のために、頭を抱えてしまう。 はて、一体どうしたものか... UIデザイナー

忘れていいUX

突然だが、「Evernote」の価値とは何だろう。 こう聞くと「何もかも記憶すること」と答えが返ってきたりする。 いいえ。Evernoteの最大の価値とは 「そこに書けば何もかも忘れていい」ということだ。 Elephants never forget - 象は忘れない人間の脳はそこまで多くのことをずっと覚えておけない。Evernoteを生活のデータベースとして使うことで、人間は「覚えておく」というプレッシャーから解放され、いま目の前にある生活にさらに集中することができる。