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エンニオ・モリコーネ

2020年07月06日、「エンニオ・モリコーネ」が逝去された。

虫の知らせとでも言うべきだろうか、偶然にも「エンニオ・モリコーネ」が逝去する数日前に、彼のアルバム「THE ITALIAN WESTERN COLLECTION」をアイチューンでダウンロードしたばかりで、この数日、ヘビロテしていたのだから驚いたものだ。彼のアルバムを聞いたのはずいぶん前に「海の上のピアニスト」のサントラ盤を聞いたくらいであったから、常にチェックしていたわけではない。

きっかけは、「クウェンティン・タランティーノ」の映画「ジャンゴ~繋がれざる者」を見たからである。この映画の音楽監督としてクレジットされており、アカデミー賞作曲賞にも輝いた「エンニオ・モリコーネ」に行きつくのは自然な流れだろう。そして、改めて「セルジオ・レオーネ」監督の「ワンス・ア・ポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト」を見る。そして、その映像美と音楽の融合に痺れたのだ。

「エンニオ・モリコーネ」と「セルジオ・レオーネ」の関係性は幸福なものに映る。音楽に合わせて映像を構築したともいわれている。

「エンニオ・モリコーネ」が後世に及ぼした影響は計り知れないと思う。
映画音楽、そして映画、さらに音楽。

有名な話のひとつ、「メタリカ」はコンサート開始前に「エンニオ・モリコーネ」の「エクスタシー・オブ・ゴールド」を流す。また、この楽曲をメタリカによってヘビメタにアレンジされたものがトリビュートアルバムに収録されてもいる。我こそは継承者である、という宣言のようにも聞こえる。

極端にいえば、「エンニオ・モリコーネ」の影響はジャンルを飛び越え、ヘビメタの極北といっていい「メタリカ」に継承され、あのせつなくヘビーでブラックな一連の楽曲の中に息づいているのだ。
もし、今後、ハリウッド西部劇映画が再び製作されるのであれば、メタリカにオファーすべきではないかと思う。

「エンニオ・モリコーネ」は1928年生まれ。奇しくも黒澤明の「用心棒」の音楽監督である「佐藤勝」さんも同じ1928年生まれである「佐藤勝」はゴジラなど日本映画の傑作に多く参加している。調べてみると、映像と音楽の融合という信念のもと、能楽とかを学び取り入れたとある。

「用心棒」を見た「セルジオ・レオーネ」が「黒澤明」に影響を受けたと同時に、それを一緒に見たであろう「エンニオ・モリコーネ」が「佐藤勝」の音楽に刺激を受けたのではないかと思える節もある。もしくは、同時代に生きた二人が同じインスピレーションを感知し、お互いに影響を与えながら、日本とイタリアにおいて、映画音楽を発展進化させてきたのではないか、という思いに駆られる。

日本文化を擁護したい私にとって、世界の映画に多大な影響を与えたのが「黒澤明」だとすると、映画音楽にも「佐藤勝」という才能が影響を与えたのではないか。

モダニズム建築、絵画、など、ジャポニズムの影響により、多くの物事ががらっと変わった時期がある。西洋文明に大きな変化の潮流を与えたのが日本であり、先の大戦も含めて、日本の影響は大きいのではないか、と、私が信じて止まない日本文化優位論を強化させたくなるのであった。

「北野武」と「久石譲」のコンビでヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞にかがやいた「HANA-BI」。
このへんにまで繋がってくるようにもおもえるのだった。

昨今の日本の映画業界は、邦画の公開数が年間600本を超えているらしい。洋画と合わせると1000本を超える映画が毎年公開されているらしい。映画産業の黄金期であった1950年代よりも多いらしい。ネットフリックスなどの影響で公開数が減少しているように思っていたがそうでもなかったらしい。意外な現象である。コロナ騒動で2020年はどうなるだろうか。大きなダメージかもしれない。

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