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湯シャン

湯シャン歴12年の美容師さんの動画が何故かオススメに表示されたので、見てみた。フケや痒みの原因は、そもそも、シャンプーして、頭皮の脂分を全て落としてしまう事により、頭皮が乾燥し、剥がれ落ちるのが主原因ではないですか?という内容。

確かに、シャンプーした後に、すぐにフケ状のものが落ちる事があり、またシャンプーした事もある。

お湯で洗うくらいで、良いらしい。匂いも気にならないらしい。そして、体も同じでボディソープを使わず、お湯で洗うだけで良いらしい。

ふむふむ。

早速試してみる事にした。

浴槽に熱めのお湯を貯める。気持ちバスソルトを入れてみた。
そして、湯船の中で、荒めのボディタオルで全身を洗う。
頭からお湯をかぶり、柔らかめの頭皮用ブラシで揉み込む。

高温のお湯ではなく、35度くらいがいいらしい。皮脂を落としすぎない方が良い。体もゴシゴシ擦らなくても良いという。
ついつい、ゴシゴシしてしまったが。

湯船のお湯は、私から出てきた成分で薄く濁っている。
ああ、これは、私の出し汁だな、と思った。
たっぷり全身をお湯で洗いあげて、シメにシャワーを頭からかぶりながら、湯垢を落とす。

シャンプー、ボディーソープなど、一切使わなかった。

湯上がり、体は適度な油分が残っているため、しっとりしている。
以前だと、乾燥した肌の一部から白い粉が吹いている事もあったのだが、そういう感じもない。

猫が駆け寄ってきて、抱っこする。いつも以上に、ピタリと密着してくる。
なにかの一体感を感じた。

考えてみれば、猫のシャンプーはいつしただろうか。
よっぽど汚れた時に一回したくらいで、もう、数年はシャンプーしていない。
だからといって、猫は臭いわけでもない。舌でお手入れしているのだろうが。
なるほど、お湯だけでいいのだな、という事がわかる。

地球上で毎日シャンプーしてる人は、ほんのごく少数らしい。

昔の日本人はどうしていたのか。せいぜい、石鹸くらいだろうか。

いつも以上にすり寄ってくる猫。嗅覚の鋭い猫にとって、シャンプーやボディソープの残り香は本能的に心地よくないのだろう。

猫の体毛も、うっすらとツヤがあるが、自然と分泌される油分でコーティングされているのだろう。

毎日、界面活性剤で表皮の油分を落としまくっているから、逆に、異常事態として皮脂が多量に分泌されるという理屈であった。加齢臭も止まったらしく、抜け毛も減り、髪質もしっかりしてきたという。
汚れはお湯で落とすくらいでちょうど良い。プロの美容師さんの主張だから、説得力があった。

猫との一体感、つまり、生物として対等の状態になっている、という事だろうか。

毎日シャンプーしなければならない。これも、戦後に生み出された国民的な既成概念であったという事だろう。
朝食を食べる習慣は、パン業界の宣伝とか、トースターの宣伝とか、ベーコンの宣伝とかの説がある。
現代の日本で醸成された既成概念を列挙していけば相当なものがあると思う。

世界的に醸成された既成概念、日本人特有の既成概念、沖縄固有の既成概念、所属する企業の既成概念、家族の中で醸成された既成概念。そして、個人的に作り上げた固定観念。我々は、多くの概念や観念という名の表皮を纏いすぎたらしい。

猫がすり寄って来る。これは、猫にとってみれば一体感を感じたという事だろうか。

肉体的に自然に帰る。そして、精神的にも素に帰る。
こういう事が求められているのだろう。


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