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お笑い向上委員会に学ぶ。

お笑い向上委員会の動画は良く見てしまう。
芸人にとって、あの番組に呼ばれる事は召集令状が来る事に等しく、最悪、芸人としての死を覚悟するらしい。

あのルールなどないお笑いの戦場では、臨機応変な総合力が要求されるのだろう。

三又又三はさんまから求められている事がわからずに震えて泣き始める。マジであった。流れが読めない芸人は、ことごとく自我崩壊していく。残酷なくらいであり、実力が一瞬で露呈するようだ。

特筆したいのは、今田浩次、中川家、飯尾、ゆりあん、岩井ジョニ男、のポテンシャルが凄い事だろうか。お笑いの総合格闘技のリングのようにも見えてくる。

大阪にて3年間暮らした時に、お笑いの力をつけたいと本気で思った。大阪で出会う人のポテンシャルはすごかった。日常会話が漫才。
頭の回転が速くなるのだと思う。空気を読み、誰かが滑ってもその場を立て直す剛腕の人もいる。

さんまさんはお笑い怪獣といわれるだけあって、すさまじい能力であると思う。正座をしてみるべき番組が多い。副音声で解説付きで見たいほどのものがある。秒速の瞬発力。
松本人志もすごいと思うが、さんまの瞬発力よりかは少し遅いと思う。少し遅いがボケの威力は芸術的。浜ちゃんのツッコミの瞬発力は早い。
今田浩二がかなり肉薄しているように思う。

ホリケンと爆笑問題太田が、空気を読まずに脱線させる。進行を阻害しているので、見ていて疲れる時もあるが、あえて、この二人を登場させ、予測不可能な環境を作り出そうとしているように思えた。うんざりする芸人、本気で怒り始める芸人もいるが、剛腕、飯尾が登場し、ボケ老人をあやすような感じで見事に回収する。

日常生活においても、グループの中に一人は空気の読めない人が出てくる。場合によっては、自分自身がそうであったりもする。そのような時にも、イライラせず、怒ったりもせず、ボケとツッコミでその場を収める事が出来たなら、どんなに素晴らしいだろうか。そして、自分自身がスベってしまった時に回収してくれる人がいたならば、どれほど救われた気持ちになるだろうか。

以前、ビーフォーアフターへの出演オファーが来た事がある。ディレクターが事務所まで来てくれた。インタビューの模様を動画で撮影された。
結局、出演の機会はないまま番組自体がフェードアウトした。
匠としてキャッチフレーズが付く。空間の魔術師とか、恥ずかしくなるようなキャッチフレーズになるのだが、自分にはどのようなキャッチフレーズをつけてもらいたいか、真剣に考えた時期がある。
そこで到達したのは、たくさんの匠の中で最強に面白い存在でありたい、と思った。どのような登場シーンが面白いかを考えた。
ずーっと、小脇に猫を抱えていよう、とか、どれだけボケられるか、とか。
当然、仕上がった空間がお笑いであってはダメで、感動を呼ぶクオリティ。しかし、それを生み出す過程はお笑い。
そのギャップ。ギャップにこそ価値がある。そう思った。

建築家業界において、お笑いの力がもの凄い。
そんな称号が欲しいという欲求がずっとある。

どのような環境であっても、笑いの力で、なんとでもできる。
さんまの教えのように思えてくるのだ。

さんまは若い頃、弟を火事で亡くしている。そのときに「生きてるだけで丸儲け」という概念にたどり着く。悲しみを胸に秘めて、笑いの力を信じて、夢中で生きている。
ニーチェのいう「超人」が具現化したような存在ではないだろうか。


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