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Vol.121:「月桃神テツ」の覚醒

「月桃神テツ」は私にとっては、謎であった。

見えない世界の何かを見通して、分かり得ない事をスッと言い当てるような事が出来るのだが、普段は、一つの事に集中出来ないし、人との会話を継続出来ないような事もあった。

生前の「マークタイラー」は、テツは10言って1しか聞き取れない、とこぼしていた。3次元において、一つの物事や会話に集中出来ない部分に、がっくりしていた姿を思い出す。才能はあるけど、なかなか難しい、というのがマークタイラーの見立てであった。

カフェで彼と話している時など顕著で、彼からスタートした話題に、皆でトークを弾ませているのに、彼の関心事は窓の外の何かに移る。心ここに在らず、という感じで、「鳥さんだ」などというのだ。子供のようであり、場合によってはメンタルの症例のようにも見えたかもしれない。彼への関心があった私は、随分、そんな彼を受け入れて、辛抱強く、対応していたが、次第に疲れ果てる。真面目に話しかけても、「今何を話してたっけ?」と返されると、継続する意欲を無くし、「いや、なんでもないよ、忘れて」と心が折れたりするケースが多かった。

車に乗せて移動する際にも、会話の途中で、窓の外に見えるものを見て、会話の本題が次々と移り変わる。

マブヤーをほぼ全て落としたままだったらしく、いろんな存在が入り込むのを楽しんでいた節がある。ときおり、激しく何かとチャネリングしてしまうと、「あれ、テツがポンコツになった」と、もう、どうしようもなかった。

そんな「月桃神テツ」に寄り添い続けていた「観察者ユリヤ」。

「尚龍ジミー」によってマブヤーを取り戻す事ができた。三日間、儀式で使ったススキを枕元に置いて眠る事と言い渡されていた。

それから二晩が過ぎた時点で、チャネリングの精度と量が増してきた現象を垣間見る。それまで「観察者ユリヤ」しか見えていない世界も「月桃神テツ」は見通せるようになっており、「観察者ユリヤ」を驚かせた。そして、次々とメッセージを送ってくるようになる。

明らかに変化した「月桃神テツ」とクラブハウスでトークをした。これまでであれば、人からの質問の意図が分からず、何度か聞き返す事が多かったのだが、スムーズであったし、MCぶりを発揮する姿もあった。参加者も「月桃神テツ」の変化を感じ取っていた。

7つあるマブヤー、という概念。それを落としてしまうという概念。落としたマブヤーを探して再び組み直すという概念。

これは、真実の世界である、と、思わざるを得ない。

そして、人はほぼ全て、幾つかのマブヤーを落としたままになっているのではないだろうか。その人の本質は輝いており、現実社会に適応できなかったり、ポンコツな部分があるのは、マブヤーを落としているから、と解釈出来るかもしれない。

「月桃神テツ」のこれからが楽しみでもある。マブヤーを7つあるうち6つも落とした状態であっても、やや不思議な人という感じで、現実世界で30年を生きてきたし、充分愛されてもきた。全てのマブヤーが揃い、それまでの不思議な能力も温存している「月桃神テツ」はこれから何処に向かうのだろうか。

続く。

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