占断:愛の行方(2)
2014年、今から約5年前、ある中年男性から以下のご依頼がありました。とある12月のクリスマス頃にあった問い合わせです。
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「復縁について鑑定をお願い致します」
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《依頼内容》
・私は既婚男性48歳(1966年X月22日生)。妻と会話なし。
・相手は会社の後輩女性27歳(1988年X月6日生)。遠距離の彼氏から連絡なし。
・私は明るく優しい彼女を好きになる。
・今年6月末、私に雑談メールが届く。私は返信で好きと告白、彼女も私を好きと判明。
・7月上旬デート、8月上旬キス。9月上旬結ばれる。私は離婚して彼女と一緒になる気に。
・10/1、彼女の上司が異動し彼女はひどく動揺。私は気遣いのメールを送るが、彼女からの返信が激減し、理由を話してくれない。
・彼女は、いっぱいいっぱいのときは独りになりたくなるし、望んでいないときに好きと言われると追いかけられているようでイヤだと感じていたとのこと。彼女は自分の思いを言葉にするのが苦手。
・現在の彼女は「好きでも嫌いでもなく、単に私への興味がなくなった」とのこと。
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ここはお試し鑑定の場でありほぼ120字程度のワンポイント回答が求められています。さぁ、皆様でしたら、どのような答えを準備しますか?
【お二人についての推命学的見解とは】
1)まずこの48歳の男性の特徴をお話しします。
・この方は知的なタイプであり、学問好きなので学歴など表面的には成功者の部類に入って良い星を持っています。そこでどうしても社会的な認知度に重きを置き、サラリーマンになり出世を夢見る人ですが、その願望がどうにかこうにか曲がりなりにも保てる運気が45歳までとなっています。
・しかし45歳を過ぎると、これまで積み上げてきたものがだんだんと崩れ始め、職場環境のみならず家庭においても不和を起こし、あたかも取り残されたような孤独感を心の内に抱えていくことになります。
・こうした心の支えを見失うことで心に隙間が生まれやすくなり、世の中の泥臭い面や厳しさ、切なさや儚さに打ちひしがれお辛い気持ちにさらされるようになります。
2)次に彼が復縁を望んでいる「彼女」の命理については以下のとおりです。
・天真爛漫で可愛らしい性格の方ですが、おっとりしている割に多情多感であるためやや神経質で、常に男性からチヤホヤされるだけでなく、心のつながりをスキンシップで確かめたい感覚の持ち主です。
・すでにお若い頃から素行が乱れやすく、異性との不純な交友関係を持つ特徴を持っています。
・依存心が極めて強く、安易な考えでだらしない生き方をする型式を持っています。
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「22歳」も離れたいわば親子ほども差のある男性が、
若い女性と関係を持ち、ご自分の家庭を放棄しようと心が作動している現実の例となりました。
星から見ても、この男性は、比較的順風満帆に人生を送ってきた形です。
しかし、たとえ知的なタイプであっても、
メンツや世間的プライドというこれまでこだわって生きてきたものさえ捨て、
常識で考えればわかりそうなものも見えなくなって、
自分の感情に人生が乗っ取られてしまいかねない危険な状態へと、
運勢が悪くなると落ちてしまうものなのです。
人は危機的な状態になればなるほど、
自分の存在をかけ、自分しか見えなくなります。
こうなると、人間の奥底の本性が現れてきます。
【自分の地平しか見えないゆえに死角の罠に落ちる】
人は、公的な立場と私的世界の間を行ったり来たりして生きています。
どちらか一方に偏りすぎることなく、
バランス良く生きることで人生が展開されなければなりませんが、
現実にはなかなかそうはいきません。
恋愛感情を満たすというのはプライベートな世界ですので、
そこには自分のらしさを追求できる環境であってほしいし、
私的空間がうまくいっているときは、何もかもがひとつになっているように見えて、その前提で相手と世界を全て共有しているという錯覚が生まれやすいものです。
しかし、
考えなければならないこと、
同時に忘れてはならないのは、
その人それぞれ独自に、意識における「地平」という特有の領域を持っているということを意識(=meta)して自己と他者を区別しわきまえる必要があります。
夫婦においても、恋人同士の関係についても、しかりです。
あらかじめ住んでる世界が異なっていることを前提にし、
関係を良好に保ちたいなら
円満さを追求するのだという明確な目的意識を持ち、
住んでいる世界の異なる独立した存在として相手と自分を分けて
相手との間にいかに橋をかけるのがベストなのかという発想が必要です。
しかし得てして、
我々は心を許した相手を特別視し、
その「プライベートな空間」こそ
他者である相手と完全に同化できるものという幻想(仮象)を前提にして、
そうなっていない現実が出てくればそれをそのまま不平不満に変えて生きていきやすいのです。
この男性の相談者も、
自分の地平がすべてであり、
その中で映る彼女をそのまま本当の彼女と錯覚し、
彼女がどのような地平の中に実際は生きていて、
彼女にとってご本人はどのような位置にあるのかが全く想定されておらず、
その現実が見えないし理解できない状況へと陥っていると判断できます。
【断易を立ててみた、二人の関係性】
こうした関係性を尋ねるに、
命理から見た世界で概ね見当がつくのですが、
実際の現実に肉薄するには「断易」を使ってその状況を捉えることができます。
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《実占例》判断の卦は以下の通り
子月壬申日(戌亥空亡)
〔水風井~沢水困に之く〕
‥ 子(父母)
ー 戌(妻財):世爻〈空亡〉
‥ 申(官鬼) 〜 — 亥(父母)
ー 酉(官鬼)〜 ‥ 午(子孫)
ー 亥(父母):応爻〈空亡〉
‥ 丑(妻財)
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断易では、この二人の関係は世爻・応爻ともに空亡になっている「虚約の象」を示しています。
・世爻に妻財爻を示しているのは、相談者はどうしようもなく、彼女と一緒にいたい思いがとても強くあることを意味する。空亡して休囚していることからその思いは諦めざるをえない状況の流れにある。
・彼女はといえば、旺相して空亡している。彼のことはすでに眼中になく上の空であり、嫌気がさしている感情を持っている。
・世爻と応爻の間にある、間爻が官鬼爻でかつ発動している。これは彼女の周囲には相談者以外に複数の男性がおり、その男性とは登場人物として出てきている「上司」と「遠距離の彼」であることは間違いなさそう。
・位置的には彼女にとって近い距離にある男性がいなくなっていることを示している。この話の通り上司が移動したことと一致しているように見える。また、もう一人の男性は、動いているので劇的に接近して、彼女の心の中に入り込んでいることを示す。おそらく年末でもありクリスマスの行事に合わせてこの彼は行動を起こそうとしていることがうかがえる。
以上の内容が示されました。
これではどうあがいても方法は見当たりません。
仕方なく以下のように回答するしかありませんでした。
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彼女は、優しいのですが男性からチヤホヤされ、
大事にされたい愛され上手な振る舞いをします。
精神的不安定さをお持ちだからです。
結果TPOによって心が変化し複数の男性が追いかけることにもなります。
残念ですがこの恋愛は常に変化し定まらないということができます。
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以上になります。
他者を理解する上で、「地平概念」について再考してみてください。
そして、まず、他人を批判したり判断する前に、自分自身にある意識の地平を確認してください。
自分自身が住んでいる地平を知るとは
「限界線を知る」ということでもあります。
『自分』という時の、自らと他者とを分かつもの、自らの意識の分限を明確に知るということ
このことを今一度考えてみましょう。きっとそこから別の世界が見えてくることでしょう。
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