サイゼリヤが好きだ

サイゼリヤが20年8月期決算において34億円の赤字決算となりました。2009年8月期決算以来の11年ぶりの赤字です。直近の 2021年8月期 第1四半期の決算ではかろうじて2.5億円の純利益を出してますが、前期比8割減と厳しい数値です。昨日には堀埜社長が「ふざけんなよ」と発言したことでも話題となっています。

僕はサイゼリヤが大好きで、週に1回は利用しています。サイゼリヤを認識したのは社会人になってからで、利用し始めてからまだ10年弱です。サイゼリヤ常連の中ではまだノンキャリ組ではありますが、決算内容やあの会見を見て好きな飲食店が苦境に立たされ続けるのは辛いため、応援したくなる記事を書きたいと思いました。ということで、私見に基づくサイゼリヤの素晴らしさと推しメニュー（テイクアウト可）を綴ります。

・・・とはいえちゃんとサイゼリヤについて勉強しないと駄目だと感じましたので、改めて以下の二冊の本を読みました。サイゼリヤ会長の正垣泰彦さん著の「サイゼリヤ　おいしいから売れるのではない　売れているのが美味しい料理だ」と、山口芳夫さん著の「サイゼリヤ革命 -世界中どこにもない”本物”のレストランチェーン誕生秘話」です。

正垣さんの本は金言がたくさん、山口さんの本はルポ風で求心力のある内容です。どちらの本も良作で読みやすいです。この記事を読んだ後サイゼリヤに興味が出ましたら、是非読んで見てください。

それでは、以下に僕の考える素晴らしさと推しメニューを語らせて下さい。

１．自社生産で安くて美味しい

まず圧倒的に安いです。サイゼリヤの会計では毎回「えっ！？これだけでいいんですか！？」と思わせてくれます。たらふく飲んで食べても１人あたり毎回2,000円以下に収まっています。ミラノ風ドリア300円、グラスワイン100円、辛味チキン300円、小エビのサラダ350円と、、、躊躇なく頼めるのみなさんの知るところです。

そのうえで、サイゼリヤのすごい点は安かろう悪かろうではなく、値段から考えるととても美味しいことです。食べるとこの価格なのに、この味でいいの！？と思いませんか？ もちろん高級店の味にはかなわないけれども、日常に取り入れられる値段で飽きが来ず美味しく食べられるのは、相当な企業努力があってこそのものだと思います。そして味付けが素朴で、年々この素朴な味付けに惹かれている自分がいます。

こうした美味しさの秘訣には食材へのこだわりがあります。サイゼリヤの正垣会長は「料理の味の良し悪しは80％が食材で決まる」と語っており、食材へのこだわりの一例として、製造直販を実施しています。

製造直販とは企業自らが食材の生産、加工、配送までを一括で行うことで、これによりサイゼリヤは理想の品質（味）を追及しています。福島にレタス、葉ものや畜産業の自社農場を持ち、オーストラリアにはハンバーグや乳製品の自社工場があります。福島の自社農場では苗種会社との一緒に研究し、サイゼリヤのPBレタスも開発しているほど生産に入り込んでいます。取引先から仕入れている食品に関しても、取引先と納得のいく品質になるまで協議、開発していくそうです。またこれにより値段も安く抑えられているのだと思います。

食材へのこだわりは生産だけではありません。食材保管時の ①温度、 ②湿度、 ③収穫からの経過、 ④運搬時の振動にもこだわりがあります。野菜のまわりの温度は４度、運搬時の湿度を保ち野菜の水分を出さない、(経過時間にこだわって) 細菌繁殖を防ぐ、 振動による劣化や変質を防ぐ（例.振動でミルクが分離してバターになる）といった具合に運搬にも相当気を付けられています。こうした様々角度からのアプローチと努力により、あのおいしさがあると思うと、ひとしお有難く食べられる気がします。

２．カミッサリーによるサーブの早さ

サイゼリヤはサーブが早いです。だいたいちょっと待ってる間に料理がサーブされます。遅いより早い方が絶対良いですよね。

速さの秘密はカミッサリー（工場・セントラルキッチン）で極限まで料理が下処理・加工されて料理が店舗に配送されていることです。その結果店舗のキッチンでやることは少なくなり、サーブが早くなりますし、やる作業自体もシンプルなため味にブレも出にくくなるという素晴らしいシステムが構築されています。

またサイゼリヤは店員も教育されており、がっかりするような対応は受けたことがないですし、キビキビ働いている人が多く見ていて気持ちがいいです。

３．快適・清潔

いつどこの店に行っても清潔です。汚いなあと思ったことは一度もありません。個人的に清潔さは飲食店でとても重要な点だと思っているので、これだけでも好感が持てます。

誤解を恐れずに言うと、サイゼリヤはファストフードの価格帯なのに椅子とテーブルがしっかりしています。これはサイゼリヤがファストフード店ではなく、テーブルレストランであるからなのですが、回転率を負けるために硬い椅子にすることなく、ゆったりと食事をできる環境があることが僕のリピートする要因の一つになっています。

４．会社自体が優良

財務諸表でも優良企業である点がサイゼリヤのかっこいい点です。

さすがに直近の決算の収益性や効率性は良くはないですが、過去の3年まで遡ってみてみると利益率も高水準、企業の管理効率も◎でした。

それでも企業としての安全性は依然として高いです。20年8月決算の安全性の指標を見ると、短期的な安全性を測る流動比率は223％（通常150％以上が優良）、長期的な安全性を測る固定比率は79%（100％以下が優良）、自己資本比率も66.4% (50%以上は欲しい) と優秀な数値を叩き出していますので、サイゼリヤの企業としての体力はかなりあり、すぐに潰れるようなこともないでしょう。（飲食業界の分析をしたことがなく、優良の％妥当か正しくないかもしれませんが、一般的な目で見て優良だと判断しました。）。

５．推しメニュー３選 (テイクアウト可)

全国的にコロナウィルスの感染者数が増えてますので、今回はテイクアウト可能な推しメニューをチョイスしてみました。

① 柔らか青豆の温サラダ（店内200円、テイクアウト190円）

サイゼリヤに行くと毎回頼むメニューです。ベースの素材は青豆の青臭さに卵の甘味、そしてベーコンのしょっぱさがシナジーを生んでいます！また青豆の柔らかいのに弾けるような食感もたまりません。ワインのおつまみにもよし、サイドディッシュにもよし、タンパク質を取るにもよしです。

とてもおススメのメニューなのですが僕の友人はあまり得意ではないと言っていたので、もしかすると好き嫌いが分かれてしまうメニューかもしれません・・。が、ひとつ 200円なので食べたことのないかたは一度試してみてもらえると嬉しいです。

②バッファローモッツァレラのピザ （店内500円、テイクアウト490円）

色々とサイゼリヤのピザを試してみましたが、一番オススメはこれです。なんといってもバッファローモッツァレラの味です。口に入れた瞬間感じる芳醇なミルクの香りた少しパリパリのピザ生地、、たまりません。シンプルなピザですが、それだけにバッファローモッツァレラの素材の良さが分かります。

モッツァレラチーズは生鮮品で30日しか消費期限が持たないそうです。サイゼリヤはある時イタリア人からお歳暮として大量のモッツァレラチーズもらいました。すぐに消費しきれないので冷蔵庫に入れておいたそうですが、数ヶ月後に食べたら製造直後とまではいかないけれども十分美味しいことに気づいたそうです。そこからイタリアのｎ取引先に冷凍するようにお願いをし、取引先と冷凍のノウハウを研究し5年かけて高いクオリティで日本へ運搬することができたそうです。

③ミラノ風ドリア （店内300円、テイクアウト290円）

言わずもがなの定番商品です。皆さんも好きなのではないでしょうか。もはや説明不要のドリアだと思います。

個人的にはホワイトソースが美味で、味にコクとしまりをつけている感じがします。ホワイトソースはオーストラリアの自社工場で生産されています。ソースのこだわりは並々ならぬもので、乳牛への肥料を調整することで開発されています。１食分には約500mlの生乳をも使用されていて、そう考えると本当にお値打ち商品です。

ミラノ風ドリアは一番売れている商品です。つまり一番お客様に喜んでもらえている商品であり、安くすればもっと喜んでもらえるという理由のもと、99年に480円から290円に値下げされました。20年以上たったいまでもこの価格帯を守ってくれているのは本当に感心します。サイゼありがとう。

・・・他にもコーヒーゼリーや若鶏のディアボラ風、グラスワインなどもおススメしたいのですが、今回はテイクアウトできる製品にチョイスしましたので、泣く泣く外しました。

６．最後に

僕は飲食業界とは無関係の業界で働いています。業界は違えど、安くて美味しいものを出し続けるというのはしんどく大変なことであり、サイゼリヤが顧客のために絶えまない企業努力をしているのは想像に難くありません。派手な広告も打たずに、「美味しく、安く、早く提供する」という当たり前と思われかねない基本的なことを真摯に提供し続けているサイゼリヤが僕は大好きですし、これからも応援したいと考えています。この記事を読んだ方が少しサイゼリヤを応援してくれると、この記事を書いた甲斐があります。

今この状況下で積極的にサイゼリヤに行って飲食しましょうとは高らかに言えません・・・。店内でご利用の際は、少人数で短時間での利用をお勧めします（もちろん店内入り口にあるアルコールで手指消毒は行ってくださいね。）。テイクアウトもできますので、ぜひ利用してサイゼリヤの味をご家庭でも堪能してみて下さいね。読んで頂きありがとうございました。