Xデザイン学校ベーシックコース(日) #1

はじめに


今年はずっと気になっていた「Xデザイン学校」に通うことに決めて、先週日曜に初回の授業があった。受講後「リフレクション」という形で学びや気づきを残し、それを受講生同士で共有・対話することで学びが深くなると聞いたので、残していく。
 

気づき


今回の授業で最も衝撃的だったのが、「Unlearn」ということだった。
UXデザインを学ぶに当たり、プロダクトデザインなどの知識・経験が邪魔をするから一度忘れる必要があるとのこと。
 
例として「米国では、UXだけを学んだUXデザイナーと、プロダクトデザインやグラフィックデザインを生業とした後でUXデザイナーになった人とでは、断然、UXだけを学んだ前者の方が採用されやすい」という話があった。
 
僕自身は今は違うが、過去に10年ほどプロダクトデザイナーとしてのキャリアがある。ぼんやりと「プロダクトデザインの流れはビジネスにも通じるから、UXデザインでも活きるのでは?」と考えていた。ところが、かえって邪魔になるとのこと。
 
理由は「ついついその得意分野を基軸にして考えがちだから」。

思い当たる節がありまくって悔しいほど納得した。自分自身、アイデアを考えるときは今でもモノありきで考えてしまっていると思う。しかし、現職で営業活動をしたときに改めて痛感したが、世の中はモノを作らないビジネスが大半だ。そういえばM&Aコンサルタントの知人に、「ビジネスを始めるにあたり、在庫を持つビジネスは最悪」と言われたことがある。

今後の講義で「Unlearn」は特に意識していきたい。
 

受講目的の再考


僕の本業は「デザイナー専門の転職紹介会社」で、僕とアシスタント、それに時々手伝ってくれる役員さん、という実働2.5人ぐらいの小さな会社を経営している。創業者ではなく、ひょんなことから引き継ぐことになった、2代目社長だ。

デザイナー専門といっても、製造業・メーカーのプロダクトデザイナー(立体形状の方のプロダクトデザイナー)に強く、人数の多い(=市場の大きい)広告会社やWebデザイナー、ゲームデザイナーはほとんど扱いがない。
 
最近はプロダクトデザイナー求人は減っていて、UXデザイナー、サービスデザイナーの求人がどんどん増えている。プロダクトデザインは経験があるので求人企業、求職者から喜ばれるが、UX、サービスデザインは全く経験がない。そんな背景から、「申し込み時」の目的は、「ここで学んでそれらの求職者にも支持されるようになり、成約を増やしたい」というものだった。
 
「申し込み時」に、と書いたのは、初回の講義を聞いてもっと深い理由に思い当たった。
プロダクトデザイナーのニーズが減っていることのに対し、UXデザイナー、サービスデザイナーのニーズは増え続けている。それほど必要とされる理由が知りたい、と以前から考えていた。

「知りたい」のには背景がある。
創業者である前社長から、ことあるごとに「新規事業をやりなさい、人材事業だけでなく多角化を目指しなさい」と言われる。当たり前だが創業者は新規事業立ち上げのスペシャリストであり、立ち上げ大好き人間だ。80を超えた今でも、ビジネスの種になりそうなことをやっている。

僕自身は、「小さい組織なので今はコアビジネスに集中する時期」と考えているが、5年後、10年後のための種まきの必要性は感じている。

例えば10年後にデザイナーの求人が半減するかもしれない。そもそも様々な求人マッチングの手法が確立されており、うちのようなエージェントビジネスは消滅するかもしれない。

小企業の社長の場合はビジネスが無くなった場合、給料が下がるとかそういう甘いことでは済まされない。倒産して無職になった「ゼロの状態」で終わればラッキー。普通は社長個人名義の借金が残り、マイナスの状態で放り出される。金額も、個人ではなかなか借りないような金額だ。

とはいえ、過去にも新規事業を考えてみたことはあったが、まるで現実味がないものしか思いつかなかった。前社長の場合はそんな状態でもどんどん始めちゃうのだが、僕にはちょっとマネできない。(前社長の場合はそれで周りも苦労するが、たまにヒットするので人がついてくる)

今回の講義を聞いていて、UXデザイン、サービスデザインに改めてとてつもない可能性を感じた。それで、「(前述のような)薄い目的ではもったいない、もっとすごいものが学べる」と感じて上記のようなことを思い出した。ぜひとも、将来の新規事業立ち上げ時に活かせるように学びたい。

以下、蛇足・・・プロダクトデザイナーへのフォロー


なんだかプロダクトデザイナーを見限っているような記載をしてしまったのでフォローしたい。僕はプロダクトデザイナーが大好きだ。物理的な形をもった美しさを、機能を押さえつつ具現化できるのは、本当に素晴らしい高度なスキルだと思う。皆さんに自慢したいのは、僕は転職相談という仕事を通じて、そんなすごいスキルを見やすく表現した「ポートフォリオ(作品集)」を、本人の解説付きで見ることができるということだ。アドバイスをしなければいけないので気が抜けないが、何度も感動的なデザインを見せてもらったし、店で見たあの商品が実はこんなところにまで気を遣ってデザインされているとか裏話も知れる。本当に贅沢な時間だ。

転職希望者の中には、赤字事業部に異動になったが、プロダクトデザインのプロセスを自然とビジネスに応用して立て直しに貢献した人もいる。最初のUnlearnと矛盾するように見えるかもしれないが、先生はこんなようなことも言っていた。「成功させた人は、事業化という目的のためにはUXだとかサービスデザインだとか形式にこだわらない」。
その人はきっと、この時はUXデザイン、この時はプロダクトデザインの応用、と自分が持っている材料をすべて使い、赤字ビジネスの立て直しという難問に対処していったのだろう。

そんなわけで、僕個人としてはプロダクトデザイナーはもっともっと活躍の場を広げられると思っている。悩める求職者に対してそうしたアドバイスができるようなヒントも、今回の受講で探してみたい。

さらに、蛇足・・・自己紹介がてら、デザフェス出展のお知らせ


この記事はコースの他の皆さんが見てくれると思うので、自己紹介がてらお知らせです。
今週末5/21(土)、22(日)に東京ビッグサイトで行われる「デザインフェスタ」に出展します。(デザインフェスタは、東京ビッグサイトで行われる、個人のアーティスト、作家さんが出展できるイベントです)

もし行かれる方は西館4F、ブース番号J-35、「skyfish」という名前で出展してますので声をかけていただければ幸いです。
 
今回は『トイレットペーパーを「水道管パイプ」みたいに飾るグッズ』を展示します。あと、昔作った「トイレットペーパーを神殿の柱みたいに飾るグッズ」も持っていきます。
 

トイレットペーパーを水道管パイプみたいに飾るグッズ
トイレットペーパーを水道管パイプみたいに飾るグッズ。ただトイペに乗せるだけです。
トイレットペーパーを神殿の柱みたいに飾るグッズ
紙を成型するペーパーモウルドという形式で作っています。

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