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映画『PASSION』

濱口竜介監督の映画『PASSION』を観てきた。かの『ドライブ・マイ・カー』でいま世界の注目を集めている映画監督で、現在特集上映が組まれている。

『偶然と想像』、『ドライブ・マイ・カー』に引き続き、僕にとっては今作が3作目。

《あらすじ》

結婚間近の果歩と智也を祝う席上、智也の過去の浮気が発覚し…。男女5人が揺れ動く一夜を描いた群像劇。

https://guzen-sozo.incline.life/tokushu.html


(以下、ネタバレなし)

それぞれの「好き」があって、自分のを取り繕おうとしたり他人のを見逃そうとしたりしても、やっぱり見抜かれてしまうし、見抜けてしまう。じゃあどうするの、他人を変えるの、自分を変えるの…。

途中の夜のシーンが好きだ。濱口作品の特筆すべき会話劇は、2008年の頃からアクセル全開である。同じようなことやってみたいって思うし、いや怖いよなとも思う。あれくらいの剥き出しでやってこそなのだろうけど。

その後のシーンも、質感とても好きだった。

全体を振り返ってみても、好きな相手の前でのその人と、パートナーの前でのその人とでは、後者が虚ろで。前者は中身があって思いが理性を突き破って出てくるのに。でもそれは「暴力」でもあるのか…。許すと許されるは、文字通りに「表裏一体」ということか…。

今出てきたように、この映画では「暴力」への言及がある重要なシーンでなされる。それをストーリーひとつひとつとどうリンクさせるかは観る者次第だ。僕もまだ咀嚼しきれていないが…。本音の暴力性とは。

あと、トモヤの「回りくどくしないと本音を言えない」「堰をきったようにずるずると黒い言葉が出てくる」キャラクターは僕を見てるようでつらかった。


夜まで(明くる朝まで?)しんどさを引きずる映画です。是非。

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