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【駅の記憶】都電荒川線 三ノ輪橋停留所

東京に路面電車があると聞いた。そしてそれは都電荒川線と言うらしい。荒川区にはまだ行ったことがなかった。行く理由はそれだけで十分だった。

都電荒川線は早稲田と三ノ輪橋を結んでいて、停留所(都電では駅をこう呼ぶ)に改札はなく、車内で運賃を精算する。私は400円で都電荒川線が乗り放題のフリーパスを買った。早稲田周辺は落ち着いていて、でも間違いなくこの先は都会に通じるよ、という雰囲気が漂う。いざやってきた丸みを帯びたかわいい車両に乗ると、意外にも景色は速く流れた。

終点まで乗るにはなかなか根気がいるけど、雑司が谷、大塚、飛鳥山、町屋駅前、荒川車庫前、どんどん変わる景色は終点への期待を高まらせる。

三ノ輪橋を降りるとすぐ、ジョイフル三ノ輪という商店街がある。長い歴史のありそうなアーケード街で、人はまばらながらいくつか食べ物屋さんが開いている。有線放送であいみょんが流れている。

餃子屋さんからいい匂いがするから買ってしまった。実は他にも、おむすび、コロッケパン、お弁当を買ってしまった。

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タイムスリップしたような、古いのに人がまだお店を続けている風景がたまらなく心地よくて、胸がキュッとなった。

近くの公園へ歩いて、餃子を食べる。ジュワッとお肉の味がしみわたっておいしい。寒空の下、餃子も悪くない。

食べた後は、どうにもここの地名、南千住に惹かれてしまって、うろうろ歩いてみたり、円通寺というお寺で彰義隊を偲んだり、千住大橋まで歩いてみたりした。そうこうして三ノ輪橋まで戻ると、もうそこは「ただいま」と言いたくなるような、余所者なのに受け入れてくれるような懐の広い町だった。


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