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【新造船情報】旭洋造船9100総トン型捕鯨母船

 捕鯨会社の共同船舶は2月10日、旭洋造船で新造捕鯨母船(約9100総トン)の建造を開始しました。商業捕鯨の再開を踏まえて最新鋭の設備を備えつつ、次世代燃料の導入も見据えた電気推進システムを採用しています。船価は60-70億円程度で、引き渡しは2024年3月を予定しています。

 今回、旭洋造船で鋼材の切り出し(スチール・カッティング)が行われ、建造が始まった新捕鯨母船は、将来的なナガスクジラの捕獲も視野に入れた70トンの揚鯨能力を備えています。船体の大きさは全長112.6m、幅21mで、太平洋のニタリクジラであれば、100頭分の製品が積載できるといいます。

 完成イメージを見ると、従来の捕鯨母船とは一線を画した船型です。自動車を運ぶRORO船のような見た目となっており、甲板上にはドローンデッキも置かれます。

 さらに、解剖甲板を屋外から屋内に変更し、衛生環境の改善を図っているほか、製品の保冷設備は冷倉からリーファーコンテナへ変更。これにより効率的な製品ロット管理と製品の荷揚げを可能にします。船室は全て個室化し、居住性を向上させるそうです。

  推進システムは発電機とモーターを組み合わせた電気推進方式を導入。従来のディーゼル船に比べてクジラを引き揚げるスリップウエーの傾斜を緩やかにでき、船体のコンパクト化を実現しました。商業捕鯨では日本近海での操業がメインとなることから航走が少なくなるため、推進器のエネルギー効率のデメリットも緩和されるとしています。

 また、世界的に船舶の脱炭素化の取り組みが進む中、LNG(液化天然ガス)や水素、アンモニア、合成燃料といった次世代燃料の採用も見越した設計を取り入れています。

 旭洋造船の越智勝彦社長は、極低温の冷凍運搬船で豊富な実績を持っていることから、「本船を建造しながら学んださまざまな知識、知見を生かして、より新しい目線で見た冷凍船の建造に活用していこうと考えている」と述べています。

 また、共同船舶の所英樹社長は「加工屋さんや仲卸など捕鯨を支えてきた方々は、鯨肉の供給がなければ暮らしていくことができない。これから30年間は絶対に鯨肉の供給をするという宣言のために、新しい母船を建造することにした」と話していました。

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