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ペンギンの徘徊

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2019年10月の記事一覧

二〇一八〇一自(30)終

カーテンを開けると光に照らされた無数の小さなホコリたちが姿を現わし漂いはじめる。重力を失った空間で浮遊する宇宙飛行士のように。彼らは自分の意志ではなくただ漂う状況になったから漂っている。 時計は正午を少し過ぎた頃をさしている。エネルギーを振りまく昼の陽の光に誘われ、部屋から一冊の本を持ちだし、庭に面しているベランダに出る。今日の空は見えるかぎり果てしなく青い。初めての運動会の日のような晴れ晴れしい空は、その青さで僕を包んでくれ、僕は暖かさを身体の底から感じている。周りには誰

二〇一八〇一自(29)

幸福なロボットか人間のままか。今の人間(たぶん将来人間という概念は変わっている。だからこんなことを書くのも僕たちの世代が最後かもしれない。そう思うと、そのときそのときに感じる本音を書き出すことは貴重だと思う。)を生きる者からすると、客観的にみればロボットなんて無機質で生きる意味はないものだと思える。けれど、この二つの選択肢を提示されるとき、人間というものを美化してしまっているのかもしれない。人間は複雑な意識と感情をもっていて豊かで幸せなんだ。でも主観的にみればどうなのだろうか