見出し画像

「スタッフのいない場所」を、敢えてつくる。その真意とは? [展示会ブースデザイン装飾事例]

展示会ブースのレイアウトを考えている方へ。
展示会ブースの小間位置が決まって「4面全てが通路」の時、あると思います。いわゆる「島小間」です。今日はそんな小間のブースレイアウトを考えることになった方へ、その考え方についてお話ししましょう。

4方向全てが通路になった場合、小間位置的にはとても好条件ですが、一方でそれぞれの方向をどのように活用したらいいか、悩むのではないでしょうか。その場合、まず「小間位置図」をしっかりと読みこむことから始めます。
どの方向から来場者が近づいてくると予想されるか、人の流れをまずは考えてみます。その上で、優先するべき面ともっとも来場者が通らないであろう面が想像できるのではないかと思います。

その「もっとも人が通らないであろう面」、その面を倉庫にしてしまったり壁にしてしまったりする方は多いのではないでしょうか。しかし、それは、「とてももったいないこと」なのです。

なぜそうか、を説明する前に、会場での来場者心理を考えてみましょう。当社ではホームページやセミナーで「来場者はつかまりたくない、と考えているもの」との考えをお伝えしています。1社でも多くのブースを回りたいと考えている来場者にとって、ブースを見た際に出展社から声を掛けられるのは、気になっているブースの方ならもちろん良いのですが、そうでない場合、「声を掛けないでほしい」と思うもの、というのは皆さん容易に想像がつくと思います。日頃ショッピングセンターに服を買いに行くときのことを考えると共感していただけるでしょう。展示会ブースでも同じもの。

その心理を考えた場合、例えば「敢えて出展者スタッフが立っていない面」を作って来場者にとって「つかまる心配がなく自由に見ることが出来る場」をつくる、というのは「有ってもよい場所」ではないでしょうか。

そう。つまり、4面共通路になっている小間形状の場合、1面を敢えて「スタッフの立たない場所」にし、そこには敢えて出展者スタッフは立たないようにします。そして、その場所に配布用のパンフレットやじっくりと読ませる壁面パネルなどを掲示しておくと、意外に多くの人が読んでくれたり、するものなのです。

実際に、当社ではこの方法をよく使うのですが、この「スタッフが敢えて立っていない面」においたパンフレット類は、一番無くなる率が高い場所になっています。

下記の物件は、毎年1月に開催されるSCビジネスフェアにおけるブースです。4小間サイズですので、6m×6mで、四方が通路になっています。
このブース。小間位置図から正面になる面をまず1面設定し、そこをメインのブース入口にしています。ブースの奥にカウンターが見えますが、ここは「体験」スペース。この時は簡単なワークショップを行うようにし、ブース内での「滞留時間」を伸ばすようにしています。

画像2

画像3

ブースの左右の壁は、丈夫に壁を設けブース内を心理的に囲い込むような形状にしています。上記の入口の高さは1.9mなので、人は十分に入ることができるサイズです。上部はシンプルに白い壁面にしていますが、分かりやすく「音・香り・映像で空間を演出」と記載し「何を扱っている会社」なのかがすぐに分かるようにしています。この文章は視認しやすいように、漢字は大きめに、ひらがなを小さく書くことで「瞬間に理解できる」ように表記上の工夫を行っているわけです。

画像4

そして、最後の「背面」。ここの面には倉庫を設けているのですが、ただの倉庫の壁にするのはもったいないため、敢えて「スタッフの立たない場所」として設定し、この面にパンフレットを大量に置くことで、より多くの人にパンフを拡散することを試みました。もちろん、「何の会社のブースか」が分かるように壁面に先程の言葉と同じ「音・香り・映像で空間を演出」の文字は記載しています。

画像5

ちなみに、このパンフ設置方法。ワイヤー2本でパンフを抑える方法を取っています。この方法を使うとパンレットの表紙のデザインを活かすことができ、大量に設置するとそれだけで、遠くから「何だろう?」と近寄って来てもらう効果を期待することができます。
この方法をとると、思っている以上にパンフレットが無くなっていきます。ですので、スタッフが立っていない分、時々チェックをしないと気が付いたら、壁面に何もなかった、ということになりますので、頻繁にチェックはするようにしてみてください。

このブース。結果的に会場内でも注目されるほど来場者が集まるブースとなりました。ポイントは壁面のキャッチと、ブース内部に「常に人がいるよう」に「滞留ポイント」を作ったことにあります。

このように4面が通路の場合でも、4面全てに展示台を置いて、スタッフが立つ、ということをしなくても、「敢えてスタッフが立たない面」をつくる考え方もある、ということを知っておいていただければと思います。

画像5

画像6



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?