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展示会出展準備のスケジュール設定は?

さて。本稿では、展示会に出展する際のスケジュール感についてお伝えしましょう。まず、ブースのデザインや装飾を展示会ブース設営会社や当社のようなデザイン会社に依頼する場合、ブースの大きさにも拠りますが、大抵会期の3か月~4か月前が多くなります。40小間、と言った大きいサイズの小間の場合、更に前の半年前や1年前、といった場合もあります。10小間までのサイズでしたら、会期の3-4か月前、と覚えておくとよいでしょう。また、ブースデザイン案の決定時期ですが、会期の1か月前には全てが決まっていることが理想です。もちろん、実際にはまだ余裕があるのですが、設営会社に丁寧に、しっかりとブースを作ってもらうためには、余裕を持って決定しておくことが理想的なのです。この話を本稿の後半でも改めてお話しをいたしましょう。
このような準備のスケジュールについてお話しする前に、ここではまず、ブースが会場でどのように作られるのか、会場での作業イメージについてお話ししましょう。

1.展示会の開催期間は一般的に3日間

日本で開催される展示会の多くは、概ね3日間の開催期間となっています。具体的に言えば、準備(設営)に2日間、会期が3日間という形式です。実際には展示会の種類、業種等によって細かく分かれますが、一般的に東京ビッグサイトなどで行われる展示会の場合、月曜日と火曜日の2日間でブースを設営し(準備期間)、水・木・金の3日間が会期、最終日の金曜日の会期終了後に即時ブース撤去を行うという流れになっています。
もちろん展示会によって異なる場合があり、例えば化粧品等の美容関係は土・日設営(準備)で月・火・水の3日間開催が多くなります。これは、開催される業界の休み、つまり慣習に合わせているのです。この他にも、準備が1日のみで会期が2日間といったものや、準備に3日間をかけ、その後4日間の開催という展示会もありますが、概ねどの展示会も数日で会期が終了するものが多い、と考えていただければよいでしょう。ちなみに、海外では準備に1週間以上、会期も1週間以上といった展示会も多いので、それらに比べると日本の展示会はあっという間に終わってしまう、という印象です。

2.展示会ブース設営の流れ

ブースをつくる期間は「ほぼ1日」

このスケジュールをもう少し詳しく書いておきましょう。設営(準備)期間として2日間ありますが、実際に「ブースをつくる時間」は2日間もありません。あくまでもブースが完成して、オープンできる状況になるまでが準備期間ですので、出展社の方々の製品・サービスを設置する時間も含めての時間なのです。
ですので、一般的にブースの全体的な形状は、設営の初日のうちに概ね完成するように作業を行います。この設営初日に出展社の方が会場入りすることはあまりありません。会場内は設営に関係する会社・作業員ばかりになります。ブースの基本形状をつくるこの設営初日は会場内の通路がかなり混雑しますので、出展者自身の作業はなかなかできる状態ではありません。しかしながら、ブースを作るところをはじめの段階から見てみたい、という方には新鮮な光景をみることができますので、展示会に初めて参加する、といった方は一度見てみるとよいかもしれません。

設営の初日は、基本的にブース設営会社のみ。出展者は通常2日目から会場入りを行います
設営の順序は床が最初。次に木工で形状をつくり、その後壁紙を貼ります。そして照明・文字等
壁紙を貼る作業。展示会の壁紙貼りはインテリアに比べてかなり早い。

設営2日目は出展社による商品陳列等

設営2日目。午前中はブース設営会社によって、設営作業の続きが始まります。この段階では、照明を取り付けたり、壁面の文字や写真関係の貼り付け作業を行うブースがほとんどです。そして、午後になると出展社が会場入りして、製品等の陳列を始める、という流れになります。出展社の準備が終わるのが夕方18時頃。その後、設営会社によってブース内の清掃が行われ、同時に会場内全体の清掃が入って本番を迎えます。

2日目は、どのブースも出展者はお昼過ぎに会場入り。製品の陳列等を行っていきます。

たった2日間で、何もない展示会場に様々なブースが出現するので、展示会の設営会社の作業がどれだけのスピードで行われるか、設営の場面を実際に見られた方は大抵驚かれます。この設営のスピード感に関しては、他業界からみると立派な専門技術と言えるのではないでしょうか。

商品展示の作業が終わると、床の保護シート(養生)を剥がして、最終的な清掃を行います。
会期は一般的に3日間。朝の10時から夕方18時まで行われます。

いよいよ会期が始まる

約2日間のブース設営期間を終えるといよいよ会期本番になります。多くの展示会が午前10時始まりのため、出展社の多くは午前9時半には会場入りし、事前の準備を始めます。10時のオープンを迎えると来場者が会場入りし、その後終了時間の18時(展示会によって17時等の場合も有り)まで、商談が続きます。休み時間があるわけではないので、忙しいと食事をする暇さえないため、少人数で参加する出展社の方は、ちょっとした隙間に簡単に食事がとれるように「おにぎり」などを持参するのがお勧めです。このような展示会期間が3日間続き、最終日は撤収作業があるため、1時間程度早めに終了する
ことが多くなります。

ブースの撤去作業は概ね2時間程度で終了。あっという間にブースは無くなります。

このように、展示会期間は実質3日間で終了します。この3日間のために、出展社の方々は数百万という金額を投資し、ビジネス的な結果を得ることを目指します。展示会の3日間はあっという間です。店舗のように、1か月後、2か月後、認知度が広がれば結果が出るようになるだろう、といった長い目で見た希望的観測は通用せず、その場、その瞬間に、来場者が集まる、集まらない、という結果が目に見えることになります。ですので、来場者が集まらないブースには、初日の夕方くらいには焦りが出てくるようになり、2日目の夕方にはあきらめの空気が漂うようになってしまいます。そして最終日には、会期終了の1時間前には帰り支度を始める、というブースも決して少なくないのです。このようにならないためにも、展示会の出展準備は十分に行い、ブースのデザインについては、見た目がよいだけでなく、確実に集客できるようになっていなければいけません。

3.出展を決めてからの流れは?

では、出展することを決めてから、具体的にどのような流れで展示会に向けて動いていくのでしょうか。ここで、会期が始まるまでのスケジュールについて、少し話してみましょう。

ブース装飾/デザインの依頼のタイミングは?

出展申し込みを展示会主催者に行うタイミングは、展示会にもよりますが、半年程前が多いようです。早い場合、1年前から仮申し込みをしている、という企業も多くあります。ほとんどの展示会の場合、出展者の小間位置(自社の出展スペースの場所)が最終的に決まるのが、会期の3-4か月前となりますので、その前の段階が出展申し込みの締め切り、という形が多くなります。主催者にとっては出展社が出揃ってから小間位置を最終決定するので、このようなタイミングとなるのです。
このような状況から、ブースデザインの依頼が来るのは多くの場合、3、4か月前となります。当社の場合もこの期間に問い合わせのご連絡をいただくことが多く、ご連絡をいただいてから、ブースのプランを考え始めます。2か月前でのご依頼でも対応は可能ですが、1か月前だと時間的にはかなり厳しい、というイメージになります。これは、一般的に当社以外の設営会社・代理店でも同じなのではないでしょうか。

デザイン検討を始める時期は?

通常、ブースデザインの検討に当たっては、会場内での小間位置確定が済んでいることが前提になります。なぜなら、小間位置によってブース形状が変わってくるため、小間位置が確定しないと具体的なデザイン検討が出来ないのです。ですので、小間位置は早めに確定してしまうよう、主催者の方と相談できるようであれば、そのようにすることが理想です。逆に言えば、小間位置決定が遅くなると、ブース検討の時間が短くなるため、様々な点で不利になってしまいます。ですので、小間位置が確定している場合(事前予約していた場合)などは、早め早めにブースデザインの依頼は進めておいた方がよい、と言えます。当社の場合も、ブース位置が決まっている場合には、「1年前でもご依頼は大丈夫です!」とお伝えしています。とは言え、小間位置が決まるのは、大抵会期の2か月~3か月前ですので、決まり次第すぐにブースデザインの依頼を出すようにしましょう。

ブースの検討はまず、小間位置の分析から始まります。

デザイン案を確定させる時期は?

ブースデザイン案は、できれば会期の1か月前には決定しておくようにします。その意図は、デザイン案が決まれば、ブースの「事前製作」が可能となるからなのです。これは、設営日(準備日)の会場での作業時間が限られているため、できるだけ会場での作業を少なくするための工夫です。1日でブースをつくるとなると、会場で1からブースを作るわけにはいかず、できるだけ、事前に製作しておくことが会場での状況を左右するのです。
この関係から、デザイン案を確定させるのは、概ね展示会開催日の1か月前となり、この段階でブースの形状、壁面の文字、そしてそれらを作る「ブース製作費」が決まっている必要があるという流れです。

当社の場合は、事前に模型を製作してデザインの検証を行っています。
模型で検討を行うメリットは、関係者無いでのイメージ共有が容易、という点があります。


以上のことを知っていただくと、どのようなスケジュール感で動くべきなのかが、出展社の方にもご理解いただけるかと思います。


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