絵本探究講座第2期(ミッキー絵本ゼミ)第2回目振り返り(10/9)
2回目なんですが、「絵本サミットin剣淵」のため、お休みしました。
ですので、1週間遅れで録画を視聴。
自分なりにまとめていきたいと思います。
昔話絵本のフォローアップ
チーム3ブレイクアウト
昔話絵本の定義から、発端句、伝え聞き、結句があるの3つのポイントでチェックすると20冊中6冊しかなかった。全部日本の昔話。
作者が研究者、収集している方は形式をきちんと踏襲している。
そうでない方はこだわっていないという特徴があった。
『いっすんぼうし』石井桃子さんは再話になっていない。
「再話」と書いてあるものは少ない。
『おおきなかぶ』
シェアNO1教科書は西郷竹彦。
『昔話とその周辺-語りながら考えたこと』筒井悦子/著 みやし出版』を読んだ。
光村だけは西郷さんのを載せている。
英語版を2冊読んだ。1冊はテーブルの上にかぶが置いてあり、ナイフが刺さっている。
もう1冊はトム、妻のアンナ、孫も犬も猫も名前がついている。最後はネズミでなく虫。
自分の国にわかりやすくなど想いがあってそうなっているのか。
昔話自体が伝承。それを伝えていくのが目的ではないか。
日本のものでもおじいさんに名前がついているものがあった。ロシアっぽい名前。
最後に必ず福音館書店のものを読んであげることにしている。
全体での発表
チーム4
『うりこひめとあまんじゃく』文:堀尾青史 絵:赤羽末吉 BL出版
言葉にリズム感、楽しい、どんどん読める
発句と結句あり
『ももたろう』作:松居直 絵:赤羽末吉 福音館書店と比較する予定
『梨の子ペリーナ』作:イタロ・カルヴィーノ 絵:酒井駒子 訳:関口英子 BL出版
イタリアの昔話。梨農園で育ったペリーナ。王様が妬んで課題を与える。
課題を次々クリアしていく。3つの数字。
発句と結句あり。
ペリーナが難しい環境に置かれるが、感情が見えずに淡々と進んでいく。
グロテスクな描写、繰り返しが多い印象。
ミッキー先生「昔話絵本には珍しいパターン」
『やまなしもぎ』再話:平野直 画:太田大八 福音館書店
季節感がある。
発句と結句あり。
オノマトペ
3人兄弟、3回繰り返す。課題あり。
色使い
切り株の上にいたおばあさんがいなくなる。
ミッキー先生
太田大八先生は絵本学会の初代会長。しっかりした画家。昔懐かしい昭和の風景などを描いている。
チーム2
『シンデレラ』文・絵:マーシャ・ブラウン 訳:まつのまさこ 福音館書店
童話と昔話の違い。
童話は子どものために書かれたお話の総称。
アンデルセンは本人が創作。グリムやペローは再話している。
『ラン パン パン』再話:マギー・ダフ 作:インド民話 絵:ホセ・アルエゴ 訳:山口文生 評論社
太鼓の音。繰り返しで音の心地よさ。
『スーホの白い馬』再話:大塚勇三 絵:赤羽末吉 福音館書店
息子さんが繰り返し借りてきた。
悲しいけれど人間の本質的な部分。
最後はホッとする。
ミッキー先生
「幸福の約束」理論書
どんなに悲惨でも結末は幸福で終わらなければならない
生きるに値する瞬間がくる。
例『おじいちゃん』作:ジョン・バーニンガム 訳:谷川俊太郎 ほるぷ出版
どこかに救いがある→子どもの文学に必要
チーム5
『いのちの水』ブルガリアの昔話 作:八百板洋子 絵:ベネリン・バルカノフ 福音館書店
課題からハッピーエンド。
3人の王子が出てくる。
昔話には国を越えて似たような要素がある。
『ひぐまのあき』作:手島圭三郎 絵本塾出版
昔話ではない。北海道の古い時代の話。
クマの親子の愛情、かわいらしさ。
版画の美しさに心が惹かれた。
ミッキー先生
昔話の中でいいものを絵本化している。
東西の交差点は話がおもしろい。ブルガリア、バルカンなど。
遠野、海と山の接点。物々交換とともに、話の交換をしていた。
チーム3
『おおきなかぶ』再話:内田莉莎子 画:佐藤忠良 福音館書店
1年生の一番最初に出てくる昔話。
教科書のもの(西郷竹彦)とは違う。
引っ張る順番が違う。教科書は目的語から。
ねずみの存在。クローズアップしているように書かれている。
「かぶを」で始まったほうがわかりやすい、劇化もやりやすい。
『いっすんぼうし』作:いしいももこ 絵:あいのふく 福音館書店
言葉が美しい。
平安の雅な雰囲気。
『ふしぎなたいこ』作:石井桃子 絵:清水崑 岩波書店
再話ではなく「作」と書いていた。
『赤ずきん』作:グリム 絵:飯野和好 再話:矢川澄子 教育画劇
赤ずきんが自分ですっと立っているところが気に入った。
ミッキー先生
『ふしぎなたいこ』初版1950年代ですごく古い。
『いっすんぼうし』も古い。
まだ昔話、再話が定着していなかったころ。
子どもの本の歴史を見ていく(初版がいつか)も大事。
『七わのからす』作:グリム 絵:フェリクス・ホフマン 訳:瀬田貞二 福音館書店
少女と7人のお兄さんを絵本にするとばらけてしまう。耳から聞くと女の子にフォーカスできる。
『おおきなかぶ』一人の作家の解釈。ロングセラーをひっくり返すだけの力があるのか。
俳優さんが翻訳を出しているが、いつの間にか消えている。本に力がない。
教科書に絵本をコピペするのは?
『スイミー』クラスで読むとみんなで協力しように誘導されてしまう。
教科書に載っているから正しいわけではない。
昔話の検討ポイント
(1)昔話と残酷性
(2)昔話の絵はどこまで描くべきか
絵の細部に子どもの関心がいってしまう。
『こびとのくつや』背景を書かず、子どもの目が主人公にいいくように
(3)昔話絵本における絵と言葉の関係は
発端句、結句が絶対ではない。
絵本を閉じたら物語が終わるので、結句がなくてもよいのではないか
一つの特徴
(4)昔話の聖数、昔話に出てくることの多い数字とは
西洋は奇数3が多い。5や7も12
落ち着きのいい数字
(5)昔話にはなぜ3度のくり返しが多いのか
シンデレラは3回舞踏会に行く。3回目にガラスの靴を落とす
人間って1回でできるわけではない。特に思春期。3度目くらいで乗り越えていく。何回かの揺り戻し
(6)昔話の主人公に末っ子が多いのはなぜか
昔話ってみんなのための話。全員が共感できる。3番目の子が活躍する話が多い。人は全員かつては末っ子だった。全員が一番弱い存在を経験している。
質問より
アンデルセン=創作童話
ペロー=昔話を集めて教訓の物語集をかいた。
グリム=ドイツの昔話を集めて、おうちのためのメルヘン集としてまとめたもの。
日本に同時期(明治)に入ってきて、「童話」とつけて翻訳された。
作者不明=伝承文学
固有名詞のないもの(匿名)を「昔話」という。
固有名詞のものは神話や伝説。
両方口伝え。著作権はない。印刷物にしたときに著作権が発生する。
著者はおこがましい=再話
代名詞としての「太郎」と「花子」は固有名詞ではない。
タイプを表す。例:太郎、次郎、三郎
区別するために呼び方を付けている。
科学絵本
『ベーシック絵本入門』
図鑑
「図」・・・系図、種類を調べるもの
「鑑」・・・よく見る、一つのものを詳しく見る。
ほとんどの図鑑は合体している。種類も一生も載っている。
両方中途半端で買いなおすことになる。
科学絵本
①物語が組み込まれ、
②子どもに分かりやすい絵で、
③感動をめざす。
「物語」とは?
出来事の連続は単なるストーリー、出来事同士に関係性をつけるとプロット(筋書き)になる。
羅列があっても心は動かない
絵の絵本と写真絵本の違い
絵ははぶける。
写真絵本ははぶけない。年齢が上がってくると写真絵本。
写真のいいところ、定点観測ができる。
『死を食べる』宮崎学 偕成社
写真だから迫力が出せる。狐の死骸の定点観測。
対象年齢によってどちらがいいか。
『すみれとあり』作:矢間芳子 監修:森田竜義 福音館書店
生命の助け合い。ありが種を運ぶ。
読者を惹きつける仕掛けが入っている。
参考文献
『ベーシック絵本入門』藤本・生田・石井編著 ミネルヴァ書房
『絵本の事典』中川素子・吉田新一 石井光恵、佐藤博一編 朝倉書店
『はじめて学ぶ日本の絵本史Ⅲ戦後絵本の歩みと展望』鳥越信編 ミネルヴァ書房
『日本の絵本』吉田新一 朝倉書店
『月間科学絵本「かがくのとも」の50年』かがくのとも編集部 福音館書店
ブックリスト
『自然とかがくの絵本』赤木かん子
『知識の海へ』東京子ども図書館
『動物絵本をめぐる冒険』矢野智司 勁草書房
擬人化
『絵本のしくみを考える』藤本朝巳 日本エディタースクール
ページをめくりたくなる仕組み『やさいのおなか』『しっぽのはたらき』
『絵本BOOKEND』絵本モニター
グループでのブレイクアウト(2回目)
『たんぽぽ』
『なにのあしあとかな』文・絵:薮内正幸 福音館書店
『せいめいのれきし』文・絵:バージニア・リー・バートン 訳:いしいももこ 監修:まなべまこと 岩波書店
『かわ』作・絵:加古里子 福音館書店
全部つながっている。絵巻物みたいになる。
『ノラネコの研究』作:伊沢雅子 絵:平出衛 福音館書店
『こいぬがうまれるよ』作:ジョアンナ・コール 訳:坪井郁美 写真:ジェローム・ウェクスラー 福音館書店
『赤ちゃんのはなし』作・絵:マリー・ホール・エッツ 訳:坪井郁美 福音館書店
ミッキー先生
子どもの本は真実を書かなければならない
芸術表現として描く
大事なことは、気づいたときに嘘がないこと
グループのブレイク後
『たんぽぽ』文・絵:平山和子 監修:北村四郎 福音館書店
『さくら』文:長谷川摂子 絵・構成:矢間芳子 福音館書店
ストーリー仕立てで説明されている。
『ちきゅう』さく・え:G・ブライアン・カラス 訳:庄司太一 偕成社
スピードが速く、すぐ古くなってしまう。
子どもたちの関心も絵本になっていく
まとめ
3回目はファンタジー絵本
ファンタジーの定義、技法
科学絵本かファンタジー絵本を準備する。
①今日紹介した絵本をFBグループに報告
②振り返りのアウトプット
③チームでフォロー
チーム1の昔話
『さるかに』作:松谷みよ子 絵:長谷川義史 童心社
知っている絵本だから。ゆるキャラっぽいイラスト
『やまなしもぎ』再話:平野直 画:太田大八 福音館書店
子どもが集中して聞いていた。
『ゆきむすめ』作:内田莉莎子 絵:佐藤忠良 福音館書店
『おおきなかぶ』と似ている。ロシアで焚火を越えるお祭り。
講座視聴後
講座の中で出てきたもの、その他気になったものを読んでみました。
昔話から
『梨の子ペリーナ イタリアのむかしばなし』
作: イタロ・カルヴィーノ 絵: 酒井 駒子 訳: 関口 英子
BL出版
最近出版された昔話ということで、内容は昔話なのですが、確かに新しい感じがしました。ペリーナが淡々と課題をクリアしていくのがステキだし、自分の行いが復路で返ってくるのが報われるなぁって感じがしました。
参考文献読みました
科学絵本の参考文献
『ベーシック絵本入門』 編著:生田美秋、石井光恵、藤本朝巳 ミネルヴァ書房
こちらの科学絵本のページから
『絵巻じたて ひろがるえほん かわ』 さく/え:加古里子 福音館書店
絵本の館にはこのタイプしかなく、片面は文字のなく、片面は文字がある、同じ絵が続きます。
川っていろんな役割があって、なくてはならないものだと教えてくれる絵本。
ずいぶん前にカヌーで海を目指して川旅をしたのを思い出しました。
『死を食べる』 宮崎学 偕成社
科学絵本って実際はなかなか見ることができないものを見せてくれるものだとこちらの絵本を読んで思いました。
ついじっくり見入ってしまう。
感覚的に死はそれで終わりだと思っていたのですが、「死のおわり」というページがあるように、死は決して終わりではなく、他の動物たちの命になっていくのだと改めて知ることができました。
『自然とかがくの絵本 総解説』 編著:赤木かん子 自由国民社
赤木かん子さんのテンションが上がった感じの解説がいいなと思いました。
どれも読んでみたくなる。
その中から何冊か
『ちきゅうのうえで いのちのたびのおはなし』さく:沢田としき 教育画劇
こういう絵本を読むと、自分はいかにちっぽけで、長い地球の歴史から見たら自分の命なんてほんの一瞬だなと感じさせられます。いのちのたびが現在になってカラーになるのがハッとします。
『星の使者 ガリレオガリレイ』文・絵:ピーター・シス 訳:原田勝 徳間書店
ガリレオガリレイのお話。世の中の常識だと思われていること(地球が中心で太陽も月も地球の中心を回っている)を覆すのはすごい勇気だと思うし、科学者って偉大な存在だなぁと思わされる1冊。
特に驚いたのはガリレオがようやく赦されたのが1992年?もう自分がこの世にいたということがびビックリでした。
『おじいさんのダイヤモンド』文・絵:セシリ・ジョセフス・イッタ 訳:池上彰 今人舎
赤木さんはこちらの絵本をどこに分類してよいかわからず、コラムで紹介されていました。確かに、科学絵本かと言われたら違うような気がしますが、気になったので読んでみました。
「富を考える」とあるように、考えさせられる絵本だなと。いろんな人の手に渡っていたダイアモンドは戦争の予感によって、イギリスの銀行の金庫に入れられます。オランダに住んでいたおじいさんは家族と一緒にイギリスに渡ろうと考えていました。ユダヤ人だったからです。結局家族はイギリスには行かず、ダイアモンドは・・・。ダイアモンドが手元にあったら幸せだったのか。戦争や富を考える1冊でした。
『かがくする心の絵本100』編:横山真佐子、大丸秀士、はやしゆみこ、村中李衣、山本安彦 平凡社
『自然とかがくの絵本』の近くにあったので、こちらも読んでみました。
そのほか、目についたもの
『このあいだになにがあった?』佐藤雅彦+ユーフラテス 福音館書店
表紙が羊。毛があるのとないのと。
この間になにがあった?とクイズ形式で進みます。
おもしろいなと思ったのがお風呂。おもちゃがプカプカ浮いているのに次の瞬間には浴槽から出ている。いろいろ想像を膨らますのがおもしろいなと思いました。
最後に
自分でもさまざまな絵本を選んでいるつもりですが、人から教えてもらうと、自力ではたどり着けなかっただろうなという絵本と出会えることが多いです。
ゼミの中で出てくる絵本はなるべく読んでみたいなと思いますし、ゼミきっかけにまた絵本の世界が広がるのがとても楽しみです。
次回は参加できるので、学びをまた楽しみたいです。
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