国家公務員の転職希望は増加しているのか

6月19日付の毎日新聞に政府が実施した国家公務員の働き方に関するアンケート結果が掲載されました。それによると、回答者の5.5%が数年以内に辞職したいと答えており、30歳未満の職員に限ると13.1%が数年以内に辞職したいと考えているようです。ここでの「辞職したい」は「転職したい」とほぼ同じ意味と考えて良いと思います。

この数字は私の肌感覚と照らし合わせても妥当かなと感じます。実際、私が官庁を退職した際に中央省庁でお世話になった方にメールで退職の報告をした時にも、30歳前後の方々からは、「実は私も転職考えています」とか「私も近いうちに役所を辞めます」といった返事が複数返ってきて驚いたのを覚えています。

この記事を読んで、私が入省した時に「いつまで公務員として働きたいですか」というようなアンケートに回答した記憶が蘇ってきたので気になって過去のデータを調べてみました。

毎年、人事院が国家公務員総合職の新規採用職員にアンケートを行っており、その中で「国家公務員としていつまで働きたいか」という質問をしています。回答は①定年まで公務員を続けたい、②長期間勤めてから転職を考えたい、③若いうちに転職を考えたい、④条件が合えばいつでも転職を考えたい、⑤分からない、の5択から回答を選ぶものです。ここ数年の結果を見ると、③若いうちに転職を考えたい又は④条件が合えばいつでも転職を考えたい、を選択した職員の割合は2015年5.7%、2016年9.4%、2017年 9.5%、2018年11%と緩やかに増加傾向にあるようです。

これら2つのアンケートを直接比較することはできないかもしれませんが、入省時に転職を希望している職員は5.7%〜11%であったのに対して、転職したい職員が13.1%に増加したと見ることもできます。定量的なデータとしては弱いかもしれませんが、大まかな傾向は読み取れるでしょう。やはり、実際に霞が関で勤務をして転職したいと思う若手国家公務員が増えたのではないでしょうか。

私も国家公務員を辞めているので、若手国家公務員が辞めたいと思っていること自体は悪いことだとは思いません。そもそも、優秀な学生をまとめて新卒採用してその後は同期の間で競争させて幹部を選抜していくという人材育成のやり方が時代にあっていないと思います。

そして、よくこの手の話題が出てくると省庁の幹部の話として「人材流出が続くのは痛手。離職に歯止めがかからない。」という趣旨の発言が記事などに取り上げられます。しかし、「新卒採用組が辞めるので中途採用を強化したい」という趣旨の発言は聞かれません。優秀な若手が霞が関から去っていくのなら、同じ数だけ優秀な人を民間企業から引き抜けばいいと思いますが、そのような考え方は現在でも霞が関には存在していないと思います。

いつの日か、官民の間での人材の流動性が高まる日が来れば良いなと思っています。そして、霞が関が民間企業から優秀な人材を引き抜けるだけの魅力的な職場になっていって欲しいものです。

今回が初めての投稿になります。これからよろしくお願いします。

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