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2022年将棋棋士豊島将之九段の活躍を10大ニュースで振り返り・前編(第10位〜第6位)

2022年も大活躍の豊島将之九段

2022年も残すところあと2週間。様々な思いでこの一年を振り返るかたも多いだろう。新聞各社は今年の10大ニュース記事を発表する時期でもある。
そこで今回は熱烈な豊島区民(豊島将之先生を推すかたの通称)の私が、勝手ながら個人的に豊島先生の10大ニュースを選んでみた。
第10位〜第6位を前編、第5位〜第1位を後編でお届けするかたちで、今年も忙しく駆け抜けた豊島将之先生の2022年を振り返ってみたい。

第10位 豊島先生、師匠になる

2月1日、東海研修会から岩佐美帆子女流2級が女流棋士としてプロデビューされた。豊島先生にとっては初めてのお弟子さんになる。岩佐女流は小学生の頃に豊島先生の指導対局を受けたことがきっかけで弟子になりたいと熱望され、念願叶って晴れて豊島門下を名乗る事になられた。
対局で多忙を極めるため決して機会は多くないものの、自戦解説などでそのご説明やわかりやすく落ち着いた話しぶりに定評のある豊島先生。
きっと岩佐女流も丁寧で的確な指導に感激され、師匠にするならこのかたしかいないと思われたはずだ。
豊島先生も師匠になられたことによって、新たに手本をみせ、弟子の成長を見守っていくという使命を引き受ける事となった。何事にも全力で取り組まれる豊島先生の事である。弟子と共に強くなるための方法をきっと日々模索しておられるだろう。豊島一門の2023年の活躍に期待したい。

第9位 朝日杯名古屋対局 有楽町まであと一歩

豊島先生ほどのトップ棋士としては不思議過ぎるのが、朝日杯でのベスト4、有楽町ホール対局にこれまで二度しか残っていないことだ。しかも2014年の第8回大会から8年間は、有楽町にさえ届かずに敗退している。
そのことに初めて気づいたのは今年の観戦レポのnote記事を書こうとして、過去の対局結果を検索した時だった。
12月4日放送のNHK将棋フォーカスでは、緻密な研究ぶりから教授とも呼ばれる勝又清和七段が棋士の相性のデータを紹介していたが、棋戦との相性もあると感じる。
2021年1月17日にはこれまで6連勝中と寄せ付けなかった藤井聡太先生に初めて敗れ、今年1月15日の名古屋対局でも菅井先生にベスト4目前で敗れた。ここまで続くとファンとしてはゲン担ぎしてでも豊島先生に有楽町への切符を手にして欲しいと、応援に熱が入る。
40分の持ち時間の棋戦を観戦するには、観客も真剣勝負の覚悟が必要だ。思考の邪魔にならないようにと、固唾を飲んで見守るので、笑いの絶えない大盤解説会とは全然違う緊迫感がある。その分、先生と同じとまではいかなくても対局の擬似体験ができたような気がして、後から思い出した時に嬉しい気持ちになれるという良さがある。
年明け早々には本戦がスタートし、名古屋対局では恒例の公開対局が発表されている。ぜひとも観戦しに行きたい。

第8位 東西の新将棋会館クラファンで大人気

豊島先生の対局中の佇まいや所作はうっとりするほど洗練されて美しく、それでいて棋風は熾烈な攻め将棋というギャップに心を撃ち抜かれたファンのかたは多い。そんな豊島先生は今年の東西新将棋会館建設のクラウドファンディングでも当然大人気だった。
5月には高槻市の山水館、7月には東京・将棋会館で和服姿の豊島先生と記念撮影やトークショーに参加できるイベントが開催され、それぞれ30万円、20万円と決して気軽ではない支援額にもかかわらず、あっという間に満員御礼となった。
生きて動く(当たり前だがファンにはそれだけで感無量なのである)豊島先生と会えた喜びを参加者のかたがSNSでたくさん発信されたことで、来年以降に自分もぜひ参加したいと願っておられるかたも多いだろう。
多忙な先生にご負担をかけないように最大限に配慮しつつ、私も他の皆さんと共に次期クラファンでの開催告知の朗報を、クラファンで手に入れた豊島先生のアクリルスタンドを拝みながら待ちたいと思う。

第7位 毎日放送Wonder将棋に初出演

2月18日、毎日放送で月1回オンライン 配信(3月以降は不定期開催に)されていたWonder将棋#14に豊島先生が初出演された。奨励会から20年以上の付き合いがある気心のしれた糸谷哲郎八段と一緒に登場され、ファンの方からのプレゼントだと仰る淡いクリーム色のパーカー姿が本当によくお似合いだった。
(こちらのYouTubeリンクから23’19〜30’20で番組冒頭部分を視聴できる)

MCを務めた森本翔太アナ(現在は退社されている)は小学生の頃から将棋を嗜み、アマ初段の腕前だという。この番組で恒例となっている森本アナと棋士との対局コーナーでは、この日もご自身の得意な穴熊で挑んだものの豊島先生によって見事に解体されてしまった。豊島先生はパステルカラーのパーカー姿の見た目とは真逆の、さすがの圧勝だった。
お互いに考えている事を口に出しながら指していくというルールに、豊島先生は終始微笑みながらも指し手は鋭く、緩めておられてもなおこの強さなのかというところに改めてトップ棋士の強さを実感した。

第6位 豊島JT杯覇者、初戦敗退後に順位戦でリベンジ

9月17日、豊島先生は大会連覇中のディフェンディングチャンピオンとして将棋JT杯プロ公式戦の2回戦四国大会に登場。先手となった豊島先生は戦型にご自身の中でも珍しい雁木を選択された。
受けに定評のある稲葉先生は先後同型でピタリと追従する。ジリジリと間合いをはかり歩を嫌味に垂らしながら、豊島先生の持ち味である強烈な攻撃を繰り出すチャンスを与えずに封じ切った。
JT杯は私にとって昨年大阪大会で初めて豊島先生の勝利棋士お見送りを頂いた大切な思い出の大会である。来年は手を振って優しく微笑む豊島先生にお会いしたい。
この対局から中3日後の9月21日にはA級順位戦で同一カードの対局が行われ、こちらは後手の豊島先生が勝利され、リベンジを果たした。
稲葉先生がJT杯対局前のインタビューで、豊島先生とは子供の頃から練習対局も含め何千局と戦った仲、という言葉がとても印象的だった。糸谷先生と宮本先生と部屋を借り、朝から晩まで将棋漬けだった頃のエピソードも思い出される。
12月15日には棋聖戦二次予選で千日手局151手、指し直し局218手の死闘を繰り広げ、豊島先生が勝利されたことは記憶に新しい。
きっと好敵手としてお2人の戦いはこれから先、何十年も続いていくのだろう。

第5位〜第1位は後編へ続く…

さてここまでお読みくださった皆様、順位はあくまで私の独断なのでどうかご容赦頂きたい。
お一人の将棋棋士を1年間応援し続けるだけで、こんなにも感動がいっぱいだったのかと書きながらも驚いてしまう。それぐらい今年も豊島先生が話題に事欠かなかったから、活躍してくださったからに他ならない。ファンとしては本当にありがたく、推していることが誇らしくなる先生なのである。
まだ上がっていないニュースは、後編(第5位〜第1位)でご紹介するので、そちらもぜひお読み頂けたらとても嬉しい。
↓後編はこちら

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