2年目にして開封した小学校の卒業アルバム

娘が小学校を卒業したのは、2年前。
卒業アルバムって、本当なら「小学校時代の素敵な思い出」が詰まっているはずなのに、娘はこの２年間、一切学校の卒業アルバムを広げることはありませんでした。

なぜかといえば、小５と小６にいじめを受けていたから。
小６の二学期終了時には、精神的にもたない状況まで追い込まれたので不登校にして、学校と話し合いに入りました。

もともと中学受験をする予定でしたので、勉強面は塾側が事情を聞いてくださったので、学校の授業と中学受験の両面と、精神的にリラックスできるような体制を組んでくれました。

結局は、行きたかった私立中高一貫校に合格し、学校側にも合格報告と、中学から依頼を受けている手紙を手渡しに行きましたが、その時の校長と担任の顔の引きつり具合は、私は決して忘れはしません。

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卒業するまでの間、教室に行くのは怖いということから、別室指導で卒業までの期間を過ごし、卒業式は、本番前日の夕方に、講堂で寂しく校長先生から証書やアルバム類を受け取って、寂しく卒業しました。

それから、中学校へ入学してから、小学校時代の友達とたまに遊ぶことはありましたが、スーパーのフードコートで、いじめてきた子をみかけると、パーカーのフードなどで、顔を隠すようにして、最近までは怖がっていました。

気の毒で、母親としてどうしていいか悩みましたが、つい最近「ママ、私、小学校時代のアルバムみたいねん」と言うので、隠していた卒業アルバムを出してやりました。

すると、今の中学校のクラス写真を持ってきて、小学校時代の卒業アルバムと見比べ始めたので、何が起こったか不思議でなりませんでした。

「ママ、もう私大丈夫だよ！ 今の生活の方が楽しいし、もうね、今のクラスの子が可愛すぎてね、性格もいいしね、たまらんのよ!」

へ？ どういうこと？

理由を聞いてみると、「小学校時代、いじめられているときは恐怖でしかなかったし、ママの病気がひどくなるのが怖かったから、言えなかった。
仲良しの子がいないスキに、暴力を振るわれたしね。中学受験で合格して、平和な学校生活を送っているけれど、今なら卒業アルバムを見れるような気がする」と答えました。

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恐る恐る出して、娘は卒業アルバムと今のクラスの写真を見比べ始めたのですが、「わぁ、今のクラスの方が絶対にかわいくて性格のいい子が多い！あのときはなんやったんやろう」と、ずっと喋り続けながら、見ていました。

中学受験に対する批判の中で「お金持ちだからできるんでしょ」という批判はあります。実は、小学校入学時から、不登校やいじめにあって、地元の中学に通えず、中学受験を選択する子はいます。

我が娘は、小４まで何事もなく過ごしていましたが、小５で担任が変わってから、いじめや不当評価を受けるようになって、まともに卒業できるのか親として悩みましたし、転校も主人と話し合って、考えた時期がありました。

実際に、今のクラスの子の中で、不登校やいじめで、中学受験を選択して頑張って入ってきた子はいます。もともと勉強好きで、頭の回転も良い子ばかりですから、小学校時代、奇異の目で見られて、いじめを受けたと言うケースは少なくありません。

国からの私立中学生に対する補助金制度はありますが、アンケートに答えることが必須で、その中身の中に「どうして私立中への進学を考えたか？」という選択項目に「いじめを受けた」が入っていて、国も知っていながら、聞くというのは、いやな気分になります。

結局は、所得制限があるので、ほぼ全員が受給対象にはなりませんが、このアンケートは失礼だなぁと感じます。

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さて、アルバムと集合写真を見比べた娘。
あとで、感想を言ってきました。「やっと２年間の恐怖を乗り越えられた。卒業アルバムは見たかったけれど、こわかった。いじめられたときの恐怖を思い出すと、気持ちが悪くなるから、いやだった。今はね、面白いクラスのメンバーに囲まれてるし、先生も科目ごとにいてるから、怖くない！」とはっきり言いました。

やっと、小学校時代の恐怖で消してしまいたかった過去を、乗り越えた。
前向きで理論的に、説明をして、クラスメイトを取りまとめる組長にもなったけれど、小学校時代の思い出を乗り越えるには時間はかかりました。

ここでいいたいのは、「いじめはやるな! やられた方は思い切って逃げても構わない。やられた過去は、いい方向に使うことで、いいことに変換できる」と。

いじめ問題や、虐待事件など、子供が悲しい思いをすることが増えつつあるけれど、やばいと思えば、とにかく逃げよう。
逃げることは恥ではない。命はひとつ。だから、それを守ろう。