庭での小さな小さな物語
我が家にも小さいながら「庭」がある。
一戸建てを購入する時に、小さな庭を作るのが夢だった。
結局は、私の好みでバラばかりになって、統一性がないなぁと呆れてしまう。
私の実家が近くで、体が少し不自由なので、昼間によく様子を見にいく。
実家の庭には、みかんの木がある。
物干し台があるところに、みかんの木があって、洗濯物を干したり片付ける時には、少し邪魔になる時はある。
しかし、ある時期はみかんの木にいる「ある住人」に気をつける。
「ある住人」とは、アゲハ蝶の幼虫である。
みかんの木に卵を産み付けていくので、夏や秋になると、たくさんの幼虫がみかんの木の葉っぱを食べていく。
小さい子が大きく成長する姿が、とてもかわいらしくて、「無事にアゲハ蝶に羽化してね」と時々体を撫でる。
現実はというと、幼虫がいる時期には鳥が沢山きて、翌日には幼虫が全くいなくなっている日があった。葉っぱに鳥の羽が残されていて、「あ、食べられた」とショックを受ける日もあった。
無事に庭のみかんの木から、さなぎになって、羽化する子は、2〜3年に1匹か2匹程度。卵から立派なアゲハ蝶になるのは、厳しい世界なのだ。
毎年、小さいながらも健気にみかんの木の歯を食べる幼虫に対して、洗濯物を干しながら、「頑張れ」と応援するとともに、自分にも「頑張れ」と励ましの言葉をかける。
小さなものから、いろいろと励ましや元気をもらえるから、毎年みかんの木を眺めてしまう。
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