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ハンドメイドの一連の報道をみて感じたこと

少し荒れることになるかもしれないけれど、ハンドメイド作品を売っていた経験があるし、そこで考えさせられたこともあるので、シェアできればと考えて、これを書く。

今月に入って、とある番組で「ハンドメイド作品の販売の実態」なるものが報道されてから、SNS上で大荒れになり、この報道以降から、ハンドメイド作家さん達が「大きな値引き交渉を受けた」「手間賃がかなりかかっている作品なのに、材料費代しか払わない」などの声が上がっている。

私は編み物やカバン作りが得意なので、まだ物書き業を始める時は、家計を助けるためにと、自分の得意な「手芸」でお金を得ることにした。

様々なハンドメイドサイトに登録をし、さらにはヤフオクやメルカリのハンドメイド部門でも販売をしていた。

自分用や我が子向けなら、シンプルで済ませるけれど、実際に得るとなると、奇抜で受けのいい商品を作らなければ、売れることはない。
その分、材料費を削るかというと、高額な材料だと、仕上がりが全く違う。
だから、誰かに売るとなると、材料費を削るのに難しくなるケースはある。

自分が作ったものが売れるのは、嬉しいが、すぐに自分が編み出した技法がパクられて、さらにランクアップしているので、その上を越えようとする時間も必要なのだ。

特に編み物は、かなりのツワモノであれば、写真だけでアレンジをきかせる編み方がわかる。レース編みは決まった技法が多いので、目数を数えていくと、自分オリジナルが簡単にできてしまう。

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つまみ細工や羊毛フェルトなど、簡単に見えるようだけれど、実はすごく時間がかかる作業で、ひとつひとつカットした生地(特に絹のがいいとされている)をピンセットを使って折っていく作業をする。

それから、組み立てていくけれど、ボンドではない昔ながらののりで接着していて、安定するまで2〜3日かかる。だから制作日数は長くなる。
羊毛フェルトも、リアルさを追求するのであれば、1ヶ月以上かかる作品は多い。

それを考えると、高額になるものは多数ある。
目の肥えている人なら、高額な設定でも、作品を見れば「妥当な値段かどうか」は見抜けるわけで、納得いかないのであれば、無理に買う必要はないと、私は考える。

つまみ細工でのことを知りたいと思うのであれば、ぜひ京都の「かづら清老舗」というお店を訪ねてほしい。一般向けのくし類はもちろん、舞妓さんがつけるかんざしを販売している。

その値段を見てもらうと、つまみ細工がいかに高いものかというのがわかる。(オンラインショップで舞妓さん用はみれないけれどこちらで簡単なものの値段は見れる)

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今朝は、twitterで、毎月赤字だけれど500円で食事を提供しているおばあさんと、ハンドメイド作家さんについての言及があった。

うまくその方のツイート原本は上げられず申し訳ないが、言い分としては
・毎月赤字でだけども500円で食事を提供しているおばあさんの報道があって賞賛されている。
・その活動は、ハンドメイド界隈では「やりがい目的」採算の取れない価格で活動をし、価格崩壊を起こしているのではないか?
だからおばあさんの活動を褒めるのは変だという言い分だ。

様々な論争になっていて、ついにはおばあさんが「ダンピング」を起こしていると言う始末。

元主さんの認識まちがいはあるけど、おばあさんのやっていることは、ダンピング(独禁法上は不当廉売という)にあたるかというと、そうでもない。周りに競合相手がいるからやっているというのではなく、「善意」からご自身で儲けで食事を安く提供しているわけではない。

では、ハンドメイド作家さんは、どうかというと、全ての人が「やりがい目的」でやっているかというと違う。

外へ働きにいく人が難しい人や、どうしても他の職業で食べれない人が、自分の特技がたまたま手芸などの「ハンドメイド」ということから、やっている。

安くで材料費を上げて、売っている人は確かにいるけれど、妥協せずに質のいいものを使って売っている人もいるので、一連のテレビ報道については、本来ならハンドメイド作家が怒って、抗議しなければいけない。

ハンドメイドでは、薬品を使うものがあって、かぶれたりやけどをするケースがあるので、簡単なものではないのだ。

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おばあさんについては、実は旦那さんの遺族年金で食べていけていると言う話だし、おばあさんが運営している食堂の周りに、競争相手がいるわけでもない。しかも、「食堂」なのでハンドメイドと切り離して考えてほしい。

この世の中、食べることに困っている人は大勢いるから、こういうおばあさんの存在はいてもいいんじゃない。
おばあさんの「世の中への思いやり」である。

ハンドメイドは「キラキラ主婦の小遣い稼ぎ」と考えられては、困る。
家計のために、赤字すれすれのところでやっている人もいる。

最近、キラキラ系主婦をターゲットにした商売があるので、どうしてもキラキラ系主婦の好みに合わせるという傾向はあるので、凝った作品を作らなければいけなくなるという図式が出てきている。

そこで、相場をしらない人が「これ、材料費安いんでしょ。」と言われると頑張って、こだわりを持って作っている人は、嫌になる。
私の周りでも、売るのをやめた人は多いし、私も売るのをやめた。
正直に言えば、値引き交渉の仕方が、怖いのだ。

今論争が繰り広げられているけれど、そのうち、ハンドメイドの世界の価格は崩壊するのではないかと見ている。

実は、価格論争は、2〜3年に一度のペースで論争はあって、メディアに取り上げられることはなかった。だから、メディアに取り上げれたことで、おかしな販売が多発していった。

多分、ハンドメイドバブルが今起きていて、そのうち始めるのではないか?

今後、どうなっていくかは、論争の中でわかるし、落ち着くだろう。
いや、落ち着いてくれないと、やめていった作家さんの立場があがらないし、比較されたおばあさんが、あまりにも気の毒なので、
早く、この論争は落ち着いてほしい。






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