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成人式の振袖選びは大変だけれど楽しかった

最近、娘との喧嘩が多くなった。

特に、昨年末から娘と「成人式の着物」についてもめまくり、大学の後期試験が終わってから振袖問題を片付けると決めたところまでたどり着いた。

大学生協に加入していたので、提携しているお店か地元のレンタル振袖店か迷った。

この頃は「ママ振袖プラン」なるものがあり、お母さんの振袖を着たい娘さんの為に帯などの小物を変えるなどのプランはある。

しかし、私の振袖を見せると「色が嫌い。好きじゃない。」の一点張り。

もうお店の着物を最優先で決めて、最悪気に入らないとなれば「ママ振袖プラン」と考えた。


2店舗へ試着予約を入れていたが、最初に行ったのが大学生協と提携していた大手振袖レンタル店だった。

予約時に「一応ママ振袖を検討している」と伝えていたので、最後に私の振袖から試着していくのかと思えばそうではなかった。

店員さんは、真っ先に私が持ち込んだ振袖・帯など一式を点検し始めた。

まっさきに言われたのは「こういう薄紙はやめて欲しいんですよね。」

はーーー?!

「それとですね、多分お嬢さんとサイズは合わないと思いますんで」

えーーーーー?!

店員さんから「それって失礼じゃないの?」という言葉ばかり出てきた。

私の振袖は、金箔や金糸を使っているので購入した呉服店では、着物に挟んでいた薄紙は挟んでおいて欲しいとは言われていた。

年に1度は虫干しはしていたし、その度に点検はしていて、この30年は大丈夫だった。

一番嫌だったのは「サイズが合わない」と言われたことだった。

実際に羽織ってみると、確かに私より身長が低いはずなのに、おはしょりができないし、裄丈が短い。

裄丈とは背中心から手首までの長さ。おはしょりとは着物を着付けた時にできる余分な部分で帯を巻いた時に帯下人差し指分ができる。

店員さんがいうには、昭和生まれの人と平成生まれの子との体型差があり、身長差があっても、身丈・裄丈が変わるのでお母さんのは着れないと。

和裁を少し習っていたし、着付けは指導できるレベルなので「ここで調整できるんじゃないの?」と言ったけれど、できないの一点張り。

最後には私の過去の体型について言われて、涙が出そうになった。

着付けを習っていた時に、先生から「女性同士だし、言っていいことと悪いことはあるのよ。体型のことは絶対に否定しちゃだめ」と教わっていたから、泣きそうになってうつむいた。

一緒に来ていた夫は、退屈だったのかどこかに出かけてしまい、頼れる人がいないし、娘を心配させるわけにはいかなかった。


そこへ救世主が現れた。

少し初老の女性と若い女性が

「どうしたの?困ってはるの?お嬢さんのお着物選びを一緒にしましょ」

と声をかけてくれた。

最初に対応した店員さんへは「あなたはお母様の振袖を丁寧に畳んであげてね」と指示し、「お色と柄でお嬢様の好きなのをまず選びましょ」と娘の好きな色と柄をどんどん出してくれた。

するとどんどん気に入った振袖や帯、そして小物までどんどん選ぶスピードが早くなる。

時々「うーん、これもいいけれどねぇ。お母様はどう思います?」と私の意見も聞いてくれて、娘の意見も聞いて納得のいく組み合わせにしてくれた。

しかも「予算はいくらぐらい考えていたのかな?」と予算のことも聞いてくれて、抑えられる部分も提案してくれた。

それでも、娘がとても気に入るものを選んでくれて、親子で大喜びする組み合わせになった。


選ぶ途中で、初老の女性が「大先生」と呼ばれていたので、もしかしいて併設しているスタジオの着付けでいるスタッフさんではないかと気がついた。

着付けのスタッフには、トップの方がいて「大先生」と言われる。

小物類を選んでいる時に

「今日の前撮りが終わったから、振袖選びのお手伝いにまわっているの。お母様は着付けしていたの?なんとなく言ってることで気がついたの。」

と言われたので「はいそうです。」と答えた。

すると「一番最初のスタッフが失礼なことを言ったみたいで申し訳なかったわね。受付の子に聞いたのよ。ごめんなさいね」と謝られた。

私が言っている内容が聞こえていたらしく、その内容はもしかすると着物関係の仕事をしていたのではと思ったそうな。

大先生は悪くないのに、謝られて大変申し訳なかった。

「もし、よかったら成人式当日にスタッフで入ってもらえると嬉しいんだけれど、どうかしら?」とスカウトがかかったけれど、体調面でお断りはした。


結局は、私が伝えていた金額で先生が調整をしてくれて、しかも娘が大喜びする組み合わせにまとめてくれた。

私も「これはいい!私の振袖よりもこれがピッタリ!」と嬉しくなった。

お店側での貸し出した内容の写真を撮った後に、娘の試着した写真を撮った。

親バカになるが、かわいい。とにかく、かわいい。

大先生と助手さんが振袖を脱がしてくれた時は「お嬢様、暑かったでしょ?疲れたね。後でお菓子もらえるわよ」と声をかけてくれた。

同時に「お母様もお疲れ様でした。もしよかったら、撮影の時にお気に入りの着物があればお召しになって一緒に撮影されてはどう?」と思い出作りの提案もしてくれた。

前撮りは6月に行い、その後私たちで保管。

成人式などの行事終了後に返却する。

娘が気に入ってくれるフルセットが用意できて、私は嬉しかった。

嫌な気持ちにはなったけれど、たまたま手が空いていた大先生と助手さんには感謝だ。

運がよかったとしか言いようがない。

もう1店舗予約をしていたがキャンセル。

前撮りの当日、またお会いできると嬉しいなぁと思いながら、帰宅した。



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