遠足はシナゴークへ
私が住んでいた、ドイツの家のそばに、アンネフランクの生家がありました。今回は、ドイツでは、ユダヤ人が身近だった話と、子供の遠足の話を書きます。
アンネフランクの生家のお庭には、さくらんぼの様な木があって、道に飛び出た枝に実が沢山なっていて、うちの子供達が、そこを通ると、ジャンプして実を採ろうとしていました。アンネフランク姉妹もこんな風に実を取ったのかしらと思いました。
市内には、ゲットー跡があります。夜になると門を閉ざされて、狭い間口の家が薄暗い通路に並ぶ時代もあったそうですが(ゲットー跡に博物館があって、発掘された、家々の区画が見れます)、アンネが生まれた頃は、郊外の広い邸宅にも住む事が出来た時代でした。
その生家から近所の緑豊かな地域に引っ越して何年か後、ナチスから逃れて、アンネの一家はオランダのアムステルダムに行きます。我が家も、何度かアムステルダムに車で旅行に行きました。車だと6時間位。現在だと、ドイツの家から信号2つで高速に入り、そのままノンストップでアムステルダム市内に入れます。その頃は遠かっただろうと思います。うちの子供と似た様な年齢で、この距離を逃れて、そして外に出れない生活を送ったのかと思いながら、アムステルダムの西教会そばのアンネフランクの隠れ家を見ました。
この写真はアムステルダムのアンネの家から数ブロック離れた辺り。
欧州を旅行すると、各地で旧ユダヤ人街があります。狭い路地に家が立ち並び、迷路の様な所もあります。今は、窓辺に美しい赤いゼラニウムを飾って、観光スポットになっています。スペインのコルドバやセビリアなど。
チェコのプラハのユダヤ人街のスパニッシュシナゴークの中は、豪華絢爛でした。東欧最大のユダヤ人街があったそうで、各所にシナゴークがありました。
ドイツで私達が借りていたアパートメントは、ユダヤ人の方がオーナーでした。とても裕福で、その一帯に、大きくて綺麗なマンションを棟ごと、3つ所有していました。
詳しくは勉強不足ですが、欧州にいる間、ユダヤ人の(一部かもしれませんが)金融に長けた面と、差別を受けた歴史との二面を感じました。
さて、ドイツでは、普段、過去のナチスに触れる事はありませんが、教育や生活の中で、受け継がれている事があります。ドイツでは、今でも、学校や街で、手をあげる時、指を揃えることはせず、人差し指で1のポーズをします。5指を伸ばすと、ナチスの敬礼ポーズになるからです。これはインターでも、ドイツの学校や幼稚園でも、街でも、ウエイターさんを呼ぶ時もです。教育で今でもされている事で、私もドイツでは、手を上げるポーズは、ずっと1のポーズでした。その様な今でも続いている、禁止事項は、他にもいくつか有ります。
さて、今度は話が変わり、子供の遠足の話。娘のインターのgrade1(小1)の時の遠足はシナゴークでした。貴重な聖典を見せてもらい、男子は頭にユダヤ教の小さい帽子をかぶせてもらったり、ラビのお話を聞いたそうです。
インターには様々な宗教の方がいます。キリスト教、仏教、ヒンズー教、イスラム教…。例えばランチの時も、宗教的に食べれない子用のメニューがあったり、家から持ってくるランチを持ってくる子がいたり。「インド人の子は大体ホームランチだよ。カレー用のお弁当箱があるの。」「〇〇ちゃんは(本当は呼び捨て)(宗教上)あれは食べちゃいけないの。」とか。学校ランチも、ブッフェ形式で、「食べれるものを取ってねー!」方式です。このランチの時間からも、娘は、多様性を尊重する事が普通だと思っています。
話はそれましたが、この遠足は社会科見学の様でした。中東で起きている事や歴史を色々知る前に、先入観なく、シナゴークに行って、後に、お友達があのちっちゃい帽子をかぶって、何だかすごそうな本を見せてもらった所がユダヤ教の教会だったのか。と思うのかもしれません。
ちなみに…、日本と違って、先生は遠足の下見なんてしないので、「ぶつけ本番」。先生が迷って、何十分もたどり着かずに彷徨ったそう!
行く時も貸切バスとかではなく、クラス毎に、ワラワラと、路線バス→電車に乗り継いで。先生が間違えて、反対方向のバスに乗ってしまったり、駅から逆方向に歩いたり、ハプニングだらけで、クタクタになって帰ってきました。最後は先生、疲れ切って怖かったとか。
それから、こういうfield tripの日には、学校のランチとして、紙袋に入ったpacked lunchが配られるのですが、大抵、中味はサンドイッチと大きいきゅうり半分かリンゴそのまま。
25年前の、米ノースウエスト航空の国内線機内食がこんな感じで、紙袋をヘイと渡されて、中身を見て、衝撃を受けましたが、その感じ。
きゅうりは、海外のヘチマ級の大きいきゅうりを半分に切って、ドーンとラップに包んで入っています。丸かじり。残して持って帰ったのをみて、最初、虫のえさかと思いました。笑
学びは素晴らしいけれど、段取りは、色々テキトーな、人間的な遠足が私は好きでした。