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短編小説『6月雨』19

喫茶店のドアに鍵を掛けた時には、既に22時が過ぎていた。店はやけに混んでいたが、俺の身体はエネルギーに満ち溢れていた。

道玄坂を歩いた。渋谷のネオンは煌々と輝きを放っている。街はまだまだ眠りにつこうとしないどころか、逆にこれから目覚めた者が更に集い始めようとしていた。

夜風がとても心地よかった。風に街路樹が揺れるとアスファルトに落ちた現実的なネオンの光も、なんだか抽象的な光のアートに見えなくもない。普段目にも入れようともしない渋谷の街並みが、 綺麗に感じるくらい気分が良かった。

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