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《ポンコツの意地》へのひとりごと
《ポンコツの意地》とは
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スクラップ専用になった代わりに相手フィールドに蘇生できるようになった《取捨蘇生》です。
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ちなみにポンコツの方が6年以上先輩です。
《ポンコツの意地》のポンコツな所
「カテゴリ専用の汎用カード互換品」というのは別段珍しい存在でも無いはずですが、《ポンコツの意地》は《取捨蘇生》と比べても非常に弱いカードと言わざるを得ません。
まずは単純にカード単体の効果として、相手依存の効果であるために扱いづらい点が挙げられます。
何らかのコンボに活用しようとしても、蘇生対象を確定させるためには原則同名3枚を墓地に送らないといけません。
また、《取捨蘇生》の互換品と言いましたが、《取捨蘇生》比で失っている部分がかなり致命的です。
かつて《苦渋の決断》が「5枚のうち4枚を墓地へ送らなければならず、残り1枚は手札に加わる」カードとして活躍したように、《取捨蘇生》も除外を利用できるカードと組み合わせることで「3枚のうち2枚を除外せねばならず、残り1枚は特殊召喚される」カードとして見做すことも可能です。
しかしポンコツはスクラップモンスターしか使えないため、除外は純粋にデメリットであり「逆に利用する」道がほぼ閉ざされています。
また、カテゴリ外に使えないことで「『なんでもいいから1体素材を展開したい』時に誘発モンスターを適当に蘇生する」と言った運用さえ許されないのも地味にキツいところ。
最後に、《取捨蘇生》では出来ない相手フィールドへの特殊召喚について。
これは勿論普通に考えれば、こちらがカードを1枚使って相手にモンスターを1体プレゼントする上に墓地まで失う「0:2交換以下」であり、なんらかのコンボを行わないと割に合いません。
幸いスクラップには「強制効果でスクラップ以外を全破壊する」《スクラップ・サーチャー》と「攻撃力0の戦闘破壊耐性」《スクラップ・ゴブリン》が存在するため、それらを送り付けたいところです。
しかしサーチャーとゴブリンは下級モンスターであるため、《スクラップ・ゴーレム》の効果で送り付ける事ができます。
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ゴーレムは【スクラップ】でも中核となるモンスターであり、無理なく展開に絡める事ができるので、ゴーレムでも出来ることをあえてポンコツを採用してまで行うのは非効率的です。
①相手依存で単純に弱い
②デメリットの逆用さえ難しい
③送り付けコンボを行うにもゴーレムでいい
サーチが無く安定して引き入れられないのはもはや些細な問題、これらの3要素に答えが出せない限り、《ポンコツの意地》は永遠にポンコツのままでしょう。
《ポンコツの意地》をあえて使うなら?
①→相手依存を無くす
《ポンコツの意地》はこちらの選んだ3枚からどれを蘇生するかを相手が選ぶため、墓地に3枚同名カードを揃えないと自分の展開したいモンスターを蘇生できないように見えます。
しかしポンコツのテキストをしっかり読むと、「墓地の3体を対象に取った後、効果処理時に選ばれた1体を蘇生、残ったカードを除外する」効果であると分かります。
つまり、効果の処理自体は「1体を選ぶ」事ができれば問題なく行われるため、チェーンした《剣神官ムドラ》などで対象の3体から2体を取り除けば確定蘇生になります。
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「墓地3体から相手が選んで」の部分が弱すぎるだけで、ポンコツの蘇生は効果を無効にもせず戦闘のデメリットもなくフェイズを放棄することもなく表示形式さえ縛られない完全蘇生であり、ゴーレムを蘇生すれば更なる展開に繋げられます。
ムドラ(ケルドウ)も「地属性・天使族」であり、春化精展開から無理なく引き込んで墓地に送れるカードなのも嬉しいところ。
この運用がおそらく最も自然かつ真っ当にポンコツを使えるルートなのですが、如何せん《取捨蘇生》が立ちはだかります。
ポンコツは送り付けが……と言おうにも、大抵はゴーレムを蘇生してゴーレムで送り付ければ済んでしまうからです。
取捨蘇生ならば春化精を対象に発動してムドラでデッキに戻すことで、サーチ効果が回るようにデッキ回復を行いつつ確定蘇生化を狙えますが、ポンコツでは春化精を絡めることはできません。
それどころかポンコツでは墓地のスクラップ3体を選ばなくてはならない関係上、通常の展開に使いたくても「ゴーレムを蘇生し、その上でゴーレム効果で展開するモンスターを墓地に残す」のが難しくなることもありえます。
なんなら、ムドラと言う妨害や防御に幅広く使えるカードを自分ターンのコンボに使ってしまっているのもマイナスです。
ポンコツにとっては理想的な環境かもしれませんが、他のカードにとってポンコツでなくてはならない理由が何もないのです。
②→除外後の活用を考える
スクラップ内に除外されたカードを活用する方法はありませんが、カテゴリ外ならいくつか存在します。
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《鉄獣の抗戦》は除外されたゴブリン・サーチャーなどを相手ターン妨害に利用しながら墓地に戻す事ができます。
サーチに関しても鉄獣下級モンスターの共通効果で《鉄獣戦線 塊撃のベアブルム》を出せばよく、炎属性レベル2という恵まれまくったステータスを持つ《鉄獣戦線 キット》を活用してのアクセスが考えやすいでしょう。
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他にも地属性レベル2の《Gゴーレム ペプルドッグ》を経由してサーチできる《重力均衡》も除外状態のモンスターを展開できます。
ポンコツが確定蘇生のために同名三枚を揃えると、うち2枚が除外された状態になるのも相性の良い点。
また「ネメシス」下級モンスターも除外された状態のカードをデッキに戻しながら展開する事ができます。
ルイキューでサーチ可能で超雷龍に繋がるコリドー、ワンフォーワンを共有できるキーストーン、炎レベル2かつカテゴリサーチのフラッグ、百鬼羅刹がアツいレベル3のアンブレラそれぞれ考慮の余地があるでしょう。
このように、除外状態のスクラップを活用する方法を考えること自体は出来ます。
しかし根本的に「《取捨蘇生》で良い」点には全く切り込めておらず、ネメシス以外の2つに至っては墓地で問題なく、除外する必要もありません。
「単体での扱いづらさを改善する」ことは出来ても、この方針で「《ポンコツの意地》に固有性を見出す」のは不可能に近いと思われます。
③→ゴーレムに出来ないことをやる
スクラップで送り付ける意義が大きいのはサーチャーとゴブリン、他はせいぜいシャークくらいであり、それらはゴーレムで送り付ける事ができます。
しかしあくまでゴーレムの送り付けは下級モンスターに限られているため、上級モンスターやリンクモンスターは送り付ける事ができません。
とは言えゴーレム対象外の特定モンスターをどうしても送り付けたいとして、「ゴーレムで適当な下級を送り付け、《転晶のコーディネラル》で入れ替える」という方法も存在します。
回りくどいコンボではあるものの、ポンコツ側も確定送り付けのためには同名3枚の墓地落としかチェーンしての墓地調整が必要である以上何も言えません。
単に送り付けるだけでは相手の得にしかならないことは既に触れたとおりですが、仮に何らかの目的で上級(またはEX)モンスターを送り付けたいにしてもなお、あえて《ポンコツの意地》を採用する理由にはならないでしょう。
そこで、《No.29 マネキンキャット》なら「特殊召喚」がトリガーとして必要なので「コントロール入れ替え」のコーディネラルでは駄目な理由になります。
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「地属性」や「機械族」を参照してしまうと下級スクラップの送り付け(ゴーレム)で事足りるため、「岩石族」「戦士族」「悪魔族」「ドラゴン族」のいずれかを参照することになります。
正直マネキンキャットが絡んでくると可能性が膨大すぎてよく分かりません。
しかし「墓地に同名3体溜めた上で」「ランク2も展開し」「さらに(素引きの)ポンコツを発動し特殊召喚」という大掛かりなコンボでリクルートして嬉しいモンスターがいるのかどうかは甚だ疑問です。
最も同名3枚を墓地に送りやすいのは自身を素材に含めながら連続リンク召喚できるワイバーンでしょう。
しかしドラゴン族を何としてでも持ってきたいならシンクロで《瑚之龍》を並べるなどして《聖刻龍王-アトゥムス》(からジーランティスでステータスリセット)という手段もあります。
素引き魔法を勘定して良いならば岩石族は墓地に落としてから《魔救の息吹》(ゴーレムと共有)での展開なども考えられます。
「戦士族を相手の場に特殊召喚したい」ならポンコツを使わずともコードブレイカーも使えますし、さらに極論を言ってしまえばほぼ全てのモンスターは単発で出すだけならキュリオスからのデュガレスで展開できます。
総じて、「確かにゴーレムの効果にも穴はあるがある程度は自然にフォロー可能であり、残る隙を突いて差別化しようとしても無理が出る」というのが現時点での私の見解です。
総評
とにかく《取捨蘇生》の存在がネックであると言えます。
せっかく《ポンコツの意地》に「効果無効も攻撃不能もない完全蘇生の通常魔法」というなかなか見られない強みが存在するのも、「蘇生に伴ってカードを2枚除外する」という珍しい処理があるのも、全て《取捨蘇生》に被せられているので固有点として勘定できません。
その上で差別化になりそうな相手フィールドへの送り付けも《スクラップ・ゴーレム》が隙なくカバー。
「《ポンコツの意地》を使いながら勝つデッキ」は作れても、
「《ポンコツの意地》でなければならないコンボ」は作れない。
これは、今後新しいパックで蘇生・除外・サーチなどに関連する「ポンコツを使う上で嬉しい」カードが出ても同じことです。
ポンコツにとって嬉しいカードは取捨蘇生にとっても嬉しいからです。
現状「ポンコツ」というカード名が入っているのは《ポンコツの意地》1種なので、「『スクラップ』または『ポンコツ』魔法罠」をサーチするカード(と「ポンコツ」新規)でも出てくれれば……
……と夢見たいところなのですが、英名《Guts of Steel》の一般名詞っぷりを見るに独自カテゴリになる可能性も限りなく薄いと思われます。
残された可能性について
ここから先は完全な机上論になります。
A:名称ターン1
時代の違いによって《取捨蘇生》にはターン1制限があるため、1ターンに2回ポンコツを使うコンボなら差別化になります。
サーチもなく墓地を大きく消費するカードを2枚使う機会があればですが。
B:ゴーレムとのコンボ
《取捨蘇生》でも送り付けコンボが可能であるというのは、下級にせよコーディネラルにせよ《スクラップ・ゴーレム》の存在を前提としています。
よって、ゴーレムが墓地に居ない状態での送り付けはポンコツの特権です。
ただし、あえてゴーレムを使わずに【スクラップ】を回し、その上で確定送り付けが出来るような状況とその意義を考える必要があります。
C:4~6枚目
何としてでも【スクラップ】のメイン展開に《取捨蘇生》が必要で、3枚積みした上でさらに手札に加える手段が欲しいというなら、下位互換品であることを承知で類似効果をデッキに入れておく意義があります。
バック除去を重視するならば、《ハーピィの羽箒》との差別化を考えずとも「2枚目以降の羽箒」として《ツインツイスター》がデッキに入るのと同じ理屈です。
ただ勿論「取捨蘇生にしか出来ないこと」のためにポンコツを入れても意味がありません。
「ポンコツでも出来ること」のために取捨蘇生を6枚入れたいようなデッキを考える必要があります。
おわり
ポンコツ関連のコンボを紹介しようくらいの気持ちだったのですが、整理してまとめていくうちに「一分の隙も無くどうしようもねぇな」という気持ちになったのでこんな記事になりました。どうしてこうなった。
《取捨蘇生》さえ存在しなければ《スクラップ・クラッシュ》や《スクラップ・カウンター》よりよっぽど可能性のあるカードだと思うんですが。
でも《取捨蘇生》がある以上《ポンコツの意地》が救われることはないよ!
もしそんなことがあれば桜の木の下に埋まっても構わないよ!
そういうわけで人鳥さんでした。
最近ずっとポンコツの事を考えていましたが、これを区切りとしてしばらく他の事をしたいと思います。
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