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アメリカ製保健室 (1) #毎週ショートショートnote

日本には保健室というものがある。生徒の健康を心身両面からサポートする場所で、身体面のサポートに重きを置くアメリカのナースオフィスとは対照的だ。アメリカの我が校にも生徒を精神的に支える場所が必要だろうという話になり、日本の保健室を作ることになった。

まず立地を決める。日本の保健室は風通しや採光の良い静かな場所に作るらしい。校舎から少し離れたところに離れを建てることにした。近くに花壇があるので景観も良い。

次に什器を決める。日本の保健室にはベッドがあるのだが、そのせいで生徒がサボりに来るらしい。代わりに畳を敷くことにした。ベッドより硬いので長居には向かないだろう。

最後にサービスを決める。ナースオフィスの看護師に保健室の先生役をやらせるのは流石に酷だ。代わりに生徒自身が精神を整えられるとよいのだが……そうだ、茶道はどうだろう? 禅の精神を反映した、日本の素晴らしいアクティビティだ。

こうして、我が校に立派な茶室が完成した。

おわり (410文字)


お読みいただきありがとうございました!

保健室について調べていたら、そもそも保健室が日本固有の施設であることを知りました (似た施設は当然どの国にもありますが)。日本のマンガやアニメに保健室が出てくると海外のオタクは戸惑うみたいです (笑)。

日本固有のものなら、お寿司からアメリカ製お寿司・カリフォルニアロールが生まれたように、保健室からアメリカ製保健室が生まれてもいいんじゃないかと思い、本作に至りました。いやそれ保健室じゃないでしょ!という感じにしたかったのですが、茶室はちょっとやりすぎたかも?

たらはかにさんの企画に参加しています。
今週のお題は【アメリカ製保健室】で【どんでん返し】なショートショートです。


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