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アルコホーリクス・アノニマス

2013年5月4日
午前1時半、5月3日の日記を書き終えて、今日は何について書こうかと思案しているところである。それから1時間半が経過した。午前3時だ。何を書こうか?そのうちに4時になった。仕事の時間である。今日はいつもの地域以外にちょっと離れた地域にも配達しなければならない。週に1日の約束であるが、やはり面倒くさい。
いつもの近所を配り終えて次の地域に向かう途中、急に体が震え始めた。恐らく酒が切れ始めてきたのだろう。禁断症状だ。血圧が上昇したような感じがして、脈拍も早まってきた。昨日は昼間に第3のビールを2本飲んだだけでほとんどアルコールを飲んでいない。それが仇になったのだろうか?急いで近くのコンビニに入ってビールを買い、駐車場で座り込んでそれを飲んだ。次第に症状は落ち着いていく。私はこういう場合、断酒はしない。それが私の生き方だ。いつもより1時間余計に時間がかかって午前6時前に帰宅した。
家に帰る前にいつものように「バーリアル(BARREAL)糖質50%オフ」500mlを2缶買う。それを飲みながら何を書こうかと思案している。そこで、以前に断酒会のことを書いたので、日本にあるもうひとつのアルコール依存症者のための自助グループであるAA(アルコホーリクス・アノニマス)について書こうと思う。
AAは、直訳すれば「無名のアルコール依存症者たち」だ。私もこのAAにはよく通ったものである。AAのミーティングは、主にキリスト教の教会の集会室を借りて開催されていることが多く、AAの回復のための12のステップにも自分なりに理解した神や霊的体験が出てくるので、初めの頃はAAと教会と何か関係があるのかもしれないと感じるかもしれないが、AAはどのような宗教、宗派、政党、組織、団体にも縛られていない。また、AAは会員制ではなく、入会手続きや会費もない。また姓名を名乗ることも連絡先を教えることも一切明かさないこともその人の自由である。行くのもいかないのもその人の自由だ。
即ち、断酒会のように組織化されていないし、会費もいらない。本名も住所も明かさなくても良い。メンバーはAAの独特のアノニマス・ネーム(AAにおけるニック・ネーム)を名乗っている。また、実情は違うが、ソブラエティ(飲まないで生きること)が長い者が新人を指導するような雰囲気も、断酒道場のような指導をされているといった雰囲気もない。だから、特に断酒しはじめの人、特に若い人は溶け込み安いかもしれない。
私は大阪の病院も東京の病院も入院してアルコール・リハビリテーション・プログラムを体験しているので両者の比較ができる。大阪の病院では断酒会がメインで、院内で行われるミーティングも院内例会と呼ばれる。例会とは断酒会用語である。一方で東京の病院はAAがメインである。私が3回入院した桜ヶ丘記念病院では、入院初期のアルコールへの囚われからの解放、禁断(離脱)症状に対する解毒治療、肝障害などの身体合併症に対する身体治療が終わって、依存症やアルコールの害について正しい知識を身につける酒害教育、抗酒剤などの薬物療法、心理社会的治療が中心のアルコール・リハビリテーション・プログラムが始まって1ヶ月が経過すると、院外のAAミーティングへの参加が強制された。また、院内メッセージに来るのも断酒会ではなくAAの高津、調布、府中グループのメンバーだった。
しかしである、AAミーティングに通い続けたからといってアルコールが辞められるとは限らない。その証拠に、私は東京時代、徹底してAAミーティング通いを1年間続けたが、結局やめることはできなかった。AAミーティングに通いながらアルコールを飲んでいた。それが余計にストレスになって、最後はベゲタミンAというバルビツール系の睡眠薬30錠をビールで流し込んで自殺を図った。
多分、AAの助けを借りてアルコールを辞めるか辞めないかは、その人によるのだろう。私の場合は断酒会同様、AAの雰囲気にも抵抗があった。中にはAAの自由な雰囲気が好きだとか、ミーティングが楽しいとか、バースデイを祝ってもらえるのが嬉しいとか、同じ病気を抱えている人の集まりだから団結力があって断酒が楽に続けられると言う人もいるが、それはその人のパーソナリティーによるところが大きい。また、AAにも問題がないわけではない。その代表例がスポンサーシップと13ステップである。
そもそもAAはスポンサーシップから始まった。話はAAの出発点のBill WとDr.Bobの話から始めなければならないが、長くなるので割愛する。AAではスポンサーとスポンサーされる人は対等だと言われているが、実際の人間関係において、これはありえない。
AAでは、回復プログラムがある程度進んだアルコホリックはその体験を継続的にそして個別にAAの他の断酒を達成したまたは継続中のアルコホリックに分かち合う。スポンサーは「しらふの生活」を支えるために継続的で親密なサポートをするのだ。スポンサーの主な仕事は新人に断酒を継続させることである。ここで上下関係が生まれる。特に日本のように儒教精神がまだ色濃く残っている国ではスポンサー=先輩となってしまい、アメリカのような対等な人間関係は成り立たない。分かち合い、サポートという言葉は方便であり、結局のところは断酒の指導である。さらには、人間としての生き方をも指導する。私はこういう偽善的な人間関係は嫌いである。
一方、13ステップは、このスポンサーシップが男女関係に歪に発展した場合、或いは回復途上の依存症者同士が、その依存体質ゆえに男女関係を求めてしまい、お互い共倒れになることを言う。この13ステップの例を私はAAで見飽きるほど見てきた。
AAには12のステップがある。その第1は、「私は自分の人生が手に負えなくなっていたことを認めた。」から始まる。そこでアルコール依存症者は無力を認識するが、12のステップでは自己満足という罠からは逃れられない。AAは同じ病気を持った人間の集まりである。そこで恋愛が発生することは珍しくない。しかし、AAでの恋愛は往々にして自己満足だ。本当の意味での愛ではない。特に依存症者はアルコールや薬物だけの依存症者ではない。人間性そのものが依存体質になっているのである。人間に依存しても不思議ではない。だから世の中にはセックス依存症や恋愛依存症の自助グループもある。共依存もその例に漏れない。依存症という病気は、その対象への囚われだけから解放されても解決しない。依存体質そのものを解決しなければ治らない病気である。
午後12時になったので、今日も飲もうと思い近所の「SAKE市場グランマルシェ」に行って「SUPER PRIME 糖質50%オフ」500ml6缶パックを買ってきた。関西テレビの「たかじんの胸いっぱい」を見ながらちびちび飲み始める。そして午後13時からはよみうりテレビの「たかじんのそこまで言って委員会」の再放送を見る。やしきたかじんの復活祭りである。何故か今日はやしきたかじんの番組が続く。
午後14時半になったらプロ野球が始まった。阪神―ヤクルト戦だ。初回の裏にマートンのスリーランが飛び出して一気に6点を取る。とりあえず安心してまたチャンネルを関西テレビにして「阪急電車~片道15分の奇跡~」を見る。「SUPER PRIME 糖質50%オフ」は既に4本目に突入しているが、全く酔わない。
この日は前日の午後22時から一睡もしていないので、早朝の仕事もあることから、とりあえず寝ておこうと思い、睡眠薬のフルセットを服用した。映画が終わり、パソコンで「グランフロント大阪」や、先ほどの「阪急電車」のリアルタイム検索を見ているとそのうち眠くなっていつしか眠っていた。

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