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47.卒業式

さて、いよいよ「函館日記」のフィナーレを飾り、そして我が母校をの実態を一番よく知ることになる卒業式までやってきた。この卒業式を成功させることが卒業生たちの最大の目的なのである。私の時代は2月8日が卒業式だったように思う。この卒業式には私の両親に代わって、姉とその女友達が札幌の雪まつりを見た後で函館まで足を延ばして出席した。ちなみに今年の第63回さっぽろ雪まつりは、2012年2月6日(月)~12日(日)の日程で開催されたそうだ。それに対して我が母校の卒業式は2月1日だったらしい。
まず、北海道の中では一番早い卒業式だと言うので各メディアも勢揃いしている。今では立命館慶祥が2月1日に卒業式を行っていて、ニュースで取り上げられるのは、札幌から行きやすい立命館の方だとのことだが、我々の時代は違っていた。ちなみに卒業式は2月初めであるが、一応身分の上では3月末まで函館ラ・サール生だとのことである。ちなみに同窓会入会式が、卒業式前日の1月31日新体育館で行われる。
そんなテレビカメラマンやスチールカメラマンが大勢いるところで目立たない手はない。普通の卒業式をしたのでは函館ラ・サール生の名が廃る。と言うことで、今ではどうかわからないが、私の時代には卒業生それぞれとクラス単位でサプライズを演出することが我が母校の伝統になっていた。
卒業式当日、先ずはクラスに集まった我々だったが、その時点で何かがおかしいことは明白になった。着用している服、いや、衣装が普通とは違うのである。私は普通に上下黒のスーツを着ていたが、中には羽織はかまを着た者や神主の恰好をしたヤツ、岡っ引きの格好をしたヤツらが少なからず存在した。普通、卒業式と言うものはもっと厳粛なものであり、今の大阪なら「君が代」の斉唱が当たり前になっているところである。しかし、ここにはそんな厳粛な雰囲気は一切ない。どちらかと言うとメディアに自己アピールする格好の場所となった。
体育館では既に在校生や父兄の方が揃って卒業式を待っていた。グリークラブが校歌とは別の学園歌「Its a long way」を歌っている。そこに我々卒業生が入場していくと会場が一斉にどよめいた。そりゃそうである。コレは普通の卒業式ではない。特に仮装したヤツらはメディアの恰好の的になった。体育館のあちらこちらからは爆笑が聞こえてくる。そんな雰囲気の中でグリークラブは良く「Its a long way」を真面目に歌えたものである。
卒業生一同が着席すると、次に卒業生は一人ひとり壇上で証書を受け取る儀式がおこなわれる。まずはここでパフォーマンスするヤツが多い。現在ではどうなっているのか分からないが、2006年の卒業式では、卒業生入場の最後尾に「大根(かぶ?)」のきぐるみを 着た二名組みが特攻隊長といわんばかりに堂々入場。開始早々、参加者の度肝を抜く。(入場行進後、無事に着席に至るが、即刻撤収を命じられる)その後、卒業賞授与の 際には落武者に突如変装し、逆ギレするという奇怪な行動をとる者(フェルミン校長によって、卒業証書は回収される)、校歌斉唱の際に高速で「タラコ」に変装。壇上に上り何か行動を 起こそうとした二名組みも、撤収を命じられる(数分後に正装で帰還)という事件があったそうである。変わってないな~我が母校。
一人ひとりの卒業証書授与の後にはクラスごとのパフォーマンスも行われる。 我々のクラスは缶コーラで乾杯した思い出がある。その他、燦々七拍子をやったクラス、帽子や花を空中に投げたクラスなどいろいろである。ここでもまたメディアは過剰なパフォーマンスを期待するし、卒業生たちもその期待にこたえるパフォーマンスを行う。このパフォーマンスであるが、意外にも保護者には好評らしい。また、教師の一部でも密かに好評であると言う話がある。まあ、教師も元はと言えば我が母校の卒業生だ。伝統は受け継がれる。
そして、一通りの儀式が終わると卒業生は退場してまたクラスに戻ることになる。この辺りの記憶は曖昧である。戻った後のクラスで何が行われたのか全く覚えていない。ただ、私個人は、姉に連れられて職員室に行き、担任の及川先生に挨拶に行ったのは覚えている。まあ、喫煙事件その他色々あったので、姉としては両親になり変わって詫びがしたかったのだろう。
その後、舞台は寮に変わる。最後の荷物の整理を行って、実家に戻す物と廃棄するものを選別して寮の部屋を空っぽにした。以前から、部屋の中のものは少しずつ整理していたのだが、何分、3年間の思い出が詰まった場所である。なかなか去りがたいが後輩に場所を譲らないといけないので仕方がない。姉も寮の部屋にまで付いてきたが、あの時のミンクのコートに厚化粧の姉は見苦しかったな・・・
最後の重たい荷物と卒業証書をも行った私は姉とその女友達と一緒にタクシーで函館空港に向かい、空港内のロビーで函館最後の記念撮影を行った。空港のロビーには同じ飛行機で関東・関西に帰る同級生たちが大挙して集まっていた。そして飛行機に搭乗すると、思い出の詰まった函館との最後のお別れである。
さらば、函館!!!

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