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非常階段とアイドルのコラボ

最近、ノイズグループの非常階段とアイドルのコラボレーションに凝っている。最初に買ったのは初音階段のミニアルバムである。
初音階段の初音とは、ボーカロイドを使用したバーチャルアイドル初音ミクのことである。インディーズのライブ・ハウス・シーンにいるような人達は、ボーカロイドとか初音ミクってイメージだけで「アキバ」みたいな印象があって、毛嫌いしているらしい。しかし、非常階段のJOJO広重はかなりフレキシブルである。

https://www.youtube.com/watch?v=85h7VrlKzBc

これまでのノイズの文脈からすると、ものすごく特殊で、若い女の子が、ノイズをわかってああいうパフォーマンスをするっていうのは、海外のメディアからすれば信じられないらしく、初音階段はロンドン公演を行った。
続いてBiS階段。エクストリームで無軌道な道を歩み続けるアイドルグループ・BiSと、「キング・オブ・ノイズ」として世界に君臨する非常階段によって、世界初のノイズアイドルバンド・BiS階段が結成された。最初、話が来た時には、BiSのリーダーのプー・ルイの高校のときの元カレから「非常階段とやるならどうにかして入れてくれないか」っていうメールが来て驚いたらしい。
JOJO広重によると、以前に「ももクロ階段」をやろうっていう話がTwitter上であったのだが、ももクロがブレイク中だったので、その話が流れたことをTwitterで書いてたら、何人かが「広重さん、ももクロもいいけどBiSの方が合いますよ」ってツイートがあって実現したらしい。
アルバム『BiS階段』には、ノイズ化されたBiSの代表曲と、新録曲として戸川純「好き好き大好き」のカバーが収録されていて、オリジナルの戸川純が聴いて気に入ったそうである。ちなみに、BiSのメンバーのテンテンコの憧れの人が戸川純で、本人に言わせると、「BiSに入ったときにスタッフの方から好きなアーティストを訊かれて、「戸川純さんが好きなんです」って答えたら、「へー、近々なんかいいことあるかもね」みたいに言われて、去年までの家の中でくすぶっている自分が見たら本当にびっくりするだろうな」ということ。

BiSと非常階段によるユニット、BiS階段は解散ライブ「BiS階段 LAST GIG」を2014年5月6日に東京・WWWで開催した。入場時に「当該コンサートの開演中にいかなる事故が発生し危害が加わろうと主催者側に何ら責任がないことを誓約いたします」と書かれた誓約書にサインすることが必須という不穏なイベントながら、会場は満員の観客で開演前から熱気に満ちていた。この「BiS階段 LAST GIG」は2枚組CDとして発売され、その1枚目はBiSの代表曲である「nerve」の13回連続パフォーマンスが蔵められている。

ライブでは、「nerve」がスタートすると早くもフロアは大きく沸き上がり、そして1曲目が終わると、続いて流れてきたのは同じく「nerve」のイントロ。曲が終わっても何度も「nerve」が繰り返され、BiSのメンバーはフロアにダイブしながら会場の後方まで観客の上を泳いだという。
7回目に「nerve」が演奏された際は、メンバーがステージ上に集まって休憩し始めるという一幕もあり、ラウンドガールのようにステージ上で演奏回数を知らせていた男性が13回目をアナウンスすると、BiSのメンバーが男性を捕まえて絵の具でグチャグチャにし、そのまま客席にダイブさせた。
ライブが終盤にさしかかり「STUPiG」「primal.」といった人気曲が始まると、ステージから観客に向けて臓物などが投げ込まれる。謎の液体を全身に浴びて観客が狂喜乱舞するという地獄絵図を前に、メンバーはノイズをまき散らしながらギターを破壊。みんなでコショージメグミの衣装をバラバラに切り刻み、最後に「ありがとう!」と言い残してステージを去っていった。
初音階段、BiS階段と続いて、次に買ったのは、2014年12月17日にテイチクエンタテインメントからリリースされた非常階段とゆるめるモ!によるコラボレーション・アルバム「解体的交歓〜真夜中のヘヴィ・ロック・パーティ〜」である。

アルバムは、2014年9月26日に東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで行われたオールナイトイベント「第弐回 真夜中のヘヴィロック・パーティー」における非常階段 featuring ゆるめるモ!のライブの模様を収録したもので、ゆるめるモ!のメンバーは体調不良で欠席したけちょんと休養中のゆみこーんを除く5人での参加となった。
JOJO広重は「非常階段とゆるめるモ!が合体してお互いの音楽が解体されながらも寄り添い、融合し、メンバー全員で楽しく演奏し、別次元のアイドル&ノイズ音楽を完成させた」と振り返っており、この回想がアルバム名の由来の一つとなったという。アルバム名およびジャケットは高柳昌行と阿部薫のアルバム「解体的交感」のオマージュである。

両者が共演するきっかけは、四谷アウトブレイクにおいて定例でやっている『自家発電』というイベントがあり、以前にBiS階段のライブをやったのだが、2014年6月にそのvol.3があって、非常階段と組み合わせると面白いグループはいないかということで、ゆるめるモ!の名前が挙がり、そこで初共演となった。
非常階段のJOJO広重が注目したのは、ゆるめるモ!のアルバムにNEU!のファースト・アルバムのジャケットをオマージュしたものがあったり(2ndミニ・アルバム『NEW ESCAPE UNDERGROUND!』)、NEU!を意識した「SWEET ESCAPE」というクラウト・ロック調の曲があったことらしい。ちなみに非常階段はジャーマン・ロックに多大な影響を受けている。ゆるめるモ!のアルバム・ジャケットはNEU!ばかりではなく、WEEZERやGANG OF FOUR、ESG、SUICIDEへのオマージュもあり、楽曲もニューウェイヴ色の濃いエレクトロ・サウンドが音楽性の特徴なので、ロック・ファンにも受け入れられやすい要素もあった。


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