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Trek DomaneとSpecialized Roubaixの違い

2020年1月からTREK Domaneに乗り始めました。

購入時は、同じようなジャンル(エンデュランスロード)のSpecialized Roubaixにするかどうか相当悩みました。
 結果的にはDomaneにしたわけですが、乗ってみて気付いたその違いについて、まとめたいと思います。

ちなみにDomaneのインプレッションはこちらで行っています。

■Domaneの設計思想と振動吸収機構

DomaneとRoubaix、どちらもエンデュランスロード、そして悪路での走行性能を高めたモデルです。しかしその設計思想や振動吸収機構は、大きく異なります。

Domaneは「サドルに振動をいかに伝えないか」というコンセプトで作られていると感じました。

通常のロードバイクは、フロントフォークのコラム部分とフレームのヘッドチューブが、ベアリングを介して直接つながっています。
 そのため路面の振動は、タイヤ→ホイール→フォークと来て、ハンドルとフレームに直接伝わります。ハンドルの振動は乗り手の腕へ、フレームの振動はサドルを通して乗り手の胴体に伝わるわけですね。

しかしDomaneは一般的なロードバイクと異なり、ヘッドチューブ内に配置されたIsoSpeedによって、コラム部分とヘッドチューブが独立しています。正確には、フロントフォークの前後方向の振動を直接ヘッドチューブ(=フレーム)へ伝えない構造になっています。要するに、前輪の振動がフレームに伝わりにくくなっています(IsoSpeedは左右方向には動かないので、ハンドリングには影響がありません)。

また、シートチューブとトップチューブの接合部分に配置されたIsoSpeedにより、シートチューブとトップチューブも独立しています。
 それによりシートチューブがよくしなるので、フレームに伝わってきた振動もかなりいなされた状態でサドルに伝わってきます。

このように、フレームへの振動、サドルへの振動はかなり低減されます。


ただし、これは乗ってみて意外だったのですが、ハンドルには結構振動がきます。

普通のロードバイクは、前輪が段差を乗り越える場面では、一連のパーツがほぼ直接つながっている、バイク全体、あるいは乗り手も含めた全体が振動するはず。
 一方のDomaneも、ハンドルとコラムは直結されているので、ハンドルには通常のロードバイクと同じように振動が伝わります。より正確には、Domaneの場合は、前輪~コラム~ハンドル部分だけが振動します(フレーム側には振動が伝わらない)。

そして、これはいわゆるばね下重量が軽い状態に近いわけです。こうした影響なのか、Domaneは、普通のロードバイクよりもハンドル部分はより多く振動する気がします(特に、下り坂でサドルの上でじっとしていると、サドルに感じる振動と、ハンドルの振動の違いをよく感じます)。
 結果的に手には結構振動が来るということです。これを軽減するために、完成車ではゲルが入ったバーテープが使われていたり、振動吸収層を挟み込んだカーボンハンドルが使われていたりするのでしょう。

ここで重要なのは、前輪が受ける振動がフレーム本体には伝わっていないという点です。さらにシートポストに設置されているIsoSpeedにより、サドル部分に振動が到達するまでには、かなり軽減されています。
 そのため、手が感じる振動ほどは身体には振動が伝わっていないという不思議な感覚がします。手を放して荒れた路面に突っ込むと、振動吸収性能の効果がよく分かります。

こうしたコンセプトとフレーム特性により、悪路でも気にせずペダリングを続けることができる→結果的に速いということが実現されている気がします。あとは、身体が受ける振動が軽減されていることで、疲労感の軽減にもつながっているはず。

ちなみに、一番振動軽減効果を実感するのが、荒れた路面での登りです。登りだと、必然的にハンドルよりもサドルに体重がかかります。そのため、ハンドルが振動していてもあまり気にならず、その一方でサドル側の振動吸収が働いて、荒れた路面でもスムーズにペダリングを続けられていることが実感できます(ただ重いんですよね。だから登りが得意とはならない気がするので、トントンという感じでしょうか)。

Trekの動画をよーく見ていると、ハンドルの振動とサドルの振動の違いが分かりますね。1:32~の石畳のところとか。


■Roubaixの設計思想と振動吸収機構

一方のRoubaixは、コラム部分に配置されたFutureShockが特徴的です。サドル部分は、シートポストの固定位置を通常よりも下げて、通常よりしなるようになっています。
 これにより「ライダーに振動をいかに伝えないか」というコンセプトを実現しているようです。スペシャのページにもそのような記載がありますね。

構造としては、前輪が段差を超えて振動する際に、ステム部分にあるダンパーが縮んで衝撃を吸収します。そのため、ハンドルには振動があまり伝わりません。それがバイクから身体が浮いている感じという印象になるのでしょう。
 ただしコラムとトップチューブは従来型のロードバイクと同じく直結していますので、フレームには前輪の振動は伝わってきます。またサドル部分も、シートポストの固定部分を下げ長めにしたことで、振動吸収性能の前後バランスを取っているとのことではありますが、IsoSpeedほどは吸収されず、ある程度の振動は残っているはずです(もちろん、普通のロードバイクよりは、だいぶ乗り心地は良いのでしょうが)。

また振動を吸収してダンパーが縮んだ際に、フレームや乗り手の身体に対して、ハンドル高が少し低くなると思われるので、ペダリングはちょっとぎこちなくなるかもしれません(身体はほとんど動いていないので、違和感は感じないかもしれませんが、これはあくまで想像です。ペダリングを止めて、サドルから少し腰を浮かせた姿勢だと、かなり振動を吸収するのでしょうね)。

こちらでは、Future Shock 2.0が良く振動を吸収している様子が分かります。3:40~の石畳の走行シーンでは、選手の身体はほとんど振動していませんね。一方でサドルは結構上下しています。

■DomaneとRoubaixの比較

ということで、振動吸収性そのものについてはRoubaixの方が高い。一方で悪路でも速いという意味ではDomaneに軍配が上がる、という構図になるのかなと想像します。

何となく、パリルーベをいかにダメージなく走ることを意識して設計されたRoubaixに対して、北のクラシックでカンチェラーラのスーパーパワーをいかにロスなく伝えるかを意識して設計されたDomane、という違いなのかなと思いました。

ちなみにその他の部分に目を向けると、

重さ Domane << Roubaix
間違いなくRoubaixの方が軽いですね。ていうかDomane重い。

コスト Domane > Roubaix
これはDomane。というよりもTREKが全体的にコスパは良いです。
後は在庫数もTREKの方が潤沢な気がします。

タイヤの太さ Domane > Roubaix
Domaneが38mmでRoubaixが33mmなので、Domaneの方が広いですね。グラベルタイヤを履いて、普通にグラベル走れます。650Bだとさらに太いタイヤが履けそう。

拡張性 Domane > Roubaix
Domaneは泥除けをつけるボルトとかもついています。またダウンチューブ内蔵のストレージボックスや、サドル後方のリアライトマウントは、車体がすっきりするのでかなり魅力的です。

最近はここに超軽量輪行袋入れて、身軽な輪行旅を楽しんでます。

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フレームバッグに、着替えとカメラだけ入れれば、ダブルボトルでも余裕です!

自分は、
●グラベルも1台でこなしたい
●重さはそこまで気にしない
●安い方が良い
という感じでDomaneを選択しました。でも今買うならRoubaixにするかも。

あまり多くないと思いますが、悩まれている方の参考になると幸いです。Domaneのことならお答えできますので、コメントお待ちしています。

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