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ニンジャスレイヤーTRPG第2版シナリオ『新歌舞伎町人狼事件』

この記事はタイトル通り、ニンジャスレイヤーTRPG第2版用のシナリオ案……というよりほぼ自分用メモです。ニンジャスレイヤーTRPGに関するコンテンツに限り、DHTLSの規約と常識の範囲内で自由に使用してください。

◆シナリオサマリー

対象:3人の名声5~10程度のストリートニンジャ
難易度:NORMAL
キャラロスト:あり
余暇:標準(4スロット)

◆備考◆
調査判定が非常に多いシナリオなのでワザマエが低いと厳しい。
もし詰まった場合は精神1を消費して証拠を入手し(苦労して疲労したと考える)先に進めても良い。

◆これまでのあらすじ◆
ネオカブキチョの夜を騒がす怪事件『連続引き裂き殺人事件』が発生した。
既に4人の男女が被害にあい死亡したが犯人は未だ捕まっておらず、ニチョーム自治会のニンジャたちも捜査に乗り出している。そんな中、あなたはIRCの傭兵向けサイトで『ダイアウルフ』と名乗るニンジャからの依頼を受ける。

曰く――「『連続引き裂き殺人事件』の調査をしてほしい」とのことだが……

◆その他◆
立ち絵はgida=サンのニンジャスレイヤーTRPG立ち絵集及び依頼によりフリー立ち絵として描いていただいたものを使用しています

◆序文:『砲声と犬』にて

ネオカブキチョの一角に、そこだけアメリカの西海岸から抜け出てきたかのような改造チョッパーバイクが店先に並ぶ、スポーツバーが存在する。

『砲声と犬』とタフで、それでいてムーディーに筆記体でショドーされた看板の掲げられたこの店は『退役軍人パブ』であり、電子戦争経験者から湾岸警備隊隊員、マッポ、そしてそういった者たちとお近づきになりたいラフな雰囲気を好む若者たちで常に騒がしい。

今日もご多分に漏れず、カウンター席を占領しトビッコ・ギムレット一杯で何時間も粘りながらウェイトレスを口説く電子戦争退役軍人や、玉突き台でこれでもかとタバコをふかしながら下品な『軍隊』ジョークまじりに歓談する湾岸警備隊兵などがいるが、あなた達の目的はそうした手合いに交じることではなく……

//////////////////////////
『ネオカブキチョにおける連続引き裂き殺人事件調査の依頼』

依頼主名:ダイアウルフ
依頼傾向:調査および護衛
報酬:万札20+危険手当込み

このところネオカブキチョ近辺で立て続けに起こっている
『連続引き裂き殺人事件』の調査を個人的にお願いしたい。
依頼の承諾がありしだい、ブリーフィングを行う。

ネオカブキチョの退役軍人パブ『砲声と犬』のB2テーブルに20:00に来てほしい
//////////////////////////

事の起こりは、あなたたちが傭兵向けチャンネル――
たとえば『ハケン・ジンセイ』や『エイトナインスリー』のようなところで、この依頼を見つけたのがきっかけだった。

――『連続引き裂き殺人事件』

この依頼文にある通り、このところネオカブキチョ近辺で立て続けに発生している怪事件であり、4件の犯行が行われ5人が死亡、1人が重傷を負っているが、この事件の異常性はその被害者たちがまるで大型獣に襲われたかのように爪で『引き裂かれている』事につきる。

目撃者の証言で『狼人間に襲われた』というものもあったことから別名『新歌舞伎町人狼事件』とも呼ばれ、このところネオサイタマのゴシップ誌の格好のネタとなっているのだが……

どうやら、今回のクライアントは『個人』のようだ。
当事者であり風評被害を被るであろうネオカブキチョの町会やニチョーム自治会などからは類似の依頼が既に出回っているかもしれない。しかし、個人がこうした依頼を出すというのは珍しい。依頼主はこの件に興味を持った雑誌のライターあたりだろうか……?

……などと考えながら、あなたたちは『砲声と犬』の窓際にあるテーブル番号B2と小さなプレートのついた席に着く。どうやら、まだ依頼人は到着していないようだが……どうやらあなた以外にも依頼を受けた者がいるのか、ぽつ、ぽつとそれらしきものがB2テーブルに集まる。

とりあえず、アイサツをしておこう。アイサツはニンジャの礼儀だ。

NMはアイサツをするようPLに促し、軽くRPさせる

◆ダンゴウ

「すまない、私としたことが少し遅れてしまった」

あなたたちがしばらく時間を潰していると、一人の女性が現れた。
湾岸警備隊のジャケットにジーンズという格好のタフな女性で、そのきびきびとした所作や装い、筋肉のつき方などから――一目でおそらく軍人であろうと容易に察しがつく。

「ドーモ、湾岸警備隊軍曹。ダイアウルフです」

◆ダイアウルフ (種別:ニンジャ)
カラテ    10  体力   12
ニューロン  6  精神力  12
ワザマエ   6  脚力   5/N
ジツ     6  万札   10

◇装備や特記事項
 カスタム・ハンドガンx2
 『●連続攻撃2』、『◉頑強なる肉体』、『◉トライアングル・リープ』、『◉◉グレーター級ソウルの力』
 『☆ヘンゲヨーカイ・ジツ』、『★肉体切断』、
 『★★グレーター・ヘンゲヨーカイ・ジツ』、『★★異常再生』

ダイアウルフ……明らかにニンジャネームだ。
となれば、おそらくあなた達がニンジャであることも知っているのだろう。
アイサツをしておこう。ニンジャとしての礼儀だ。古事記にも書いてある。

NMはアイサツをするようPLに促す。

「では、早速だがブリーフィングを開始させてもらう。依頼文でも軽く触れたが、君たちは『新歌舞伎町引き裂き殺人事件』について、どこまで知っているかな?」

軽くRPを挟む

「……なるほどな」

「正直なところ、私も君たちが知っている情報に毛が生えた程度しか知りえていないんだ。だが、私にとっては大問題でね」

そういうと、ダイアウルフは周囲の様子を見計らい、ウェイトレスなどが近くにいない事を確認してから……

「私は『オオカミ・ニンジャクラン』のソウルの憑依者なんだ」

そういって、ジャケットをまくり自分の右腕をヘンゲさせた。すぐさま右腕は固い皮膚と毛皮に覆われ、爪は鋭く硬質化する。ほんの数秒でそれは元に戻ったが、彼女のソウルの力を理解するには十分だった。

「……ニチョームはニンジャ緩衝地帯になっていることは君らも知っているだろう? ニチョームに近いここ、ネオカブキチョもその色が濃いし、何かあればニチョームのニンジャ・バウンサーたちに監視される」

ニンジャ緩衝地帯。いわゆる『不戦の掟』にしたがって、ニチョームとネオカブキチョの一部では敵対組織どうしのニンジャが出会っても穏便に事を納めなければならないとされている。

「例の『切り裂き事件』が起きて以降、ニチョームのニンジャはかなりピリピリしてる。まぁ、無理もなかろうことだが……あきらかにN案件だからな」

N案件。マッポなどの間で使われる、ニンジャの関与を意味する隠語である。

「で……それだけならまだよかったが、どうもニチョームの連中は私を下手人の可能性があると思っているらしい。たしかに狼人間がどうの……と言われれば、わたしを疑うのもわからないはないがね。一度任意の『取り調べ』を受けたよ」

「当然、私は犯人ではないし、『取り調べ』でもそう主張した。奴らも表向きは無罪ってことで私を返したが、まだ怪しんではいるようでね……カウンターの一番奥、見てみな」

カウンターの一番奥の席には、さえない中年の男が一人、炙ったイカを肴にサケを煽っている。しかし注意深く見れば、男の右手小指はケジメされてサイバネ置換されており、腰にはこれ見よがしにチャカガン――それもコケシマートやその辺の露店で買えるものではなく高級なオノミチ・カスタムだ。

「ありゃ、ニチョーム自治会のバウンサーだよ。自治会はニンジャだけでなく、元ヤクザのバウンサーなんかを多く抱えてる。監視が下手なのは助かるが……こうもされちゃ、こっちも堪らないんでね」

「生憎、この店は馴染みだし他にいくつもりもない。なら、ひとつこの手で潔白を証明してやろうかと思ってね。だから、その調査を手伝ってもらうために君たちを雇う事にした、という訳だ」

「……改めて依頼をしよう。作戦目標は『切り裂き殺人犯』の捕縛だ。
 殺してしまっては申し開きができないからな。で、報酬は一人当たり万札20枚。恐らく、N案件だから危険手当も払える限りは払う」

「どうだ? 受けてくれるか?」

NMはPLのRPを受け、もし質問(ダイアウルフが持っている捜査資料については後述)報酬額のつり上げなどがあれば対応する

「いい返事だ。では、早速捜査に入りたいところだが……
 無策、というわけにもいかないだろう。ゴシップ誌の切り抜き程度だが、
比較的信ぴょう性の高そうな記事をスクラップしてきた。参考にしてくれ」

◆捜査資料

・第1の事件について

20XX年X月10日の午前5時ごろ、ごみ収集清掃員によってネオカブキチョ・風俗通りにある洋食店『ロドリゲス』裏で第一の犠牲者が発見される。遺体は狼や虎、もしくは熊のような大型獣に引き裂かれたかのように激しく損壊していたが、犠牲者の遺留品などが多く残っておりすぐさまダイダイ商事のサラリマンであるオオカタ・メデジ(36)である事が判明した。現場には監視カメラなどはなく、付近のカメラにも怪しい人影などは写っていなかったが、被害者は『モチヤッコの缶バッジ』を握った状態で死んでいた。

・第2の事件について

20XX年X月13日の午後10ごろ、ネオカブキチョ第3商業ビル裏の喫煙スペースで無職のイダ・コウザブロウ(22)が同じく、大型獣に襲撃され引き裂かれたかのような遺体で発見される。犯行は午後10時ちょうどに行われたと思われ、その時間帯に多数の通行人が路地裏から悲鳴が聞こえたと証言しているが、犯人の目撃証言はない。

・第3の事件について

20XX年X月17日の午後8時ごろ、ネオカブキチョ北部のゴミ捨て場で激しく損壊した遺体がホームレスによって発見される。遺留品や歯形などからこれはニチョームのゲイマイコであったパナカ・リチギ(25)と同じくニチョーム在住の風俗ライターであったリキ・モシオ(44)と判明。やはり引き裂かれて殺害されておりこの時点でタブロイド紙が「連続引き裂き殺人事件」とセンセーショナルに報じ始める。

・第4の事件について
20XX年X月20日、午前0時ごろ。ネオカブキチョの養蜂オイランバー『ミツバチの巣』横の路地で大学生カップルが襲撃される事件が発生。カンダ・サカアキ(20)が死亡。カナモト・コミチ(20)が重傷を負ったものの一命をとりとめた。カナモトはネオサイタマ中央病院に搬送されたが、搬送中に事あるごとに『狼人間を見た』『狼人間にやられた』と繰り返していたという。

・その他メモ

事件はネオカブキチョ近辺に集中しており、他の場所では今の所発生していない。犯行時刻は主に夜で、どの死体も死亡推定時刻は発見から1時間経っていない。ニチョームの自警団がネオカブキチョの町会と協力し、捜査に当たっているようだが……

◆捜査フェイズ

「では、おおよそ資料も読み終えたことだろうしどこから始める?

NMはここから、PLにある程度裁量を任せ捜査をさせる。
以下にいくらか、PLの取りうる捜査手法とそれに伴って出せそうな情報を
列記するが、他の方法を取るならNMがアドリブで処理する事
(PLが逆に捜査方法に迷うようならこれらを提示する)

PCたちがホームレスの男が怪しいと勘づく、あるいはホームレス村の調査に赴くと方針決定した場合、◆襲撃にすすむ

・事件現場の捜査および聞き込み

とりあえずあなた達は、一番近い第1の事件の現場に訪れた。ロドリゲスと言う洋食屋の裏……だが、路地と言うよりはほとんど雑居ビルなどの隙間のわずかな空きスペースと言った風で、洋食屋から出るごみがいくらかゴミ箱にある

「……ここが第一の事件が起きた場所だ。もうだいたいの証拠はマッポやデッカーが持っていったと思うが、何かしら聞き込み程度ならできないものかな」

基本的に事件現場はすでにマッポやニチョームのバウンサーたちによってあらかた調べつくされており、時間がたっていることもあって特段の証拠などは残っていない。現場にニンジャソウルの残留があるか調べたいという場合はニューロン+ジツUHで判定させる。

その場合、成功・失敗問わず恐らく操作に訪れたニチョームのニンジャと思われる複数のニンジャがここを訪れており、その痕跡も微かで追跡などは困難である旨を伝える

聞き込みを行った場合は以下の情報を得る。難易度NORMAL程度で交渉判定をさせても良い。この場合ストリートの流儀や何らかの交渉スキルを持っていればダイスをボーナスするといいだろう

あなた達は聞き込みを行い、ちょうどこの洋食屋の主人から話を聞くことができた。

「ウチの裏で殺人とかさァ、勘弁してほしいんだよね。猟奇殺人でしょ? 客足も遠のいちゃって困ってんのよ。人の出入り? いやあ? たまに暴れる酔っ払いをボコって転がしとくことぐらいはあるけどさあ、基本的に裏のとこなんて誰も入ってこないよ。俺もゴミ捨てるときぐらいだし」

「入ってくるのはゴミの回収に来る業者と……ホームレスかなァ。ほら、残飯とか漁りにくんのよ」

その他、雑居ビルの住人達も無関心で知らないか、同じように業者やホームレス、などがやってくるという話だった。

「ステーキの匂いがする……」

ダイアウルフは洋食屋の匂いに興味津々。

・生存者にインタビューする

PC達がネオサイタマ中央病院に入院中の生存者、カナモト・コミチにインタビューしたいといった場合以下の序文を読み上げた後、後述の情報を与える

ネオサイタマ中央病院は、カスミガセキ・ジグラットにもほど近い治安のよいカチグミ・エリアに存在するネオサイタマ医療の中心地だ。そこに収容されているという事はカナモト・コミチはそれなりに良い所の子女なのだろう。とはいえ、別段VIPルームなどに収容されているわけでもない。あなた達はコミチの入院している部屋をナースに聞き、訪れた……

「あ……えっと、あなた達は……?」

「……事件のことを調べている者だ。ちょっと聞きたいことがあってね。話せるか?」

包帯が痛々しいコミチは、あなた達を見て物憂げに問うた。
ダイアウルフは気遣うような口調で、コミチに話しかける。

「……マッポや、デッカーさんたちに既にお話はしましたけど……
 一体、わたしから何を聞きたいのですか?」

コミチは少しうんざりしたように、だが、答えてはくれるようだ。

◆コミチの知っている情報

・午前0時ごろ、ネオカブキチョのクラブからの帰りで遅くなったので近道を使用と路地に入ったところを襲われた。彼氏であったカンダが、路地の暗闇から飛び掛かってきた何者かなにものかに組み伏せられ首筋に噛みつかれていたのを覚えている

・恐怖のあまり、その場に尻もちをついた自分に、さらにその何者かは飛び掛かってきた。カタナやナイフといったものは持っておらず、素手だったと思うが腹を切り裂かれた。

・そういえば、服装はホームレスのように見えた。

・ネオカブキチョの監視カメラ映像をハッキングし、確認する

あなた達は、ネオカブキチョの監視カメラ映像を確認してみることにした。
幸い、ハッキングでアクセスできる程度のセキュリティ下にデータは置かれているようだが……

ハッキング判定HARDを行う。成功した場合、PCは以下の情報を得る

あなたたちは犯行が行われた日付前後の録画データを手分けして確認した。と言っても犯人に直接つながるような映像があるなら、とっくにマッポやデッカーが犯人をあげているだろう……望みは薄いかもしれない……

そう思いきや、あなた達は怪しい人物が『すべての映像』に移りこんでいるのに気づいた。同じ服装をした……おそらくホームレスめいた男で、どの映像でも具合が悪そうにふらふらと千鳥足めいて歩いているため多少目立っているが、ホームレスなどはネオカブキチョには多いため、ある意味ではそういう連中を見慣れているニチョームの者たちは不審に思わなかったのかもしれない。

「この男、怪しいな……すべての犯行現場の近くに、犯行時刻近くにいるとは……」

ダイアウルフも、顎に手を当ててそうつぶやく。

・ニチョームで聞き込みをする

ニチョームは奥ゆかしい歓楽街で、本来はネオカブキチョの一部だが、ここは『ニンジャ評議会』というストリートニンジャの自警団が納めている。とはいえヤクザのようにケツモチやアガリを求めたりせず、奥ゆかしくニンジャとモータルが共存しているため『不戦のおきて』というルールが各組織公認の元、施行されている

ちなみにダイアウルフは疑われている自分が入るのはあまりよくないだろう、と近くの店で待機している。監視はされているだろうが多少はマシだろう

「ドーモ、ヤモト・コキです」

ニチョームに入るなり一人の女子高生?が声をかけてきた。ニンジャの気配を感じる

「話は聞いています。ダイアウルフ=サンが自身の潔白を証明するために独自に事件を捜査しているとか」

「……ニチョームとしては、ダイアウルフ=サンは黒ではなく灰で……あくまで、ニチョームはかろうじて均衡の上で成り立っている街だから……どうしても、センセーショナルに報道されている以上は厳しく対応せざるを得ない……です」

どこか、もともと覚えていた文章を読み上げているような感じがする。ここには何人かニンジャがいて、きっとより上役……顔役として各方面に折衝をしているというネザークイーンなるニンジャなどからそう言うよう指示されたのかもしれない

ネザークイーンは不在であり、ヤモトが対応しているがヤモト自身はダイアウルフに対して良くも悪くも思っておらず、判断も任されているため交渉の余地がある。PCたちが情報を聞き出そうとしたばあい交渉判定NORMALを行う。成功した場合以下の情報を読み上げる

「ううん……」

ヤモトは少し悩みながらも、奥に引っ込み、一枚の写真を持ってきた。

「これ、最初の事件で亡くなった方が握ってたモチヤッコの缶バッジの写真です。結構貴重な物らしくて、もしかしたらこういうのでなにかわかるかなって思ったんですけど、今のところ聞き込みではなにも……」

モチヤッコは人気キャラクターであり、もちもちしたヤッコみたいなやつだが色んな限定パターンがありコレクターもいる

週刊誌にも白黒で写真が載っていたが、これは高精細でおそらくマッポなどの現場検証写真などを横流ししてもらったものか何かだろう。これほどはっきりしていれば、何かの役にはたつかもしれない

モチヤッコ缶バッジの写真を手に入れた

-追加要素:ヤモトに協力を仰ぐ

ヤモトは事件を一刻も早く解決したいと思っており、あなた達が捜査に協力してほしいと申し出ると快諾してくれる。この場合、ヤモトも捜査メンバーに加わる。データは公式NPC集を参考のこと。当然、ダイアウルフとヤモト2人のNPCを動かすのが負担になる場合は、今は自分が留守番をしているのでニチョームを離れるわけにはいかないなどと言って断ってもいい。

◆襲撃

「とはいえ……今日はもう遅いな。調査はいったん切り上げて、
 明日改めてホームレス村を訪れてみることにするか……」

捜査で時間がたっているが、とっくに時間は夜の9時を回っている。
今からホームレス村を訪れても、向こうも煙たがるかもしれない……

「では、今日はこの辺で解散とする。また明日正午に『犬と砲声』で……」

ダイアウルフが、そう切り出した時だった。

あなた達は全員ニューロンNORMAL判定を行う。
この判定に失敗した場合、正体不明の存在からアンブッシュを受け1点のダメージを受ける

「なッ……!?」

ダイアウルフとあなた達は、突如アンブッシュを仕掛けてきた存在に向けてカラテを構える!

「GRRRRRRRR!!!」

獣めいた唸り声をあげるそれは……ホームレスめいたボロボロの衣服を着た男だった。目はらんらんと輝き、ぼたぼたとよだれを垂らす姿は明らかに尋常の精神状態ではない!

「来るぞ!!!」

「ウガアアアアアァァァッ!!!!」

つぎの瞬間、男はすさまじい速さであなた達に躍りかかってきた!

ホームレスの男との戦闘を行う。MAPを用意してもいいが、簡単な戦闘であるため、MAPなしの簡易戦闘やカラテなどで攻撃判定を行って軽くロールプレイですませても問題ないだろう。ホームレスの男のステータスは以下の通り

戦闘中可能であれば、ダメージを受けた際に傷が再生する描写を入れること

◆ホームレスの男 (種別:モータル/ボス級の敵)
カラテ    5  体力   8
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   2  脚力   3/N
ジツ     0  万札   1

◇装備や特記事項
◉痛覚遮断

「グワーッ!!!」

あなた達はホームレスの男に痛烈な一撃を加える。
しかし、その傷はシュウシュウという音と共にすぐに再生し、ふさがってしまう!

「GRRRRRRRR!!!!」

ホームレスの男は一瞬のスキを突き、すさまじい速さで路地裏へと走り込んで、どこかに消えてしまった。

「……なるほど、人狼か……あの様子では確かに、な。
 しかしあれは……ニンジャなのか?」

……あの男からはニンジャソウルは感じなかった。
それなのに、ニンジャに匹敵する身体能力を持ち……特に異常なタフネスを誇っていた。

「ネオカブキチョ近辺のホームレスのたまり場というと『北公園』にホームレス村がある。私も一度湾岸警備隊で炊き出しをやったことがあるから行ったことがあるよ」

「……そこを調べてみる必要があるかもしれないな」

こうして、あなた達はいったん日を改め……

◆ホームレス村

あなた達は、ネオカブキチョ北公園を訪れた。それなりに大きな公園で、
スケートを楽しむヤンクや、仕事帰りにベンチでコンビニのベントーを食べるサラリマンの姿などがぽつ、ぽつと見える。

第3の事件の被害者の発見現場でもあり、公衆トイレ近くには無数のホームレスのテントやPVCビニールシートやトタンで作られた即席の小屋が立ち並んでいる。

PCが聞き込みを行った場合、以下の情報が得られる
ある程度情報を与えたのち、次のシークエンスに進む

「連続引き裂き事件? 知ってるよ。あんたら探偵さん? あのさ……もしかしたら俺たちの仲間のサダが犯人かもしれない

「サダのやつ、ここんところ夕方に出かけては深夜に戻ってくるのを繰り返してるんだ……いや? 別にそれだけならおかしい所はないよ?」

「だが、このところのサダ=サンは誰とも話さず、昼間はずっと寝て
 たまに獣のような唸り声をあげるんだ」

「それだけならまだなんかのビョーキか? とも思うんだが、寝てるサダさんに差し入れに行ったらよ……手が真っ赤に血見たいので汚れててさ……俺は怖くて何も言えなかったんだ……」

「サダ=サンのねぐらはあの公衆トイレの近くの掘立小屋だよ」

-ニチョームでモチヤッコの写真を手に入れていた場合、以下の情報を入手できる。

「この缶バッジ……サダ=サンのだな。あの人、これはレアモンだからこれだけは売らずにのこしてあるって酔うと毎回自慢してたからな……」

「アホほど見せられたから見間違いようがない」

◆サダの小屋

あなた達は、サダの小屋を訪れた。
トタンとPVCビニールシートで作られた粗末な3~4畳程度の小屋で
外からは中の様子はうかがい知れないが、異臭がする……

NMはPCの突入を促す。中の気配察知などは判定させても良いが、
特に人がいる気配はない事を話せばよいだろう。

あなたたちは扉を開け、内部に突入した……が、

そこにあったのは1人のホームレスの死体だった。
襲い掛かってきた男に間違いない。

「アイエッ!?サダ=サン!?」「サダ=サン死んでるナンデ!?」「アイエエエ!死体!」

匂いに集まってきたホームレスたちの反応から見ると、その死体はサダであるようだ……

「……容疑者らしきは見つかったが、その容疑者は死亡か。
 キナくさくなってきやがったな……」

ダイアウルフは顔を歪めながら、サダの小屋に入っていく。

「サダ=サンには悪いが、ヤサガシさせてもらおう
 なにか、見つかるかもしれない」

あなた達は騒ぎを聞きつけたネオカブキチョやニチョームのバウンサー、あるいはマッポが来る前に、少しだけ内部を調べてみることにした。

ワザマエHard判定を行う。成功・失敗時に以下の情報を得られる。

・成功・失敗問わず得られる情報

サダは死後数時間というところで、あなた達にあれほど攻撃されたのに外傷などが見つからない。手には汚れが付いており、それは血液や血肉、油脂を乱雑に水で洗い落そうとして落ちなかったなごりであるだろう。服の袖などにも返り血めいたあとがついている。やややせており、病気か何かにも見える

サダの小屋は雑多なゴミや酒瓶が多く転がっているが、
ホームレス生活には似つかない『サプリメント』の瓶が多く見つかる。
サプリメントには『シャッキリ・バイオケミカル』というロゴ。

サプリメントの瓶に対して、ニューロン+ジツHARDで判定をしても良い。
その場合、サプリメントに何らかの『ジツ』痕跡があることがわかる

成功時にはさらに以下の追加情報を開示する

あなた達がサダの住居を探っていると、枕の下から黄ばんだ小汚いノートに書かれた日記を見つけた。そこには、サダのものと思われる最近の動向が書かれている……

◆日付無し

無料健康診断で最近体がだるいといったら、医者がビタミン剤のサプリメントを処方してくれた。仲間は皆、腹を下すと言って飲みたがらないが俺は体質があっているようでなんともない。しばらく飲んでみようと思う。

◆日付無し

サプリメントを貰ってから胃腸の調子が遥かに良い。仲間が余らせているのも譲ってもらう事にする。

◆日付無し

なんだか最近、眠気が酷い。
サプリメントのおかげで調子がよかったのに、次から次へと
体にガタが来る。もっと飲むべきか。

◆日付無し

最近、あまり起きていられない。
やたら眠い。あと、眠っているうちに体を掻いてでもいるのか、
擦り傷や切り傷ができているときがある。

◆日付無し

とてつもなく眠い……一度病院にかかったほうがいいかもしれない……

◆ホームレス村の捜査

「……とりあえず、もう少しホームレス村を調べた方がいいかもしれない。サダの事をもっと何か知ってる者がいるかもしれないからな」

NMはワザマエ判定NORMALを行い、成功した場合以下の情報を開示する。

「ホームレス村のホームレスの間で昼間の眠気が酷いものが増えている」

「この近くでやってる、ホームレス向けの無料健康診断を受けたらそうなるんだ。俺は詳しいんだ」

「サダ=サンが飲んでたサプリメントなら、例の無料健康診断を受けると栄養剤だと言ってくれるやつだ。だけど、あまり評判がよくない。飲むと体質に合わない奴は腹を下しちまうんでな」

◆無料健康診断キャンプ

「……どうも怪しいな、その無料健康診断キャンプ。
 『シャッキリ・バイオケミカル』とやらも聞いたことのない企業だ」

ダイアウルフは腕を組み、考え込む。

「とりあえず、調べてみよう。つつけば何か出てくるかもしれない」

こうして、あなた達は無料健康診断が行われているというキャンプに向かった。

無料健康診断キャンプはネオカブキチョの雑居ビルにあり、小規模ながら炊き出しなども行われていることからホームレスが多く集まり、彼らの生命線となっている。

ところどころに『シャッキリ・バイオケミカル社』の社名やロゴが入ったコンテナが並んでいることから、その会社が運営しているようではある。

「では、さっそく当たってみるか……」

ダイアウルフは正面から無料健康診断キャンプに入っていこうとしたが……

「あーっ、困ります!困ります!」

入り口でキャンプで働く看護師に止められてしまった。

「あのですね、ここはホームレス向けの医療施設なので……
 一般の方のご利用はお断りしています」

「ああ、いや……その……」

結局、あなた達は入り口で門前払いされてしまった。

「うーむ、せめて医療記録か、内部の書類か何かを
 見ることができればいいんだがな……とはいえ、正面からいったところで それらを見るのは土台無理な話か……」

ここにはいるには、密かに潜入するか、あるいは何か別の手段を取るしかなさそうだ。

◆潜入

NMはここから、PLにある程度裁量を任せ捜査をさせる。以下にいくらか、PLの取りうる捜査手法を列記するが、他の方法を取るならNMがアドリブで処理する事。

(PLが逆に捜査方法に迷うようならこれらを提示する)

・密かに忍び込む

全員ワザマエHARDで判定(シノビ・ニンジャクランのニンジャはEASY)
全員が成功した場合のみ、次のシークエンスに進む。

あなた達はニンジャらしく、密かに内部に潜入することにした。
各々、スタッフの入れ替わりに乗じて内部に潜入したり、隣の雑居ビルから
雨どい伝いに潜入、あるいは監視の薄い非常階段から入り込むことに成功する……

・ホームレスに変装する

全員ワザマエNORMAL判定。全員が成功した場合のみ、次のシークエンスに進む。

ホームレスしか入れないのなら、変装をすればいい。あなた達はホームレスに変装し、内部に侵入した。

◆医師のオフィス

そのまま、あなた達が入り込んだのはどうやら医師のオフィスであったようだ。今は人はいないが、カルテや様々な書類がそこかしこに置かれておりテーブル上にはUNIXもある。

「調べるべきはUNIXだろうな……なにか、おかしなデータなど入ってないか?」

どうやら、UNIXにはパスワードなどは掛けられていないようだ。ここまで部外者が入ってくることを想定しておらず、油断しているのだろうか……

・UNIXを調べて出てくる情報

どうやら『栄養剤』を渡したホームレスに識別タグを振っておりどの程度医院を訪れるかなどのデータだけを残している。だが、医療行為などのデータは残っていない……というより、行っていないのだろうか……

大量の『乳糖』錠剤の発注記録がある

『増産計画』という謎のファイル……これは暗号化されており、回答できない。PCが望むならハッキング判定UH-2で解答を試みられる。成功した場合、以下の情報を開示。

-増産計画の内容

適当な架空企業をでっちあげてホームレスを無料の健康診断であつめ、マインドハッカーのジツである『エナジー・ジョルリ・ジツ』によって操る。これは触媒が必要だが対象の再生力を高め、奴隷化するジツでありある程度集めた奴隷を戦闘力を活かしサイバーツジギリ請負やひいてはヨロシサン製薬に被検体として売り込むことができれば高い利益を得ることができるだろう。

「乳糖……ただの甘味料じゃないか、たしか。
 ほら、ラクトースとかいうやつだよ。なんで医院がそんなものを?」

ダイアウルフは、乳糖の発注記録を見ていぶかしげにつぶやく。

「……乳糖は、所詮甘味料だからな。あまり体に影響がないから、
 偽薬……つまりは実験用の偽の薬として使用されることがあると聞いたことがある。まさか……」

ダイアウルフは、そういうとオフィスの端に山積みにされていた段ボールをいくらか乱暴に開け、中に入っていた『サプリメント』を取り出す

サプリメントの瓶に対して、ニューロン+ジツHARDで判定をしても良い。
その場合、サプリメントに何らかの『ジツ』痕跡があることがわかる

◆戦闘

「おっと、困るなァそれを調べられては……」

と、調査に夢中になっていたあなた達にかけられる声。
みれば、オフィスの入り口を見慣れぬニンジャたちが塞いでいた。

「ドーモ、デスチェイサーです」

◆デスチェイサー (種別:ニンジャ)
カラテ    10  体力   14
ニューロン  6  精神力  7
ワザマエ   10  脚力   7/E
ジツ     1  万札   10

◇装備や特記事項
●連続攻撃2 ●連射2 ◉謎めいたニンジャソウル
◉常人の3倍の脚力 ◉トライアングルリープ ◉ニンジャソウルの闇×3
◉ダークカラテエンハンスメント

「ドーモ、マインドハッカーです」

◆マインドハッカー (種別:ニンジャ)
カラテ    6  体力   8
ニューロン  12  精神力  18
ワザマエ   4  脚力   5/N
ジツ     6  万札   5

◇装備や特記事項
ヒキャクLV2 生体LAN端子LV1
●マルチターゲット ●時間差 ◉頑強な肉体 ◉◉グレーター級ソウルの力
☆カナシバリ・ジツLV3 ★コブラ・ゲン・ジツ ★マインド・ブラスト・ジツ
★★グレーター・マインド・ブラスト・ジツ

デスチェイサー、そしてマインドハッカーなるニンジャは剣呑アトモスフィアを隠すことなく、あなた達を睨みつけている。

「どこのネズミが入り込んだか知らんが……ニンジャか。
 大方、ニチョームあたりに雇われた弱敵であろう?」

「ケケケ、デスチェイサー=サン、こいつらニンジャというなら
 被検体にもってこいじゃないですか? ニンジャは頑丈だから」

どうやら、口ぶりから今回の件の裏で暗躍していたのは、やつらのようだ……!

「……わかりやすくなってきた。こういう展開は嫌いじゃない」

ダイアウルフは犬歯を見せながらぽきぽきと拳を鳴らす。

「対ニンジャ戦闘!私が前衛を務める!
 貴様らは私を援護しろ!」

言うが早いが、ダイアウルフは敵ニンジャたちに躍りかかった!

戦闘。バランスによっては、ホームレスの男と同ステの被検体を何体かおいてもいいし。デスチェイサーはマインドハッカーを撃破するまで、再生を得てもいい(エナジー・ジョルリ・ジツの応用)

MAPについてはここでは割愛するので(室内なのでMAPなし簡易戦闘でも最悪いいと思う)好みで作ってほしい。マルナゲ!

◆事件の終わり

こうして、あなた達はニンジャたちを撃破した。

UNIXには『計画』……無料の健康診断をエサに集めたホームレスたちを再生能力を異常活性させたうえで操るマインドハッカーの『エナジー・ジョルリ・ジツ』で操り、それをサイバーツジギリ組織やひいてはヨロシサンなどに被検体として売り込むという恐るべき陰謀が記されており……

これを証拠として提出することで、ダイアウルフにかけられていた嫌疑は完全に晴れたようだ。

「今回ばかりは助けられたな。正直、フリーランスの連中というのはあまり信用していなかったところもあったが考えを改めさせられたよ」

クライアントの依頼は完全に達成。
ダイアウルフは満足げだ。

「もし何かあれば……いや、今回のようなごたごたはもうごめんだが、
 困りごとがあれば言え。私に力になれることがあれば恩返しぐらいはする」

「では……今回の報酬についてだが……」

◆リザルト

事件を解決したPCは万札25+名声1+余暇4日を得る。

ダイアウルフとのコネクションを得たとみなし、これ以降ダイアウルフとユウジョウを行っても良い。ダイアウルフのユウジョウ表はユーザー作成データであるが以下を参照のこと

追記:公式のダイアウルフ=サンのユウジョウができた!ヤッター!


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