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“告知” から一年を迎えて

「年」はともかく、忘れずにいる「日付」がある。
家族や友人、大事な人たちの誕生日。
父の命日。
初めて飼った犬の命日。
結婚はしていないから、結婚記念日はない。
初めて走ったフルマラソンの日も覚えてはいないけれど、この一年で、ここに加わった日が二日ある。
乳がんだと告知された「日」と、右胸を取った手術の「日」だ。

去年の5月17日、乳がんだと告知された。
明日でちょうど一年になる。
治療を始めるときは、これから受けることになる治療を聞いて、「ああなんて長いのか」と思ったし、抗がん剤治療を受けている間は、「まだやっと半分か」と思ったりしたけれど、今、一年を過ぎてみると早かったという気もする。
やはり過ぎた日々は早い。

告知されたときは、やっぱりそうか、予想どおりだったなと思ったことを覚えている。
検査を受けるまでは、まさか自分ががんになることなんてないと信じきっていたし、寧ろ、がんにはならないという根拠のない自信すらあって、がん保険も「ならないから入らない」と言い放っていたくらいだったのに、なるときはなっちゃうもんなんだなあとも思った。
そして、“がん治療中の人” として初めて過ごしたこの一年は、治療はあったにせよ、また、意識してそうしてきたにせよ、今までになくのんびり過ごした一年だったように思う。(サボり過ぎなくらいだったかも)

そんな一年を過ぎて、今は、ちょうど治療のはざまのような時期にある。
術前の抗がん剤治療を終え、手術も終えて、最後の抗がん剤の前に残っている投薬をしている。今の薬は抗がん剤ではないので、身体のしんどさもほぼない。手術の跡も気にならなくなってきている。
治療はまだあと半年くらい続く予定だけれど、治療を始めてから、初めて治療のことを意識せずに過ごせている期間だと思う。

本当はこの穏やかな時期に、去年できなかったことも含め、もっといろいろしたい・しないといけないのだろうと思うけれど、実はここ一月くらい、あまりぴりっと過ごせていない。
大きな治療がひと段落して、なんだか逆に緊張が緩んでしまったかのよう。本当はもっと毎日を・時間を大事にしないといけないのかもしれないのに、とも思う。
次の5月17日。
次の一年はもう少し、ぴりっと、しゃきっと、でも穏やかに迎えられたら嬉しい。

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