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アニメ背景を目指したい人必読!   超実践的アニメ背景用語・知識完全ガイドブック

こんにちは!
背景イラストレーターのぺいです!
まずはこの教材を手に取っていただきましてありがとうございます!

自分は現在、アニメ背景のプロとして仕事をしています。
かれこれもうキャリア7年目に突入中で
背景美術におけるトップポジションの
「美術監督」
という仕事もアニメ3作品ほど経験させていただいています。

この教材ではこれらの経験を生かして

「将来背景美術の世界に携わりたい!」
「アニメ関係の仕事をしたい!」

または
「単純にアニメが好きだからアニメ業界について詳しく知りたい!」

と思っている人たちにむけて
アニメ背景の専門用語・専門知識・よく使う言い回しについて
超実践的に解説をして、用語によっては実例も交えて
解説していきたいと思います。

この記事の内容を網羅できていれば、アニメ背景の仕事をするうえで困ることはほぼなくなります!

セル、BOOK、流動背景・・・etc
アニメ背景にはいろいろな専門知識があります
でもこの知識、知ろうと思ってもなかなか学ぶことができないんですよね
自分が学生の時なんて今以上に情報がなかったのでとても困りましたし
不安にもなりました・・

そこで、背景側の目線から、本当に必要な情報をまとめた教材を作ってみようと思い立ちました!
かなり効率的に業界についての理解を深めることが出来る
最強の教材になっていると思います!
アニメ業界を目指したいけど・・

「あまり詳しい情報が知れなくて困っている…」
「業界に入ってからいきなり分からないことだらけになりそうで不安だ…」

と言った悩みをズバリ解決できる内容になっていると思いますので
是非最後までご覧ください。

※内容については、必要に応じて随時修正・追記していきます。


アニメ背景の仕事で使うデータ・書類の用語

背景(BG)

実際に使用される映像用に描かれた背景画のこと。
BG(バックグラウンド)ということも多いです。

美術設定

背景のデザインを線画で表現したアニメ背景の設計図のようなもの。
美術設定マンとよばれる役職の人が監督と打ち合わせをして作業します。

美術ボード

美術設定に色を塗ったもので、シーンの見本になる背景のこと。
全体の構造が分かるように、引きの絵であることが多いです。
美術監督が、アニメ監督と打ち合わせをして作品の方向性をさだめるために美術ボードを描きます。

本番ボード

美術設定がない場所の背景の見本が必要な場合、実際の映像で使われる本番のBGを「本番ボード」として色見本とし、美術ボードの代わりにします。

写真参考(写参)

背景作業の参考に使われる写真。
ネット検索した画像などで大体のイメージとして伝えられることもあれば、実際にロケハンにいって撮影した写真をもとに作業することもあります。

チェック表

カット番号順にチェックボックスがあり、作業に必要な背景原図(後述)の入り状況・作業状況を把握するためのチェック表。
アニメ背景は大量のカット数を扱うため、このチェック表をキチンと管理しておかないと大変なことになります(笑)
主にデータを扱うのは美術監督クラス以上ですが、新人のうちから見方だけでも理解しておくと良いでしょう。


香盤表

カット毎に画面上にいるキャラクター・キャラクターの設定・小物・背景の場所と時間帯などがまとめられた表。
背景作業も香盤表を元に、場所や時間帯・色味などを確認して作業します。

絵コンテ

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キャラクターの動きやセリフ、シーンの状況など、内容についてカットごとに詳細に描かれている作品の設計図的なものです。
内容の注釈・画面の簡易的な絵・セリフ・カットコマ数が主に指示されている。
打ち合わせもこの絵コンテをもとに進められ、作業中も絵コンテを元に作業を進めていくことになります。

読むのに慣れるまで少し大変ですが、新人でも自分の任されたシーンの絵コンテは自分で読んで内容を確認できるようになる必要があります。
たまに無料公開されている絵コンテなどもあるので、機会があったらなんとなくでも感じをつかんでおくと良いでしょう。


アニメ背景の役職とそれに関わる外部の人たち

アニメ背景業界の役職・役割分担についてや、仕事をしていく中で関わってくる背景以外のアニメ関係者について大まかに理解しておきましょう。

~背景セクションに関する役職~

美術監督

美術監督は、作品ごとに通常1人(大規模な劇場作品では複数の時もある)いて、作品の背景美術の方向性を決定し、コントロールする背景セクションのトップポジションです。

アニメ監督などと打ち合わせをしながら、作品の美術の方向性を決めたり、シーンの見本となる「美術ボード」を描き、その美術ボードをもとに背景美術スタッフが作業した実際の背景作業の修正や調整をして、背景全体のクオリティをコントロールするのが主な仕事です。
その他、実際の背景の打ち合わせに参加したり、アニメ制作会社とのやり取り、スケジュール管理、外注を含めた背景スタッフへの仕事の発注も仕事の一部です。

美術設定(美術設定マン)

美術設定の役割は、舞台となる場所のデザイン画を線で描いた「美術設定」を描き起こす仕事です。データも人もどちらも美術設定といいます。
アニメ監督と美術設定打ち合わせを行い、要望に沿った美術設定を描いて、世界観の方向性を作ります。
この美術設定に色を塗ったものが美術監督の描く美術ボードになります。
美術設定は背景のセクションで最も先行して動いていく仕事になります。

ちなみに最近は「美術監督」と「美術設定」のセクションが分かれていることが多いですが、美術監督が美術設定も兼任することもあります。(特に一昔前は多かったみたいです。)

背景美術スタッフ(通称:背景マン)

皆さんが一般的に想像する、ザ・背景マンというポジション。
単に「背景美術」や「美術」と呼ばれることもあります。
美術監督が作業した美術ボードを元に、実際にアニメ作中で使用される背景画を量産していくのが仕事です。
美術監督の絵のテイストに合わせながら、一週間に20枚~と多くの背景画を量産することが求められます。

背景業界に美術スタッフとして入ったら、まずはこのポジションで経験を積み、美術監督を目指していくことになります。


背景3DCGスタッフ

3DCGスタッフは、その名の通り背景セクションの3DCG関係の作業の担当です。
アニメ監督や演出などの打ち合わせをして、美術設定・美術ボードを元に3Dモデルを作成します。
近年、背景美術における3Dの需要は年々高まってきています。


背景美術の外注スタッフ(外注・海外外注)

アニメ背景会社の中だけでは物量的にさばききれない仕事を発注する外部スタッフのことです。
フリーで活動されている方もいれば、会社単位で外注仕事を請け負っているところもあります。
近年では中国やベトナムなど海外の外注スタッフも増えてきています。


背景の仕事をするうえで関わる背景以外の関係者

アニメ監督

アニメ監督は、作品内容を統括し、作品の方向性の最終的な判断をするポジションの人。
背景側のかかわりとしては、美術ボードや美術設定に関する打ち合わせを行い、美術の具体的な方向性を話し合います。
また、話数毎の打ち合わせでも細かい指示を受けます。


演出

TVアニメの場合は、描く話数毎に「話数演出」の方がいて、主に背景に関する打ち合わせでは演出の方から実際の背景の内容について細かい要望が出されます。


制作プロデューサー

アニメ制作会社側で、制作の全体的な取りまとめをしている人。
背景側のかかわりとしては、話数毎の制作スタッフでは対応できない作品全体に関する問題やスケジュールについての連絡のやり取りなどを行うことが多い。


制作デスク

アニメ制作会社の制作進行スタッフのとりまとめ的な存在。
話数毎の制作スタッフでは対応できない作品全体に関する問題についての連絡のやり取りなどを行うことが多い。


制作進行

TVアニメの場合、各話数毎に制作スタッフの方がいます。
それが制作進行さんです。
担当話数の原図管理、スケジューリング、スタッフの手配など制作にかかわるほとんどのセクションのつなぎ役になり、制作を円滑に進めるための役職。かなり多忙。
背景側としては、背景原図のやりとりや必要資料の請求、話数毎の細かいスケジュール関係のやり取りなど色々な連絡を取り合います。


設定制作

キャラクター設定、美術設定、美術ボード、そのほかの小物等の管理を行うセクション。
背景側としては、美術監督や美術設定の人が美術設定画や美術ボードに関する連絡のやり取りをします。

色彩設計

色彩設計作品のセル(キャラクターや小物)の色味を決めるポジション。背景側としては、打ち合わせ時に背景とセルの色味の兼ね合いなどを話し合って調整します。


撮影

最終的にセルや背景などアニメーションに必要な素材を合わせて映像を作るポジション。
背景側としては、打ち合わせ時に背景素材のレイヤー分けの仕方(BOOK分け)や、特殊効果の際の素材の必要性の有無など、絵作りのために必要な内容を話し合って調整します。


作画監督(作監)

キャラクターなどの作画セクションの全体的な統括をするポジション。
背景側と直接連絡のやり取りを行うことはほとんどありませんが、
背景原図には、作監からの修正原図が入っていることもあります。


アニメーター(原画・動画)

キャラクターなのセルの作画をするポジション。
カットの基準となる絵を描く原画マンと、原画と原画の中割りを描く動画マンがいます。
背景側として直接の連絡のやり取りなどはないが、知識として覚えておくといいでしょう。


仕上げ

キャラクターなどセルの色を塗るセクション。
背景側として特に関わることはないが、知識として覚えておきましょう。


グロス(グロス請け)

アニメは元請の製作会社があるが、負担を減らすために話数によって他の製作会社に仕事を下請けに出す方法をとっています。
これをグロス請けといい、その会社をグロス会社と呼んだりします。
話数まるまるではなく、作画だけや撮影だけをグロスに出すこともあります。
グロスの話数については、元請の制作会社ではなく、グロス会社の制作進行と連絡を取り合うことになります。


背景原図に関する用語

ここからは実際に背景マンが作業をする背景原図に関する知識を紹介していきます。
仕事に直結してくる知識になるのでぜひ覚えてください。

背景原図(背景レイアウト)

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実際に背景を描くための大体のアタリとなる背景のレイアウトのこと。
美術ボードや美術設定に合わせてアニメーターが描きます。
セル(キャラクターなど)の原図も一緒のデータになっており、色々な指示が描きこまれたカットの設計図のようなものです。


セル

原図と一緒のデータに入っている作画素材。主にキャラクターや煙などのエフェクトなどアニメーターによって描かれる部分がセルになります。
背景マンはセルに合わせて背景を描くことになるので、背景にセルが違和感なくのっているかをつねに意識する必要があります。


無料部分はここまでになります!
ここから先ではさらに具体的な背景原図の説明や、実際の背景作業で必要になってくるより実践的な知識を紹介していきます!

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