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パリは燃えているか 6

今回はパリから離れ、モンサンミッシェルです。一生に一度は行きたいと思っていた世界遺産。当初は地下鉄とTGVとバスを乗り継いでいくつもりでしたが、決してフットワークの軽くない中高年は安全策を取った方がいいとプライベートツアーにしました。
テンションはMAX、体調はワーストでその日を迎えました。ホテルまで迎えに来てくれるドライバーさんを、もし気づかなかったら困るからと凍えながら外に出て待っていました。玄関のガラスドアの中にいても見えるのでその必要はなかったと、同行者の行動を見て思いつつ、やはりもし見過ごされたらと思い外で待っていました。
ホテルの責任者の人が20分遅れると電話があったと教えてくれました。
やはり、交通事情としてはストの影響があったのでしょう。前の日にもバスが一時間待っても来ず、諦めてタクシーで帰ったくらいなので。
その後、無事に迎えのドライバーさんが現れ、スタイリッシュな車に乗りこみました。
途中、田舎の村に寄るツアーで、必要がない場合はドライバーにお申し付けくださいと書いた付箋が貼られていましたが、渡された資料の田舎の村には既にバッテンがついていました。
そして車は高速道路に乗り一路モンサンミッシェルへ。途中に見える石造りの家々が異国情緒たっぷりで目を閉じていてはもったいないと思いつつ、体調と連日の疲れから往路の半分くらい眠っていました。
モンサンミッシェルが霧にけぶって姿を現した時の感動は言い表せません。ところが、車が入れるはずの道を走っている途中で警官に止められ、車を降ろされました。その先では人が集まっていて、どうやらストで封鎖されていたらしいのです。
またこの場所に戻ってくるようにとドライバーさんに言われ、電話番号をその人のスマホに入れて、歩き始めました。
対岸からバスが出ているというけどどこだろうと思いながらスマホの道案内で歩くと反対方向へ行ったりもと来た道に行きかけたり。
ベビーカーを押す地元の女の人が気にかけて聞いてくれたので、やっと道がわかりました。彼女に神のご加護がありますように。
その後もひたすら歩いて一時間半くらい経ってようやく対岸に着いたけどバスの発着所は見当たらずそのまま桟橋を歩きました。見えているのになかなか近づけず、へとへとになってたどり着きました。
石造りの小さな入口から入って、いきなりレストラン街と土産物屋街。もう昼になっていたので名物のオムレツを出してくれるらしいレストランに入ろうとしたら、混んでいるから1時間してから来いと言われました。
その後、とりあえず岩山だから上に上がれいいんだろうと登ってみるけど進入禁止になっていて、正規ルートではなかったことを知り、戻って繁華街を抜けたところにちゃんとした入り口がありました。
その後はドライバーさんから渡されたチケットを出してオーディオガイド機器を借りて順調に見て回りました。登りが多くてきついけど、憧れのモンサンミッシェルなのでそこは頑張ります。
美しく荘厳な修道院を見て周りながら、なんてすばらしいところに来たんだろうと感銘しきり。それでも、遅れを取り戻すため行動は1・5倍速です。礼拝堂には、祈りを捧げる列に加わる条件としてキャッシュレスお布施のシステムもありました。

キャッシュレスお布施システムのある礼拝堂

ちょっと急ぎつつそれでも記念になる写真はしっかり残しながら岩山を下って、さっきのレストランに行ったら二倍くらい混んでいました。1時間は何を基準にと思ったけど、近くのビストロでちゃんとモンサンミッシェル名物のオムレツが食べられました。ふわふわは期待通り。何も味付けしてなくて塩と胡椒で自分で味を調えるシステムは知りませんでした。ここのデザートのタルトは絶品でした。
日本がお金持ちだった頃にたくさん人が来たから覚えたらしい日本語で、そこのおばさんから「ありがとう、また来てね」と言われました。
その後、帰りはもう桟橋の乗り場からバスに乗ろうという事になり、ぎゅうぎゅうで押し合いへし合いの状態でドアの前に貼りつくように乗りました。二つくらいバス停を過ぎたところで、ドアが開いたら目の前にドライバーさんがいました。
後で知ったけど電話をしたのに通じなくて旅行エージェントに頼んでその場所で待つとメッセージを送ってくれたらしいです。スマホの不具合なのか、メッセージはその日の夜に届きました。電話には全く気づいていませんでした。だから、ドライバーさんと再会ボンジュールはちょっとした奇跡だったわけです。
思い通りに事が運ばないのも旅の醍醐味ではありますが、とにかく疲れました。私は言いたい。
「修行に来たんじゃない、観光に来たんだ」
そして、バチが当たるかもしれないけどこう名づけたい。
さんざんミッシェル。
でも、もうあんなところはコリゴリというわけではありません。
行ってよかったし、できたらまた行きたいです。

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