見出し画像

オペレーション・クリスマス・チャイルド

1ヶ月ほど前になるが、友人からパーティの招待状が届いた。といっても普通のパーティではない。

クリスマスの時期というのは北米はもうホリデー・シーズンとして大騒ぎになる。カナダの感謝祭は10月なのでまだ一息つく時間があって良いのだけど、アメリカの感謝祭が11月の第4木曜日に行われ、それが終わると同時に正式にカオスの時期になる。

各学校、会社ともクリスマスパーティやクリスマスコンサートが予定され(最近はクリスチャンでないヒトを考慮し、ポリティカリー・コレクトな「ホリデー・パーティ」や「ホリデー・コンサート」と呼ばれることが多いが)11月末から12月にかけて、週末はすべて予定がびっしり、という家庭も珍しくない。

もちろん小さな子供がいる家庭ではクリスマスはサンタがやってきてプレゼントをくれる季節なのだろうが、世間ではホリデー・シーズンというと「Time of giving」、つまり、恵まれない人達をサポートする季節と言っていいだろう。英語でもHoliday SpiritとかChristmas Spiritというとホームレスシェルターに寄付をしたり、スープキッチンでボランティアをしたり、という慈善活動を指す。

友人から招待されたパーティは「オペレーション・クリスマス・チャイルド」という団体の、開発途上国の子供達に贈るプレゼントを作るパーティだった。

最近はゲストがお客さん顔で振る舞われた飲み物や食べ物をいただくパーティよりも、もっとカジュアルで、みんなで一緒に料理をしたりするパーティのほうが人気があるような気がする。みんな忙しいので、着席式のディナーパーティをホストできる人となると、それだけの時間の余裕がある人という印象だ。

このパーティのホストのリズは、北米でどのコミュニティにも一人はいる、「人をもてなすことや、パーティプランニングが大好き」なタイプ。全然悪い人ではないのだけど、毎月なにかと理由を作っては人が集まる機会を企画してくれるそのエネルギーにはあきれるやら感心するやらである。

でもこのリズは慈善事業にも力をいれていて、いつも何かしらのチャリティの資金集めをしている。なので、自尊心だけでやっている人はないのである。

さて今回のパーティは、開発途上国でクリスマスのプレゼントもままならない子供達に、靴箱におもちゃや生活必需品を詰めて送ってくれるというチャリティの「箱詰め作業」パーティだった。参加者はそれぞれ箱に入れるものを担当して持ち寄る。リズはこのチャリティの箱詰めなすでに何年かやっているそうだが、私が呼ばれたのは今年初めてで、今年はなんと100箱作る!と気合いがはいっていた。

私の担当はペン50本。当日ペンを持ってリズ宅につくと、すでに多くの友人がそれぞれの担当のものをもって集まっていた。

色鉛筆、ミニカーなどの小さなおもちゃ、縄跳び、ボール、鉛筆、ペン、ヘアクリップ、メモ帳、靴下、Tシャツなどがテーブルの上にところ狭しと並べられている。そしてこれらのプレゼントを入れるのがこの箱。

普通の靴箱でも大丈夫だと思うけど、リズはすでにこのチャリティから100箱専用の箱を購入していた。これをひとつづつ、男の子用、女の子用、そして年齢で分けたラベルをはり、それぞれの箱をいっぱいにしていくのだ。

全ての箱に入るのがせっけん、歯ブラシとくし。入れてはいけないものはお菓子や溶ける可能性のあるもの、また液体。とあるていどのルールはあるが、あとは各自が集めてきたものを詰めていく。

箱詰め作業をしながらもカクテルを飲み、リズが作ってくれたおつまみをいただく。プロ並みのホステスのリズは、料理もうまい。

これが詰め終わった箱たち。これをチャリティ団体に持って行けば、あとはいろんな国の恵まれない子供達まで配達してくれるそう。(どの国・地域に行くかは選べない)

おわったあとはみんな「良いことした」という満足感でいっぱい。「情けは人のためならず」の解釈のひとつに「人のためになることをすると自分が気持ちよくなるから」というのがあるけど、偽善と言われるかも知れないけど少しでも誰かがハッピーになってくれるなら、それで充分だと思う。

楽しいホリデーシーズの始まりでした。

もし共感していただけたら、サポートしていただけるととても喜びます。頂いたサポートは創作に使わせていただきます♪