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友人の結婚式が、「悪魔召喚式」だった話

裏切りのA子

私ももうアラサーなので、周りは結婚ラッシュだ。
「30までに結婚できなかったら、ウチら同居しよ!」って話し合ってた親友のA子ちゃんがついに結婚しやがった。
仲間だと思っていたのに。
ご丁寧に私に結婚式の案内が来ていた。

案内状

式当日

一見それは、なんの変哲もない式に見えた。
ウェディングドレスに包まれたA子と、燕尾服を着たその旦那が、幸せそうに笑う。
両者の家族は涙を流している。
それを私たちは少し離れた友人席から見守る。
「幸せ者ー!」なんてヤジを入れながら。
全然、出てくるご飯のことしか考えてなかったけど。
式は大詰め、クソデカウェディングケーキと、指輪が地面から生えるようにして出てくる。
西洋人のカタコト神父が、
「エイエンノ、アイヲ、チカイマスカ?」
と二人の前で囁く。
A子&旦那「もちろん!」
神父「では、誓いのキッスを!...悪魔王ヘルゴルニデゲス様の前で」

瞬間、轟々と雷が鳴りだす。式の会場を、真っ黒な霧が覆う。
結婚指輪が666個に増幅し、
ウェディングケーキの頭上をπ電子のように回り始めた。
悪魔王「我こそが!ヘルゴルニデゲス!!」
羊の顔をし、筋肉ムキムキで、コウモリの羽を生やした、ちょうど奈良の大仏くらいのサイズの邪神が、ウェディングケーキの中からパッカリと現れた。
その現れ方は、異様に禍々しくて、まさにホラー映画"MOMOTARO"みたいだった。

悪魔王ヘルゴルニデゲス

唐突に始まるデスゲーム

悪魔王「本当に、その愛を我の前で証明したくば!生き残ってみせろ!!」
来場者の肉体が気球のように膨れ上がり、ドロドロとした黒い肉体を纏っていく!
そして、来場者はみな、A子と旦那の両親ももちろん、筋肉ムキムキの、血に飢えた悪魔に変わってしまった。

来場者のみなさん

元親だろうが、元親友だろうが見境なく新郎新婦に襲いかかる悪魔たち。
私も例外なく悪魔になってしまった。
しかし、悪魔化がうまくいかなかったのか、左半身だけが悪魔になった。

結婚式当日の私

このため、私は幸か不幸か人間の感情を持った状態で親友を殺戮することになってしまったのだ。
A子はどこで覚えたのか知らないが、魔法のビームを手から放って、悪魔と奮戦していた。

A子

A子に人間のまま生きている右半身で話しかける。
私「大丈夫!?私まだ右半身人間のままだからあなたに味方できるわ!」
A子「じゃあ、あなたはあのウェディングケーキを切ってちょうだい!」
私「でも、あれは悪魔神様の依代なんじゃ...」
A子「いいのいいの!ヘルゴルニデゲス様は毎回挙式のたびに⚪︎されまくってるんだから!😉」
私は悪魔となってしまった左半身をうまく洗脳し、羽を使ってウェディングケーキのところまで飛んで行った。
そして、ウェディングケーキに剣を振り下ろした!!

この世界は全て虚の写像である

剣を振り下ろすと、ウェディングケーキの中から血がドヴァっと出てきた。
心臓のようなものを剣で潰した感触があった。
すると視界はどんどん崩れていき、真っ白な世界に転生した。
私「ここはどこ?」
A子「ようやく気づいたのね、この世界は全て虚の写像なの!」
そうか、私は白の世界に来たのだ。
周りにいた親しい人を悪魔として⚪︎しまくることで、
私たちは悪徳が1145141919810詰まれて、白の世界にこれたのだ。
私「というか、旦那さんはどこなの?」
A子「悪魔と間違えて⚪︎してしまったわ」
私「良かったの!?」
A子「いいのよ!遺産相続目的なんだから」
A子「そんなことより、世界で二人っきりになってしまったね」
私「じゃあ、私たち同居するか」
A子「もう結婚とかできないもんね私たち」

こうして、私たちは白の世界でアダムとイヴのように二人っきりで過ごしています。
めでたしめでたし。

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