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個人情報という名の下に閉ざされる家族の病状

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家族が新型コロナウイルスに罹患し、現在闘病中。離れて住む家族はこの事態にどう向き合っているのか、ほぼリアルタイムに更新中。気になった方は、「新型コロナウイルスに罹患、家族がいまできること」からお読みください。
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入院してしまうと、当たり前だが本人との連絡が難しくなる。新型コロナウイルスのような新種の感染症に罹患してしまうと、面会が全くできないため、患者や医師などから直接話を聞く機会もない。どういう症状で適切な治療を受けられているのか、家族は不安に感じることだろう。最期を看取ることもできずに自宅で訃報を聞いたという家族の悲痛な叫びも報道では聞く。

母は幸いにして病床に空きがあり、PCR検査で陽性と分かった日の午後には入院できた。県内で感染が確認された患者の約半数が入院している病院である。入院前までは、本人とLINEなどの手段でメッセージのやりとりはできていたものの、入院後は状況が全くつかめなくなってしまった。本人の症状が思わしくなかったため、むやみに連絡を取ることは憚られたからだ。父を介して状況を聞くこともできたが、伝言ゲームにより情報が不確実だったり、不定期だったりするため、病院に直接問い合わせることにした。

そこで経験したことだが、入院時にやっておいた方が良かったこと2点を書き留めておく。

1つめは、初歩的なことだが、病室番号を聞いておくことである。代表電話から病院に問い合わせる際、患者名や病名を伝えただけでは、オペレーターがどの病棟のナースステーションにつないでいいのかが分からないからだ。ましてや、新型コロナウイルスは臨時で病室を設けているケースもあるため、すぐには病室を特定することができないこともあるようだ。

私の場合、病院名は聞いていたため、まずは代表電話にかけてみた。しかし、病室番号は聞いていなかったため(コロナ禍においては面会もできないため、必要のない情報だと思っていた)、前日から家族がコロナで入院していると伝えても、病室番号もしくは病棟が分からないと電話をつなげないとの一点張り。少し粘って、患者名と関係性を伝えてようやく該当のナースステーションにつないでもらえたのである。この間、約10分。医療従事者の方々をこんなにも煩わせるくらいであれば、あらかじめ病室番号を聞いておくべきだったと反省している。

2つめは、緊急連絡先の1つに自分を指定しておいてもらうことだ。これがないと、個人情報の名の下に、患者の病状などを教えてもらえない。

電話では、私と患者である母との続柄を伝えたが、それを証明する術がない。母から病院には、離れて暮らす子供がいるという情報は伝えてあったらしいのだが、事実を確認できないという。仮に、私が子供であるということが確認できたとしても、第1連絡先には父が指定されているため、個人情報なのでお伝えできないと言われてしまった。

もう少し噛み砕くと、個人情報を開示できる人は制限されているため、あなたには教えられない、ということだろう。確かに、センシティブな問題なので、たとえ家族であっても教えてもらえる情報が限られるというのも分かる。

この状況は、保健所にとっても同じである。保健所の人が患者の症状やその後の経過を把握したいと思っても、病院からは情報が取れないため、患者本人に問い合わせが来る。電話で話すことが困難な重症患者だった場合には、連絡が取れないため、家族に問い合わせが来る。しかし、家族もあまり情報を持ち合わせていない場合があるため、コロナの感染状況把握は難航しているものと思われる。

しばらくこうした攻防が続き、最終的に、母は電話で話ができる状況にあるという事実は確認できた。その後は電話で話をしたが、高熱や頭痛で明らかに症状が辛そうである。いつ何時連絡ができなくなるか分からないため、私の連絡先を病院側に伝えるようお願いした。

(つづく)

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