BCG接種は、アレルギー疾患の予防に働くか?:MIS BAIR試験|2024年8月11日
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アレルギー増加の原因として「古き友人仮説」が注目され、BCGのアレルギー予防効果が大規模研究で調査されている。
■ アレルギー疾患は世界的に増加しています。アレルギー疾患が増加している理由については、仮説はさまざま提唱されていますが、その一つが「古き友人仮説」です。
■ 「古き友人仮説」(Old Friends Hypothesis)は、日本では衛生仮説として知られている、アレルギー疾患の増加を説明する仮説の1つです。
Frew JW. The hygiene hypothesis, old friends, and new genes. Frontiers in Immunology 2019; 10:388.
Rook GAW. The old friends hypothesis: evolution, immunoregulation and essential microbial inputs. Front Allergy 2023; 4:1220481.
■ すなわち人間は、様々な微生物と共存関係を築いており、免疫システムはこれらの「古き友人」である微生物と調和して機能するように発達していました。
■ そして衛生状態が改善して抗生物質の使用が増えると、これらを「敵」として認識してしまい、免疫が過剰に反応するようになったという仮説です。
■ この仮説は、なぜ先進国でアレルギー疾患が増加しているのか、また、なぜ農村部よりも都市部でアレルギーが多いのかを説明する一つの理論として注目されています。
■ もちろん、この衛生状態が改善した事自体は、乳児死亡率を大幅に下げたのですから、決して悪いことではないのですが、あくまで『メカニズムとして』考えられているということです。
■ さて、古い友人仮説の考え方から、BCG(Bacille Calmette–Guérin)に含まれるマイコバクテリアへ曝露することでアレルギー疾患を予防すアプローチになるかもという考え方が提示されるようになりました。
■ BCGは弱毒化されたMycobacterium bovis株(弱毒化されたウシ結核菌)であり、本来は結核予防のためのものです。
■ 一方、古い友人仮説から考えると新生児の免疫系をアレルギーを促進するT helper 2細胞依存性反応から、寛容を促進するTh1反応へと傾ける可能性が期待されています。
■ 実際、動物モデルでは、BCGワクチン接種が感作のリスクを低下させることが示されています。しかし、ヒトでの結果は一貫していません。
■ そこで、BCGワクチン接種が感作や食物アレルギー予防に関係するかを調査した大規模ランダム化比較試験が実施されました。
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