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『針恐怖症』は、実際にどれくらいある?|2024年9月30日

■ ブログで公開した内容の深掘りです。

( 本記事は、メンバーシップ(アドバンス)の記事です。メンバーシップの概要は、こちらをご参照くださいm(_ _)m)


医療現場での課題として注目されている『注射針への恐怖心』の実態と影響は?

■ 治療や検査において、『注射』は必要な処置ですし、変わる方法がない場合も少なくありません。
■ しかし、針を使う処置を極端に怖がり避ける『針恐怖症』は、医療現場で重要な問題となる場合があります。

■ 針恐怖と針恐怖症は似ていますが、針恐怖症はより重度の精神疾患です。針恐怖症の人は、針を見るだけで血圧が急に変動したり、失神したりすることがあります。

Jenkins, K. (2014). II. Needle phobia: A psychological perspective.
BJA:British Journal of Anaesthesia,113(1), 4–6

■ 世界保健機関(WHO)の研究によると、1人あたり年間2〜11回の注射が行われているそうです。

Hutin, Y. J., & Chen, R. T. (1999). Injection safety: A global challenge.
Bulletin of the World Health Organization,77(10), 787

■ しかし、針恐怖症のために予防接種を避けたり、必要な治療を受けられない人がいることが問題になります。
■ 針恐怖症は、一般的な針への恐怖よりも珍しいものですが、過去の痛みを伴う経験が原因で起こることがあります。

■ では、針恐怖・針恐怖症はどれくらいの頻度であるのでしょうか?
■ 最近のメタアナリシスを共有します。



この論文でわかったことをざっくりまとめると?

119の原著論文(うち35論文がメタアナリシスに使用された)を対象とし、MEDLINE、Embase、PsycINFO、CINAHLのデータベースを用いてシステマティックレビューとメタアナリシスを行った。

✅針恐怖の有病率は年齢とともに減少し、10歳年齢が上がるごとに8.7%(95%信頼区間: 6.0%, 11.4%)低下した(p < 0.001)。
【簡単な解説】 針恐怖は年を取るにつれて少なくなることがわかりました。10歳年を取るごとに、約9%の人が針恐怖でなくなるという結果でした。

✅針恐怖と針恐怖症はともに男性よりも女性で有病率が高く、針恐怖の女性:男性有病率比は1.4(95%信頼区間: 1.1, 1.8)、針恐怖症では1.7(95%信頼区間: 1.3, 2.1)だった。
【簡単な解説】 女性は男性よりも針恐怖になりやすいことがわかりました。針恐怖の場合、女性は男性の1.4倍、針恐怖症の場合は1.7倍の割合で発生しています。



以下は、論文の解説と管理人の感想です。

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