母親の食事バランスと、乳児期の食事の多様性は、子どものアレルギー疾患の発症と関係するか?|2024年9月29日
■ ブログで公開した内容の深掘りです。
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妊娠中の母親の食事と乳児期の食事は、子どものアレルギーのリスクに影響するか?
■ 妊娠中のお母さんの食事が、生まれてくる赤ちゃんのアレルギーリスクに影響を与える可能性があることが指摘されています。
■ 例えば、妊娠中にビタミンDをしっかり摂ると、子どもの喘息リスクが下がる可能性などが示されています。
Venter C, Agostoni C, Arshad SH, etal. Dietary factors during preg-nancy and atopic outcomes in childhood: a systematic review fromthe European Academy of Allergy and Clinical Immunology.PediatrAllergy Immunol. 2020;31(8):889-912.
■ また、妊娠中のお母さんの食事のバランスが良いほど、子どもがアレルギー性鼻炎や湿疹、喘息になるリスクが約20%低くなるという報告もあります。
Venter C, Palumbo MP, Glueck DH, etal. The maternal diet index inpregnancy is associated with offspring allergic diseases: the healthystart study.Allergy. 2022;77(1):162-172.
■ さらに、赤ちゃんの食事の多様性が重要であることも、食物アレルギーになりにくい傾向があることが示されています。
Lee BR, Jung HI, Kim SK, etal. Dietary diversity during early infancyincreases microbial diversity and prevents egg allergy in high-riskinfants.Immune Netw. 2022;22(2):e17.14.
Zhong C, Guo J, Tan T, etal. Increased food diversity in the first yearof life is inversely associated with allergic outcomes in the secondyear.Pediatr Allergy Immunol. 2022;33(1):e13707.
■ では、お母さんの食事と赤ちゃんの食事が、それぞれどのようにアレルギー疾患のリスクに影響しているのでしょうか。
■ 最近の研究結果を共有します。
※この研究は、『お母さんが』『お子さんが』、食事に気をつけなかったために子どもさんがアレルギーになったということを示すための研究ではありません。今後の食事に対する情報を積み上げるための研究です。
※この論文はオープンアクセスではないので、図などは示していません。
この論文でわかったことをざっくりまとめると?
Healthy Start研究に参加した967組の母子ペアを対象に、妊娠中と乳児期の食事内容を自己申告により評価し、子どものアレルギー疾患の発症との関連を調査した。
✅ 1歳時点での乳児の食事の多様性は、1〜4歳時の複合アレルギー疾患のリスクと関連していた(p = .002)。
【簡単な解説】 1歳の赤ちゃんが色々な種類の食べ物を食べているほど、1歳から4歳までの間にアレルギー疾患になりにくいことがわかりました。
✅母親の食事指数が高く、乳児の食事の多様性も高い群が、複合アレルギーのリスクが最も低かった。
【簡単な解説】 お母さんが妊娠中にバランスの良い食事をし、赤ちゃんも1歳までに色々な食べ物を食べている場合、その子どもが4歳までにアレルギー疾患になる可能性が最も低いことがわかりました。
※複合アレルギー疾患(combined allergic disease outcome)については、「喘鳴を除く任意のアレルギー疾患」と定義されています。
すなわち、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息、IgE依存性食物アレルギーのうち、少なくとも1つの診断を受けた場合を指しています。
グラフィカルアブストラクト。
以下は、論文の解説と管理人の感想です。
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noteでは、ブログでは書いていない「まとめ記事」が中心でしたが、最近は出典に基づかない気晴らしの文も書き散らかしています(^^; この記事よかった! ちょっとサポートしてやろう! という反応があると小躍りします😊