見出し画像

名前は有名だけど思ったより知られていない感染症『猫ひっかき病』の話:ほむスペ文字起こし

ほむスペ(Twitterのスペース)を
定期的におこなっています。
その文字起こしです。
広く公開する記事に比較し
より個人的な見解を含む場合があります。
そのため、限定公開としています。
誤字・脱字はご了承くださいませ。
※この記事は、マガジン
音声メディアの文字起こしマガジン
に収録しています。
2022年10月23日のスペースの文字起こしです。

こんばんは。
よろしくお願いいたします。

猫ひっかき病という感染症があります。
夏か冬の初め頃に流行しやすい、みることのある感染症なのですね。そこで、今回は猫ひっかき病に関してお話をさせていただきたいと思います。


猫ひっかき病は、ネコだけで起こるわけではない

画像1

猫を飼っておられる方は非常に増えている状況ですよね。
2017年には犬よりも猫のほうが飼育数が多くなったとされています。それでネコに関連することが多い、今回の猫ひっかき病に関しても増える可能性があるということです。

この猫ひっかき病は1950年にはフランスの医学者が報告していましたが、原因である菌、猫ひっかき病の原因となる病原体がバルトネラ・ヘンセラ菌によって起こることがわかったのは、1992年とかなり最近ということになります。

猫ひっかき病は一般的には確かにネコに引っかかれて感染するのですが、引っかかれなくても感染しますし、猫でなくても感染源になる可能性があるとされています。

例えば、犬に引っかかれて発症する方も一部いらっしゃることが分っています。それの理由に関しては、後でまた少しお話をさせていただきたいと思います。


猫ひっかき病は、バルトネラ菌を保菌したネコの血を吸ったネコノミが原因になる

画像2

例えば感染源として一番多いのが、やはりネコで全体の97%程度、3%程度が犬だったっていう報告があります。

 バルトネラ菌の保菌状態になっているネコは結構多く、七割ぐらいあるんじゃないかと考えられています。
そのバルトネラ菌に感染したネコは、数カ月位、長いと一年以上にわたって菌血症、血液の中にその菌を飼うような状況になるんです。

ネコに何かすごい症状が起こるのかって思われるかもしれませんが、バルトネラ菌の菌血症になったネコは通常症状がないのです。

ですので、飼い主はそれを認識することは難しいと言うことになります。そして血液の中にそのバルトネラ菌を飼っているネコの血を寄生しているネコノミが吸って、ネコノミが糞をして、糞がネコの体の表面にばらまかれると言うことになります。

つまり、それと一緒にバルトネラ菌もばらまかれるということです。


猫ひっかき病が流行しやすい季節は夏から初冬

画像3

そしてネコノミが特に活発になるのが夏で、ネコが家の中に居る時間が長くなるので、夏に増えたネコノミが感染元になると考えられています。

10月からピークとされていますので、ちょうど今っていうことになります。ちなみに犬に寄生しているののネコノミが増えているのだそうです。そこで犬からもその猫ひっかき病をもらう可能性があると言うことになります。

そのバルトネラ菌に感染したとしても、全員が症状を起こすわけでもなく、軽く済む方も多いとされています。


日本では年間1万人、米国では24000人発生していると考えられている

実際どれくらいいるのかは推定になってきますけれども、日本全体として年間1万人以上の患者さんが発生していて、アメリカでは年間24,000人以上の人がネコひっかき病にかかっていると推測されています。

ですので、決して少なくはない感染症になるかと思います。


猫ひっかき病の症状は?

画像4

そしてバルトネラ菌が人間の体の中に侵入してくると3日から10日ぐらいで水ぶくれ(水泡)であったりとか、赤くなる(紅斑)であるとか、膨れてくる(丘疹)っていう皮膚の症状ができます。

そして二週間程度経過してから所属リンパ節っていうリンパ節が腫れてくるんですよね。

所属リンパ節っていうのは引っかかれて、その菌が入ってくる来たその場所に応じて、その周辺のリンパ節が腫れる、そこに周辺の所属しているリンパ節が腫れるのです。

例えば顔を引っ掻かれた場合は首であるとか、あごの下のリンパ節が腫れますし、腕を引っ掻かれた場合は脇のリンパ節が張れますし、足を引っ掻かれた場合は鼡径部っていう足の付け根のリンパ節が腫れると言うことになります。

場合によっては、そのリンパ節はすごく大きくなって5cmぐらいの大きさになることもあって、痛みであるとか、赤みなどを起こすことがあります。

そしてそのリンパ節は数週間から数ヶ月位、場合によっては一年ぐらい腫脹し続ける場合もあるとされています。

発熱自体はそこまで長く続くことはなくてだいたい四割程度の人が発熱をするんですが、数日ぐらいで熱が下がることが多いとされています。


典型的でない症状をおこすひともいる

ただし、5~10%ぐらいの人は、非典型的な症状を来すことがあるとされています。

例えば、パリノー結膜腺症候群と言って、ひどい結膜炎を起こしてしまったりとか、視神経炎っていう目の神経炎を起こしたりとか、場合によっては脳炎などを起こすこともあるとされています。

すなわち、長引く方がいらっしゃることも確かです。場合によっては不明熱、原因がはっきりしない熱の原因になることも知られています。


診断が難しい原因のひとつに、確定診断のための抗体検査に保険適用がないこと

画像5

猫ひっかき病をどういうふうに診断するのだっていうのは、ここは実は結構難しいです。

いわゆる培養検査って言い、菌を増殖させて確認する検査があります。培養検査って、たとえば種を土に植えて、それが生えてくるのを見て、これはアサガオが生えてきたぞみたいな感じの検査が培養検査といえばいいでしょうか。

バルトネラ菌は、その培養検査は難易度が高いことが知られています。

そこで実際のところは血液検査による抗体検査をすることが多いということになります。バルトネラ菌と戦うための抗体を検出するっていう方法です。

抗体検査にはIgMとIgG検査があるんですけど、バルトネラ菌に対するIgM抗体は初期の時だけ上がる、IgG抗体っていうのは感染してしばらく経ってからあがるタイプの抗体ということになります。

でも、IgM抗体はすぐ消えちゃうんですよね。猫ひっかき病かもしれないって思って検査をしたときにはもう消えていることも多いとされています。

IgG抗体で最終的な診断をすることが多いと言うことになります。ただ、大きな問題として、このバルトネラ菌のIgG検査の保険適用になっていなことがあげられます。

そこが一番の問題で、診断をするための検査が保険適用がなってないとなると、なかなか手が出ないっていう場合があって診断に苦慮する場合があるということになります。


猫ひっかき病の治療は?

画像6

治療に関しては、所属リンパ節があまりひどく腫れてなくて、痛みもそんなになくて熱も無いっていう場合は、必ずしも抗菌薬を使う必要もないとされています。

しかし一般的にはリンパ節が、大きくなってから診断することが多いということになりますので、抗菌薬を使う場合があります。

ただ、一般的によく使われるような抗菌薬は効果が低く、マクロライド、ニューキノロン、テトラサイクリンっていう抗菌薬の系統を使います。

 まあ、どれを使うかに関しては決まっているわけではありませんけれども、テトラサイクリンという抗菌薬を大人では使うことが多いようです。テトラサイクリン系抗菌薬は子どもではちょっと使いづらい癖のある抗菌薬ですので、どれを選ぶかはその医師の考えにも応じるかと思います。


猫ひっかき病の予防は?

そしてネコノミの対策が非常に重要であることは最初の原因に関してお話をしたのでおわかりになったと思います。

特に三歳未満のネコが特にバルトネラ菌を保菌している場合が多いとされていますので、新たにネコを飼い始める時期には注意が必要となります。

そして、ネコノミを減らしておいた方がいいよっていうことになりますね。

さて今回も10分ちょっとお話をしたので、これで一旦終了とさせて頂きたいと思っております。それでは今回はこれで終了させていただきます。さようなら。

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

noteでは、ブログでは書いていない「まとめ記事」が中心でしたが、最近は出典に基づかない気晴らしの文も書き散らかしています(^^; この記事よかった! ちょっとサポートしてやろう! という反応があると小躍りします😊