タイムマシーンは、いらない。
タイムマシーンは、いらない。
そう言い切れるから、わたしの現状は、かなり満足感が高いのだろう。 これといった激しい不満もない。
学生時代には、絶対に戻りたくない。
友人関係で一喜一憂したり、 勉強やバイトに追われたり、 恋愛で泣いたり、耐えられない。
大人になったなと実感したのは、社会人になり、大好きな同僚たちと別れ、一人でお弁当を買いに行くことに、空しさや焦りではなく、楽しみや平穏を感じたこと。
この頃から、一人で飲み歩くようにもなった。
一人って、なんて楽なんだろう!
もちろん、恋人と同棲しているという安心感が根底にあったのだけれども。 恋人は友人でもあったから、帰宅するまでの一人時間を満喫できるようになった。
今では結婚し、引き続き一緒に住んでいるのだけど、それぞれ別の部屋で、好きなことをして過ごしている。 なんて平穏な日々。
義母からは、やんわりとしたコウメ攻撃が旦那にきているらしいけれど、ごめんなさい。 わたしは産みたくないのです。
自分が焦燥感や苛立ちを持って過ごしたあの時間を、もう一度、近くで感じるかもしれない恐怖に、耐えきれないのです。
親同士のコミュニティに属して、そこで疲弊するであろうことに、耐えられないのです。
恐らくわたし一人に家事育児が任されるであろうことに、耐えられないのです。
現状の満足感が高いのに、「もっと楽しくなるかもしれない」なんて不確定事項だけでは、動けないのです。
旦那のことは嫌いではないけれど、お金や責任や資質の問題なんです。
もし、あと何十年も生きるとして、わたしはいつか、
「タイムマシーンがあったら、戻りたい過去がある」
と思う日がくるのだろうか。
その戻りたい過去は、『いま』なんだろうか。