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伝説のコンピューターウェイトレス!「ベトナム人RANちゃん編」

寿司バーで唯一のタイ人以外の外国人は僕とRANちゃんだった。

小柄で40代〜50代くらいの女性

ドイツにはベトナム戦争などの影響でのベトナム移民が多い

RANちゃんもその一人だろう。

ベトナムでは生野菜をよく食べていたのだろうか。。
本当に生野菜ばかり食べている。

海外のきゅうりは日本のきゅうりと違ってかなり太く
お寿司で使う場合は真ん中の種の部分は取り除く

その部分を捨てないで私にちょうだい!というのはRANちゃんだった。

美味しそうに食べる。。。

僕が入った時にはこの寿司バーは10年目だったのでRANちゃんは10年目の最年長の従業員で社長と最初から働いていたので彼の伝説なども彼女から聞いた。

ここの社長がこの寿司バーを開店した時には
RANちゃんと社長の二人だったという。

11時から働き出す彼女は16時までの5時間勤務で本当に忙しい時間帯に必要なウェイトレスだ。彼女が仕事を休んだ日はないだろう。。彼女がいない昼間の時間帯はきっと回らないだろうと思うくらいのすごい女性だ。

何がすごいのか。。。

24席ある中で彼女が受け持つのは16席、もう一人のウェイトレスはお持ち帰りと8席だ。

彼女は僕たちからスーパーコンピューターと言われていて頭の中でお客さんが何を注文したか16席を計算している。追加注文、ドリンク、単品、なども全て入っている。

もちろんファミレスで見るような電子機械もウェイトレスは持っているが
それよりも早いから頭でやっている。12時になると一気にやってくるお客さんと注文を一人一人機械に入れてメインの機械に登録している時間はほぼない。お会計の時もメインの機械に行ってレシートを出してお会計というと時間がかかる。RANちゃんはお客さんがお会計というとその場でその値段をいう。頭の中に入っているからわかることなのだ。

そして時間がある時にメイン機械で精算している。僕らも戦場だがウェイトレスも戦場だ。RANちゃんが仕事中にトイレに行くのを見たことはない。
話を聞くと仕事前に済ませてしまうという。

僕らも目の前のカウンターのお客さんから注文を受ける。RANちゃんはどこにいても元気な声で返事をしてくれる。。

僕:「RANおーい!」
RAN:「おーい!」

僕「6番、アボカド巻きとコーラ追加!」
RAN「オッケー!」

僕らも腕を止めることはできない。。
寿司のオーダーを見ながら新しいお客さんの注文を聞き、時にはお話をしたりとこなす。

最初の頃はこれができない。。
話し出すと手が止まる。。

他にもウェイトレスは二人いるが機械頼りだがそれが一般的だろう。

ではどうしてRANちゃんがそういう働き方をするのか。。

それは社長が影響している。
彼が一人で働いていたこの寿司バーにウェイトレスでやってきたRANちゃん。その当時は社長(町田さん)が全部注文を取り、寿司も握りっていたという。どのお客が何を食べたかも町田は全てわかっていて頭の中に入っているし私はただ彼がいう料金をお客から頂くだけだったという。

日本で有名な屋台のラーメン屋などもそうだろう。
電車が到着すると一気に客は来て5、6席のカウンターはいっぱいになる。
細かい複雑なお客さんの注文(麺固め、メンマなし、ネギ多めなど)を覚え、作り、お会計するスタイルだ。

今でも私はただ注文を聞いてお会計しているだけ。町田は寿司も作っていた。。

そんな伝説の社長の働き方を見ているからこそ今のスーパーコンピューターのようなウェイトレスが生まれたのだろう。

でも当時は本当にお客さんが少なかったという。
全然来ない日が2、3年続いたという。

寿司のクオリティーは間違いないが目立たない場所だったり
ドイツ人に対するお寿司の知名度も低かったせいか
今の状況からすると考えられないが町田はよく窓拭きをしていたという。

10年かけてここまでにしてきたこの寿司バーの歴史を聞くと心が熱くなるものがあった。。

ある時、ドイツの税率が変わりメニューの値段がガラリと変わった。。
これは流石にRANちゃんキツイだろうと思ったが
1週間後にはまた以前と同じように頭に入っていた。

僕らもRANちゃんに負けじと目の前のお客さんの注文やお会計の合計などを遊び感覚でRANちゃんのようにと頭に入れたりもしていた。当たると嬉しいし外れると悔しいし。。

だから伝説の人がいるから成長するのだとも思う。。


僕は寿司バーでは「メオ」と呼ばれていた。
シェフがつけてくれたタイ語で「猫」という意味のようだがタイでは愛称があるニックネームのようだ。

お客さんからの追加注文の場合はオーダー票ではなく言葉直接に伝えられる。。それはオーダーで機械で出してしまうとまた待たなくてはならなくなるからだ。僕たちの目の前には10〜30くらいの伝票が必ず目の前にある。今食べているお客さんの追加でこの30オーダーの後ろだとかなり待たなくてはならないだろう。

そんな戦場の寿司バーではかなりの言葉が飛び交っている。
みんな大声で言葉を交わしている。

そんなRANちゃんとの思い出が1つある。

ベトナム人あるあるなのだが
日本語の「し」が言えなく「ち」になってしまう。

メニューで「おしんこ巻き」があるのだが


RANちゃん:「メオお〜い!」大声で。。
僕:「ランお〜い!」
RANちゃん「おちんこ巻き!」大声で。。
僕:「。。。。オッケー」

意味はわかるが恥ずかしすぎるし面白すぎる。。
周りに日本人が食べていないかものすごく気になる。。

僕:「RANちゃん、おしんこ巻きだよ。。」

RANちゃん:「おちんこ巻き!?」

僕:「じゃなくて!」

RANちゃん:「ち!!」
僕:「し!!」

RANちゃん:「ち!!」

僕:「ダメだ。。町田さん教えなかったのか。。」

最後までRANちゃんは「ち」だった。。
あまりおしんこ巻きを注文する人はいないが
思い出すと懐かしい。。


きっと今でも「チ」だろう


良い一日を!!





全国を愛犬と旅しながら地域の習慣や食などをそこにいる人には気づかない素敵な文化などを伝えてより良い楽しい生活になったらいいなと思います。こんな美味しい食べ物や習慣、生活に気付いたらシェアできたらと思います。私たちが知らない素敵な日本を世界にも伝えたいと思います。