身体をほぐしに行って、心が疲れた
8月はアートモデルの仕事が忙しかった。1件幾らの仕事なので、忙しいのはありがたいことなのだが、身体は疲れる。いつも通っているリンパマッサージに行くまでの応急処置として、最寄り駅の近くの整骨院へ行ってみることにした。
問診票を記入し、ボディバランスのチェックを受け、施術用のベットに案内された。そこで若い女性スタッフから、機械が計測した身体の歪みなどについて説明を受ける。「今のままだと、こういうたいへんなことになりますよ」と言って、何十年後かの弛んだ自分のシルエットを提示された。この辺りから「ここに通うことにはならないな…」と思い始めていた。
手技(手で押したり揉んだりする)治療が始まると、施術者の方があちこちを押しながら「硬い、硬い」と言う。分かってます、だから今日ここに来たの。身体が柔らかかったら来てないよ!
一通り、ほぐしていただいて終わりかと思ったら、今度は院長と呼ばれる中年女性がやってきて、「インナーマッスルが使えていないから、こんな風に身体が凝るんです」などと、ダメ出しをしながら、もう一度同じ行程を繰り返した。インナーマッスルね…ジョジョ立ちのようなポーズで10~20分×6~9回ポーズを取ってじっとしていたら、インナーマッスルもアウターマッスルも関係なく、ゴリゴリに凝るでしょうよ!…と言いたかったが、自分の仕事についてここで力説する必要はないなと思って、スンと黙っていた。早く帰りたくなってきて、院長先生の二重顎を見ながら「凝ってるかもしれないけれど、もうそれが私の身体ならそれでいいや」とさえ思っていた。
1時間程度の滞在時間の内、半分が施術、半分は料金プランと使っている機器の説明だった。まるでキャッチセールスのような圧力で勧めてくる様々な料金プランを断り、整骨院から解放された時、身体は多少良くなったかもしれないが、心はメッタメタに疲れていた。歩いて帰る途中、野良猫が鳴いていて、それだけのことにホッとするくらい疲れていた。
それから1日経った今も、昨日の体験がトータルでプラスだったのか、それともマイナスだったのか、判断がつかないでいる。
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