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ブルース名盤紹介32 Rag Mama Rag/Blind Boy Fuller

ブラインド・ボーイ・フラーは、
盲目のギタリスト&シンガーです。

1907年、ノース・カロライナ州の生まれ。
本名はフルトン・アレン。
そのフルトンを省略し、
フラーと名乗るようになりました。

リゾネーターギターという、
音量を大きくするために
金属の反響板をつけたギターで演奏。

エレキギターのない時代に、
これが、大音量で演奏するための
1つの手段でした。

ラグタイムやブルース、
フォークソングなど
レパートリーは幅広く、
1935年から1940年までで
130曲を録音しています。

このレパートリーの多様さは、
彼が活動した地域によるもの、
と考えられます。

彼の生まれたノースカロライナ州や
アトランタのあるジョージア州、
それらを含むこの地域は、
ピードモント地帯と言われます。

山脈にかこまれた台地であるこの地域、
ミシシッピデルタと比べ、
白人音楽を含む
いろいろな音楽の影響がまじりあい、
独特な文化を形成しました。

フラーの音楽にも、
その影響は大きくみられます。

彼が視力を失った原因は、
嫉妬に狂った女が、顔洗い用のたらいに
洗濯用のアルカリ液を入れて
それで顔を洗ってしまったため、
と言われていました。

…が、実はそうではなく、
元々目の病気があり、
徐々に視力を失ったというのが、
事実だそうです。

目がみえないというハンデを克服するため、
音楽の道をえらんだフラー。
その覚悟と努力により、
素晴らしい演奏技術を身につけました。

もちろんギターのみならず、
低く響き、かつハスキーで
輪郭のくっきりした声は
彼の武器となりました。

では早速聴いていきましょう。

”If You Don't Give Me What I Want”

ウォッシュボードと、
サイドギターを従えた
ラグタイムの名演奏。
軽快なリズムに、
軽くなりすぎないフラーの歌声。

“Boots And Shoes”

エリック・クラプトンが
クリーム時代にカバーした
”Lawdy Mama”
の原型。
フラーのブルースには、
ロックにも通じるスタイリッシュな
カッコ良さがあります。

“Let Me Squeeze Your Lemon”

出だしの粘っこいギターに導かれ、
割れ気味の音でさらに粘っこく歌う
これぞブルースというべき録音。

リズミカルで軽快なラグタイムだけでなく、
このように濃いブルースも演奏します。

”Rag Mama Rag”

最後はタイトルチューンだけあって
代表的な名演。
ウォッシュボードが心地良すぎる
快速テンポのラグです。

いかがでしたでしょうか。

素晴らしい録音を多数遺してくれた
ブラインド・ボーイ・フラーですが、
1941年に、病気でなくなってしまいました。

彼は大変影響力のある人で、
ブラウニー・マギーなど、
多くのミュージシャンが彼の死を
悼んだと言われます。

ボブディラン等にも
その影響が見られますが、
フラーの偉大な音楽は、
これからも時代を超えて
受け継がれていくでしょう。

今日は以上です。

ありがとうございました。


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