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Peak2Peakのデジタル写真講座第9回:「無人島にレンズ一本だけ持って行っていいと言われたら? 単焦点レンズ一本勝負 」

<ズームレンズは万能か?>
今どき、ズームレンズを使わない人は、いないだろう。そもそもズームでないレンズの存在を知らない人も、いるかもしれない。だが待てよ。スマホのカメラはズームレンズ?
そうじゃないんです。スマホのカメラのレンズは焦点距離が固定の「単焦点」レンズです。iPhoneには超広角、広角、望遠の三つのレンズがついています。撮影時にズームできるのは、「デジタルズーム」という機能で、デジタル的に画像データを拡大しているだけです。本来のズームレンズとは「光学的ズーム」ができるレンズな訳です。
ズームレンズは焦点距離が変えられるので、標準ズームなら広い絵を撮りたいとき、狭い場所で全体を撮りたい時、被写体をデフォルメして撮りたい時などは広角側を使い歪みの無い素直な絵柄が欲しい時は標準域の焦点距離を使い、遠くのものをアップで撮りたい時、背景をボカしてポートレイトなどを撮りたい時は、望遠側を使う、そういった使い分けができる。便利だ。

では欠点はあるだろうか。ある。
①標準ズームの場合、広角、標準、望遠というまったく違う性格のレンズを一本にまとめているために、設計が難しく、開放F値(明るさ)や収差などの光学的な性能を部分的に犠牲にしている場合が多い。
②ズームレンズにおいて、光学的性能を追求し高性能を実現すると、高価で大きく重たいレンズになってしまう。

①の欠点は、デジタルカメラのボディ側で補正が可能になった部分もあるので、必ずしも気にしなくても良い時代になった。ありがたいことだ。
②は、如何ともし難く、いわゆる高性能な「大三元」と言われるレンズたちは、値段も重さも素晴らしい。

では、究極の選択としてレンズを一本選んで旅に持っていくとしたら、それが例えば過酷な旅で、余計なものはなるべく省き、いつも自分で背負えるだけの荷物しか持って行きたくないとしたら、だけど、いい写真は撮りたいと思う事があるかもしれない、、どんなレンズを持っていけばいいのか、、、

< 明るい単焦点  35mm広角レンズという選択>
フルサイズ換算で35mmという焦点距離は、フィルム時代から写真を撮っている年配の写真家にとっては、馴染みが深い画角だ。ある意味、広角レンズの王道を行くレンズでもある。程よく広い画角で、標準レンズに近いために歪みも少なく、被写体との距離感を楽しめる焦点距離だ。近づいても良し、離れてもよし。ポートレイトも風景も撮れるレンズだ。
35mmより画角が広くなると、歪みが目立ち始め、遠近感が強調されるので、作図にひと工夫が必要になるが、35mmなら見たままが写真になる感覚だ。

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